04.17
2017年4月17日 かかと
土曜日から1泊で、四日市に行ってきた。嵩悟の懇願に身を任せたのである。
桐生と四日市。これはかなり遠い。遠くても、いや遠いが故にか、嵩悟はボスに会いたくてたまらなくなったらしい。真の狙いはボスのポケットに入っている財布かも知れないが、まあ、それはよしとしよう。
瑛汰と璃子の住む横浜は、桐生からさほど離れていない。加えて、2人のパパに歯の修理をしてもらっていることや、たまに東京で酒を飲まねばならない事があるから、この2人に会う機会は多い。
ところが四日市となると、なかなか出かける機会もない。遠いから頻繁に行き来をするというわけにもいかぬ。
「僕だってボスに会いたい」
という憤懣がたまっていたらしい。
土曜日は午前8時前に家を出て新桐生に車を止め、東武線で浅草へ。ここから地下鉄で上野、さらに山手線で東京に出てやっと新幹線に乗る。名古屋に着いたたら近鉄戦で四日市。無事嵩悟の顔を見たのは午後1時半頃であった。
ふむ、やっぱり遠い。
我が長女と啓樹、それに嵩悟と4人で昼食をし、その足で近鉄百貨店地下の書店。着くなり、啓樹は
「僕さあ、電子工作関連のところにいるから」
と姿を消す。児童書のコーナーに走ると思っていた嵩悟も、トコトコと自分の足で走り出す。
「おい、嵩悟、そっちは子供の本じゃないぞ」
と声をかけても
「子供の本のところには赤ちゃんの本しかないからさあ」
といって足を止めない。どこを目指すんだ、こいつ?
追いつくと、「趣味」のコーナーだった。おい、小学1年生になったばかりの子が「趣味」?
床に座り込むと、書棚から1冊引っ張り出した。
「何だ、その本?」
見ると、ガンダムである。ガンダム! そういえば、嵩悟のパパもガンダム世代だ。40歳を過ぎた我が長男も同じ年代で、テレビのあちこちの放送局でガンダム特集をやった時、
「録っておいてよ」
といわれ、すべて録画した。ついでに、啓樹、瑛汰用にもダビングした。のちに、長男の友人からも
「御願いします!」
と懇願されて合計4セット作った。テレビ版から映画版まで、機動戦士ガンダムのすべてである。おい、このセット、買ったらいくらする? などといいながら、もちろん、1円の金も受け取ってはいない。
それはそれとして、そういえば四日市では、当時啓樹用と思って作ったガンダムは、だが、実は啓樹のパパが一番楽しんでいると聞いた記憶がある。してみると、嵩悟はパパ譲りの、筋金入りのガンダムマニアか!
シャーを特集した上質紙のムック本、それに
「少しは児童書も読めよ」
と押しつけた3冊、計4冊のお買い上げになった。
終えて啓樹を捜すと、いたいた、ロボットの制御技術の本を手に取っている。おい、中学1年でロボットの制御かよ。ボスにはちっとも分からんぞ!
何か欲しい本があるらしいのだが、なかなか見つからないらしい。
「じゃあ、一番近い本でも買っておけよ」
しかし、ロボットねえ。何でも、大学生になったらロボコンに出たいと口走っているらしいから、これも筋金入りである。まあ、
「東大のレゴ部に入る!」
という数年前の将来計画に比べれば、やや将来像が現実味を増したか。
文庫本、新書本も合わせてお買い上げ。
あ、もちろん、両方とも私のカードで支払った。まあ、そのためにはるばる来たようなものだから。
夜は、近くの焼き肉屋で
「嵩悟、食べられるだけ食べていいぞ!」
の夕食。終えると、
「ボス、僕のお腹、ほら、こんなに膨らんだ!」
最近肉食に目覚めた嵩悟はご満悦だった。
よろしい。間違っても草食系男子になんかはなってくれるなよ!
夜は嵩悟と添い寝。ママから離れられなかった嵩悟の初めてのボス寝、だ。小学1年生になって少しはママ離れができたか?
