02.09
2015年2月9日 寒波
今年一番の寒波だそうだ。おかげで、寒い。皆様のところはいかがだろうか?
寒さをしのぐには金がかかる。古今東西、同じである。
夏場なら、着るものはシャツ1枚だけですむ。しかし、冬場はそうはいかない。下着の上にシャツを着て、セーターを重ねる。外に出るときは、松井ニットのマフラーを欠かさず、さらにダウンジャケットを身に纏う。腰が悪い私はそれだけでは済まず、使い捨てのホッカイロを下着の腰付近に貼る。
たいそうな出費である。
それだけではない。屋内には暖房が必要だ。かつては火鉢に掘りごたつが定番だったが、時代が進むにつれてストーブになり、ガスファンヒーターになり、いま住む桐生の家は、石油の床暖房である。
これは快適だ、と感激して6冬目だ。なのに、今年は寒い。
「寒かったら重ね着すればいいじゃない」
と妻女殿はおっしゃるが、まさか屋内でダウンジャケットを着たままで過ごすわけにもいくまい。
夜、ストックした映画を鑑賞するときは、綿入りのジャケットが欠かせないし、腰から下には毛布を巻く。そうしなければ冷えて仕方がない。
かねて
「九州で生まれたのに、暑さに弱く、寒さに強い」
と己を形容していた私なのに、寒い。
何故か。
この家の床暖房は、石油を燃やして水を温め、温まった水を床の下で循環させる。だから空気は汚さないし、屋内の空気が乾くこともなく、直射熱もない。床を触っても
「暖かい」
と感じることはないが、でも床から立ち上る穏やかな熱がいつしか屋内を包む。実に理想的な暖房なのだ。
だが、である。直接熱を伝える方式ではないので、入居する際に
「大道さん、床暖房のスイッチを一度入れたら、春まで入れっぱなしにしてください」
と仲介業者に言われた。なるほど、水の比熱は1。確か、物質中で一番暖まりにくく冷めにくい。冬場、寝るときにスイッチを落とし、朝目覚めて
「今日も冷えてるな」
とスイッチを入れても、冷えた水が温まるのにはかなりの時間がかかる。その水の熱が床板を通して屋内にまで伝わるにはさらに時間がかかる。ぶるぶる震えながら、ダウンジャケットを着て耐えているとやっと屋内が暖まりだすが、そのころには日差しが強くなり
「今日は暖かいなあ」
と床暖房のありがたさを感じる時間が限られることになる。だから、寝るときも、外出時もスイッチを落とせない。
それが快適さをもたらす。一方で、冬の間の石油代はかなりのものになる。
まあ、こちらも年々齢を重ねているのである。老体には寒さが体に応え、温度の急変が体の急変を招く。だから多少の出費は、健康保険と私は思っているのだが、
「えっ、4万円を越えている!」
2、3年前のことだ。石油販売業者からの請求書を見て、妻女殿が素っ頓狂な声を出された。夏場は3000円前後の石油代が4万円。だけど、おかげで寒さ知らずの暮らしをしてるんだから、特にほとんど屋外に出ないあんたは恩恵を沢山受けてるんだから、まあ、それぐらいは諦めよ、と私は思う。が、妻女殿はそうは思えないらしい。
「床暖房のスイッチを切りたい!」
ま、我が家の収入は、私の働きで入ってくるわずかな金と年金だけ。現役時代に比べれば4分の1程度か。だから支出に神経質になるのは分かるが、でも、だからといって食い詰めているわけじゃなかろう? 暖かい冬を過ごそうぜ。
という理屈は、なかなか妻女殿には伝わらない。思い込んだらテコでも動かぬ頑固さのためか、元々論理性に欠けた頭脳構造の故か。
だからこの冬、確か昨年11月末か12月始めにスイッチが入った我が家の床暖房の設定温度は30℃であった。床暖房を30℃に設定しても、屋内の温度が30°になるわけではない。外気温との関係で22℃になることもあれば、16℃程度に下がることもある。だから、その日の外気温に併せてフレキシブルに設定しなければならないのだが、この冬、なかなか30℃以上には上がらなかった。時折私が35℃に上げるのだが、いつの間にか30℃に下がっている。
ちなみに30℃とは、設定下限温度、つまり、それ以下の温度は設定できないのだ。
そのためだろうか、今年の石油代は、おおむね月2万円程度だ。出費が減って、それだけなら慶賀すべきことなのだが、一方で寒い。本日夕、ギターの練習をしようかと思ったら室内が寒くて手がかじかんでいた。これでは指が動かない、とエアコンを入れて室内温度を上げにかかったが、すぐには上がらない。30分ほどして
「これなら指も多少は動いてくれるかな」
と思えたときは、すでに夕食の時間が迫っていた……。
で、今日はこの冬一番の冷え込みである。午後4時過ぎ、
「40℃にするぞ!」
と妻女殿に宣言して床暖の設定温度を40℃に上げた。なにしろ、最低気温はマイナス4℃との予報なのだ。その程度にはしておかないと、屋内で冷凍人間が出来上がってしまうのではないか?
で、寝る前に、設定温度が40℃のままかどうかを確認する。そして朝起きたら35℃に下げる。明日が最後の冷え込みらしいから、夕方になったら再び40℃にする。
快適な暮らしをするために、妻女殿といがみ合う。
どこの家庭も同じようなものなのかなあ?
私のアゴ、いや顎、ご心配いただいたかも知れないが、やや改善したようだ。
昨日までは食べ始めるときが最悪で、咀嚼しようとすると、左の顎関節がガックンガックンと、10回から20回はひっかかっていた。本日は数回で治まる。
まだ完全ではないが、治癒に向かっているようである。
だけど、何故こんなことになって、なぜ治癒するんだろう?
人体は不思議の固まりである。