08.30
2017年8月30日 面倒!
昨日到着したキヤノンTS8030を本日設置した。
「プリンターの入れ替えくらい」
と気軽に考えていたが、なんとなんと、電話相談の結果、やっと使えるようになるという、これまでのプリンターには見られない、まあ、時代離れした面倒を強いられた。
置き換えは簡単である。故障したMG7730を、自作の設置台から取り除き、TS8030を置く。電源コードは前のものが使えるから、差し替えるだけで済む。
そう、極めて簡単な作業だった。これくらいなら、私にもできる。
次はキヤノンのホームページに行き、セットアップのアプリをダウンロードする。あとは出てくる指示に従って操作をすれば、30分足らずで使える道具になる。
それが最新型の常識であると思い込んでいた。ところが、とんでもない面倒を強いられた。
まず、TS8030の電源を入れる。入れなければセットアップができない。
電源を入れると、インクを入れろとプリンターが命令した。素直に従ってインク端子を取り付けた。するとプリンターは勝手にヘッドの調整を始め、なにやら印刷物をはき出した。で、次の命令は
「正常であれば『OK』ボタンにタッチせよ」(正確ではないが、そのような趣旨だった。以下同じ)
正常、ね。出てきた紙を見た。下の方にプリンターの絵が2つあり、上の方にはバーコードみたいなものが印刷されている。
「ん?」
と思った。このプリンターには5色(タンクは6本)のインクが入れてある。ところが、印刷されているのは2色だけ。黒と青である。
「これ、正常か? 違うんじゃない??」
普通そう思う。
少なくとも、私はそう思った。
では、正常とはどのような印刷がなされているものなのか。マニュアルを手にした。ページをめくった。ところが、ない。正常な印刷結果が、どこにもない!
となると、とりあえず正常ではない、と判断して、もう一度印刷してみるしかない。やった。同じ結果しか得られなかった。
「おい、開封したばかりなのに、このプリンター、初期不良か?」
普通そう思う。
少なくとも、私はそう思った。
念のため、もう一度マニュアルをめくってみた。だが、ほしい情報はない。やむなく、サポートに電話をかけた。
「ということなんですけど、これ、正常なんですか? マニュアルを見ても書いてないんだけど」
サポートの男性は、
「印刷されて出てくればそれでいいのです」
というが、では何故2色刷なのか。明確な答はない。
やがて、
「ありました、お客様!」
という声が電話口から聞こえた。
「マニュアルの34ページにあります」
えっ、俺、見落としていたか? あわてて34ページを開いた。あった。立て5.5㎝、横3.7センチの小さな絵だった。
「このようなものが出てくればいいんです」
ちょっと待ってくれ。この絵、白黒だぞ! 何色で印刷されているのか、これじゃあ分かるはずがないじゃないか。プリントヘッドの位置調整というのなら、全ての色が印刷されて出てくると思うのが普通じゃないか?
出てきた絵が小さくて見つけにくいことはいうまい。しかし、少なくともカラーで示すべきではないか? どうでないと、黒と青で印刷された紙を見て、
「正常」
と判断するのは至難の業ではないか?
まあいい。とりあえず1件落着である。電話を切った。
次は、プリンターを無線LANに接続しなければならない。セットアップの手順を追っていくと、無線LAN接続に行き着いた。そうか、自動的に接続してくれるのか。ありがたい。
というのは楽観的すぎる誤解だった。
繋がらないのだ。ネットワーク上にプリンターは出てくるものの、何度やっても
「失敗しました」
である。おいおい、前のプリンターはちゃんと無線LANで動いていたんだぞ。新しくなったからといって、突然繋がらなくなるのは変じゃないか?!
とキヤノンを心の中で罵倒しても、繋がらないものは繋がらない。やむなく、再びサポートに電話をした。今度は女性が出た。
電話から流れてくる支持通りにやった。繋がらない。
「お客様の無線LANルーターは、どちらの製品ですか?」
NECである。
「通信規格はどれをお使いですか?」
お姉ちゃん、なめてはいかん。そんなことを言われたって、分かるはずがない。どうやったら分かる?
分かり方を教えてもらった。なんでも、いまは5ギガヘルツで繋がっているらしい。
「それを2.4ギガに変更していただけますか? そうでないと初期設定が行えませんので」
どうやってやるの?
言われたとおりにやった。切り替えができなかった。
「そうですか。それではルーターの設定をやり直していただいて、切り替えができるように……」
そんなこと、俺に言われたってできるはずないじゃないの!
最後の手段として、マニュアル設定を指示された。プリンターから、手動で設定するのである。それには、ルーターのSSIDと暗号化キーがいる。それはルーターに小さい文字で書いてある。それを書き取り、指示に従って手動で呪文に近い文字列を打ち込んだ。
プリンターが正常に動き始めたのは、それからである。
お恥ずかしながら、このようなLANの設定に関する知識は、私には皆無である。私だけでなく、ほとんどの方が持ち合わせてはいらっしゃらないのではないか。そのような市場に出す製品として、この作り方はいかがなものか。何故に、大枚はたいて購入した客が、電話代まで払って動かし方を教えてもらわねばならないのか? 最終的に動いたからいいようなものの、ルーターの設定までやり直さねば使えない状態になっていたら、私がプリンターを使えるまでにどれくらいの時間がかかったと思うのだ?
と毒づいても、使ってしまった時間は戻ってこない。くそっ!
まあ、悪いことばかりではない。
新しいプリンターは、サイズが一回り小さくなった。これはありがたい。
また、プリンターの背面にも給紙トレイがある。旧機は引き出し式の給紙トレイしかなかく、年賀状を大量に印刷する際に何度も引き出しを引き出さねばならなかったから、これもありがたい。
もっとも、ずっと昔のプリンターは、背面に給紙トレイがあるのが当たり前だったから、古くても良いものが復活しただけではあるが。
最後に。
このプリンター、1年半で故障するようなことはないだろうな!