10.27
2015年10月27日 米と中と
さて、CDのリッピング作業はまだ継続中である。いまも、卓上のブルーレイ・ドライブが派手な音をたてて唸っている。恐らく、いまリッピング中のCDの製作が杜撰で、中心がずれているためにスムーズに回転しないためだと思われる。
とにかく、CDというヤツの出来は様々だ。
出来のいいヤツはほとんど音もなく回り、リッピング速度も8倍以上出てスムーズに作業が終了する。flacファイルにしたときに必要になる情報はきちんと書き込まれている。
ところが、どうしようもない奴が結構混じっている。壮大なうなりを立てるだけならまだしも、楽曲情報—アルバムタイトル、演奏家、各曲のタイトル、制作年、音楽のジャンルetc.—が書き込まれていないモノもあるものだから、そんなのにあたった日には、手動でそれを書き込まねばならない。できるだけネットで探してコピペで作業をしようと思うのだが、どう探しても見つからないのもある。1枚500円程度で売られているコピーもの、我が家にはたくさんある海賊版にその傾向が強い。それは自分でタイプするしかない。
という作業を先週土曜日から継続して、残りのCDは、ざっと見たところ、50枚程度か。我ながら、この単調な作業をよく続けるものである。
持ち込んだ息子がいた土日には、大声で
「俺の家族は、俺しか働かないのか!」
と叫んでみたりもしたが、誰も動揺せぬ。無視を決め込むだけだ。私だけがせっせと仕事をするのは、我が家では理の当然の事であるらしい。 注意を向ける者とてなく、私はひとりパソコンに向かって作業する。
にしても、だ。
どうなるのかね、アメリカと中国。
公の海の中に突然人工島をつくり、
「この人工島の周り12海里は、俺のもんじゃけんね!」
と宣言しちゃう中国の傍若無人さは、口でどれほど罵ろうと罵りきれないが、裏側から見れば、中国の外にいる誰の目から見ても横紙破りとしか見えない実力行動に出るしかない習近平政権は、国内政治では幅30㎝もない細い丸太橋を渡ることを強いられている、ともいえる。
国内の民衆に向けて
「世界一強い中国」
を演じ続け、それに反発する国を仮想敵として、国民の不満を仮想敵に向ける。こんな綱渡りが、果たしていつまで無事に続くのだろうか。
命がいくつあっても足りない演技を続けざるを得ない習近平さんに幸多からん事を。
だが、ここまでやられては
「示しがつかぬ」
というのが、世界の警察官を自認する米国の立場だろう。中国が
「中国主権の及ぶ範囲」
と主張する人工島から12海里の中へ、戦艦を入れた。
「ここが中国の領土? そんなもん、認めんけんね!」
と習近平に警告した形だ。それでも
いや、ならず者同士の喧嘩ではない。国際法では、正義はアメリカにある。
人工島に空軍用の滑走路まで造って軍事的圧迫を強める中国の影に怯えていた東南アジアの諸国は、恐らくホッとしたことであろう。これで、中国との間で軍事的衝突が万が一起きても、世界で最強の軍事力を持つアメリカは、我々の側に立ってくれる。
いや、それよりも、アメリカがここまで出た以上、中国は矛を収めざるを得ないだろう。そうすれば、東南アジアの海に平安が戻る……。
しかしながら、国際関係とは実にやっかいなものだ。習近平だって戦争がしたくていまのような行動を続けているわけではなかろう。国民の生命、外国人の命はどれほどなくなろうと痛くも痒くもないのかも知れない。しかし、戦争には多大な費用がかかる。いまの中国経済で、日本と、アメリカと鉾を交えて、戦争を続けることができるほど中国経済は健全か? もし戦争に勝てたとして、経済的に得るものは何かあるのか?
最高権力者なら、当然考えなければならないことである。
国民の不満が共産党に向かないように仮想敵を作り続ける先に、彼はどのような中国、どのような世界を思い描いているのだろう?
一度聴いてみたいが、私などにはその機会は来そうにない。どっかの自称国際ジャーナリストさん、一度体当たりのインタビューを試みてくれない?
そうそう、前回酷評した桐生市のフランス料理店、シュマンドール。一つだけ書き忘れたことがある。
この店、法外な価格を取るにもかかわらず、すべての料理を一組のナイフとフォークで食べさせる、実にレアな洋食店である。
普通、洋食の場合、皿の横に数セットのナイフとフォークがセットされる。その数を数えれば、
「今日は○○種類の料理が出るのだな」
と分かる。ナイフ、フォークともに、外側から使うのは、わざわざここに書かなくても世の常識であると信じる。
それなのに、だ。
この店、最初から最後まで、同じナイフで、同じフォークで食べねばならぬ。
例えば、フォアグラを食べたあとのナイフとフォークには、どうしてもフォアグラがこびりついている。それで次の料理を食べれば、当たり前のことだが、味が混じり合う。だから料理ごとにナイフ・フォークを取り替えるのだと思うが、この店はそう考えない。
最初から最後まで、同じナイフとフォークである。
食べ終えた皿に、マナー通り、ナイフとフォークを並べて置く。するとテーブルサービスの係が来て皿を運んでいくのはいいのだが、その際、
「これも一緒に下げて」
というつもりで皿に並べたナイフとフォークは、テーブルにあるナイフ・フォーク置きに戻される。
いや、それほど多くの洋食店で食事をした経験があるわけではない。だから、この店が完璧に常識外れだと断言するだけの根拠はない。
だが、数少ない私の洋食体験の中では、初めてのタイプであることは断言できる。
高い金取ってるんだから、ナイフ・フォークを洗う手間ぐらいけちるなよな!
と罵声を浴びせるのを、前回忘れてしまった私であった。