翌日は朝から名古屋である。名古屋のアメ横は、電子工作にのめり込む啓樹にとっては、秋葉原に次ぐ憧れの地であった。昨日までは両親に連れて行ってもらうことが出来ず、昨日がデビュー戦であった。
が、なかなか思うパーツが見つからないらしい。何でも、モーターを制御する素子が欲しいらしいのだが、私なんぞは見てもわからない。パーツ屋を数件回って、
「あった!」
2個買おうとするから、
「啓樹、こういう時は念のために3個買っておくものだ」
とアドバイス。あわせて、無線で情報をやりとりするパーツと、それを取り付けるための基板を購入。
「啓樹、ほかに配線用のコードとか、コンデンサや抵抗とか、使いそうなものは買っておいたらどうだ?」
とアドバイスするも、
「あるからいい」
私がこの場における啓樹であったら、目につくものはすべて買おうとすると思うがなあ。だって、支払いはボスの仕事だろ?
啓樹は締まり屋である。
という次第で名古屋を歩き回り、名古屋駅の地下街で昼食(超不味い!蕎麦だった)を済ませて新幹線の客となった。
困ったのはかかとの痛みである。午前11時頃から右のかかとが痛み、ほとんどびっっこをひかんばかりになった。久しぶりに長距離(でもないだろうが)を歩いたこともある。履いていた靴が、最近買った新しいものだったこともあろう。
だが、この痛みは記憶がある。そう、ファンヒータ用の灯油を入れようとして庭に落ちかけ、思わず庭石に踏ん張った右足のかかとに打撲傷を負ったことは以前ご報告したが、あの痛みなのである。
あれからずいぶんたつ。痛みが治まってからは、夜の飲み会は歩いて出かけた。それでも痛みが帰って来ることはなく、ほぼ完治したと判断していた痛みである。
あれ、治っていなかったのか?
新幹線で席に着くなり、靴を脱いだ。痛みが治まった。浅草から東武線に乗って、再び靴を脱いだ。だが、自宅に戻っても痛みは完全には消えてくれず、やむなくかかとに湿布を貼った。今朝起きたら、湿布は布団に張り付いていた。
にしても、である。どうしちゃったの、北朝鮮。ミサイルの打ち上げに失敗したんだって?
アメリカのトランプ大統領の脅しも、口先での牽制から、シリアにミサイルを撃ち込んで「次はお前だ!」といわんばかりに具体的になってきた。
「そんなもんに負けるか!」
北朝鮮としてはそういいたいところである。いや、そんな姿勢をはっきりと示さなければ統治できない国である。だから、いろいろな記念行事が続くこの時期に、それやっと打ち上げたまではよかったが、数秒後に爆発しちゃったのだという。
どうすんのかね、金正恩。これじゃあ第一書記のメンツ丸つぶれではないか。どんだけ威勢のいい言葉を連ねても空威張りにしか過ぎないことを世界中に知られちゃったじゃないか。いや、他の国がどう思おうと無視するのが常だからどうでもいいとして、さて、国民にはどう説明する? 第一書記は神でも万能でもなかったことが明白になっちゃったぞ!
とりうる方策は1つだけ。責任を誰かにおっかぶせちゃうのである。今回はミサイルを開発した研究者か、組み立てた技術者か、打ち上げた軍人か。
「俺のいうことを聞かぬバカは処刑する」
とギロチンで首をちょん切っちゃえば、まあ、当面のメンツは保つことが出来る。
だが、である。なにせ、国威発揚の現実的な担い手がその連中だ。研究者を殺っちゃったら次のミサイル開発が頓挫するだろう。技術者も腕の悪いのが残って飛ばないミサイルばかり組み立てることになる。軍人だって、エリートから殺していけば、でくの坊ばかり残っちゃう。
ミサイルの関係者は金正恩の指令に盲従し、北朝鮮という国をど真ん中で支えているエリートである。政治的に対立する幹部や、生かしておいたら政権転覆のシンボルになりかねない兄弟を殺すのとはわけが違う。
殺せば、国のど真ん中が空洞化する。要するに、北朝鮮が弱体化する。
前門の虎、後門の狼。
どうする、金正恩?
こちらは、北朝鮮のへなへなミサイルが、間違って日本に落ちてこないよう祈るばかりである。