2015
03.01

2015年3月1日 未知

らかす日誌

3月、名のみの春である。寒い。

どんなに寒かろうと、毎月1回、整形外科に通わねばならぬ。長年の酷使に耐えかねて腰の軟骨がすり減ったことによる腰椎すべり症のためである。つまり、腰が痛むので医者に通うのだ。

先週も整形外科に行った。

「大道さん、どうです?」

診察室に入ると、いつものように、いつもの会話が始まった。これ、月に1回、診察室で必ず聞く台詞である。

「まあ、あまり変わりませんねえ」

これも、私が発する決まり切った、いつもと同じ台詞である。
が、今回は、新しい要素を付け加えてみた。

「最近読んだ本で、軟骨がすり減って腰椎すべり症になっても、痛みが出ない人もかなりいるとあったんですが」

そう、病を持った人は学ぶ。痛みから逃れたいから、新しい、できれば最新の知識を仕入れようとする。切実な願いによる学びである。
痛みから逃れるために学ぶ。そんな切実さを学習に取り入れる方法を見いだした塾は大流行することを請け合う。

医者はいった。

「ああ、そうなんですよ。むしろ、痛みが出る人はほんの一部というのがホントですけどね」

ン? 俺は痛い。だから、ここに来る。ということは、俺はほんの一部の人の1人?
いや、驚くべきは、そんなことではない。

私が腰を痛め、この病院を訪れたとき、腰のレントゲン写真が撮られた。その画像を元に、

「あなたは腰痛すべり症で、それが痛みの原因です」

という診断が下され、痛み止めにロキソニン、ロキソニンより体への悪影響が少ないトラムセットが処方された。トラムセットは神経遮断薬で、いずれにしても、どちらも痛みの根源をなくすのではなく、痛みを感じないようにする薬である。
つまり、痛みの根源を治療するのではなく、日常生活に影響を及ぼさないよう、痛みを抑える、いわゆる対処療法でしかない。
私が通う整形外科は、この地方では著名な腰の専門医である。それでも、対処療法しかできない。

軟骨がすり減っても痛みが出る人はほんの一部で、そのほんの一部の、私みたいな患者は、痛みの根源を取り除く治療をしてはもらえない。痛みが出る根源には触らず、出て来る痛みを薬で抑える。
ということは、現代医療は、いまだに腰痛についてはほとんど分かっていないということである。腰がなぜ痛むのかは、未知の分野なのである。

「で、同じ本に、腰痛にいい体操として、ストレッチとウイリアムス体操、それにマッケンジー体操が紹介されていて、私、ストレッチとマッケンジーをやり始めました」

「そうですか。それ、やってください。特にマッケンジーは、我々の間でも腰痛に効果がある体操として定評があります。是非続けてください」

うっ。それ、もっと早く教えてほしかったなあ……。


で、マッケンジー体操をかれこれ2週間ほど続けている。といっても、朝も昼も体操をしなきゃということはほぼ忘れており、実践するのは夜布団に入る直前、と言うことが多い。
それでも、なのだ。最近、何となく腰が楽である。思い込みによる効果(プラシーボ効果)である可能性もあるので断定はしないが、ひょっよしたら、そのうち薬がいらなくなるかも知れない、と思えるほど楽である。

よって、私のマッケンジー体操実践を紹介する。

要は、簡単だ。
うつぶせになり、やおら手を延ばして上半身を持ち上げる。下半身は床に(私の場合は布団であることが多い)つけたまま。つまり、腰を後屈するのである。それも、

「これ以上は曲がらないぜ」

というほど、ギリギリまで後屈する。
そして、ここからが大事なのだが、

その姿勢を10秒保つ。

一度休んで、また同じ姿勢を取る。
これを5回繰り返す。

それだけである。
私は先に書いたように、1日1回しか実行しない日がほとんどである。それにもかかわらず、朝起きるとき、腰が突っ張っている感じが薄れた。椅子に座っても、腰が気になることが少ない。1時間ほど立っていると、まだ腰が重くなるが、それでもこれまでに比べると楽な感じがする。
つまり、個人的に採点すれば

効果あり!

なのである。
すり減った軟骨は、コラーゲンは服用しているものの、なかなか元には戻るまい。だが、軟骨がすり減っていながらまったく痛みを感じない人がほとんどだとすれば、私もその「ほとんど」の一員になって何が悪い?

そう思いながら、寝る前の1~2分、マッケンジー体操を続ける私である。


明日、確定申告にいってくる。
さて、今回は税金を取り戻せるか、それとも追加徴収されるか。1年前より確実に収入は落ちているから、取り戻せると期待する私であるが……。

にしても、だ。
実感として、何もしてくれない割には、沢山のお金を私の財布から持っていく人々であるなあ、我が国の政府というものは。