03.30
花の命はどれくらい?
花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき
とは林芙美子の作らしい。
「確か、『君の名は』の一節じゃなかったか?」
と当初思ったものの、何となく自信が持てずネットで検索した。ふーん、林芙美子ね。
そのページには、彼女は
「生きることと同様、恋愛に対しても一生懸命だった」
と解説があったが、ちょっとばかり文章に切れ味がある、下半身ゆるゆるのお姉ちゃんじゃなかったの? という気がしないでもない。
ま、それはそれとして、我が家の前の桜である。花の命は実に短いもので、2日前に勝手に満開宣言をしたが、今日は早くも散り始めた。それが冒頭の写真である。みごとな桜並木と一緒に、地に落ちた桜の花びらをご確認いただければ嬉しい。桜吹雪が吹き寄せられる我が家の駐車場の掃除に追われるのは、間もなくのことである。
さて、世の中がこれほど新型コロナウイルスで騒然としてくると、コロナウイルスではない話題を口にするのが何となく憚られる空気が漂っているような気がする。そりゃあそうだろう、今日までの死者数は全世界で3万3993人。イタリアではとうとう1万人を突破し、6800人のスペイン、2600人のイラン、フランスが後を追い、アメリカも2500人に迫っているのである。
トランプは
「全米での死者数を10万人以下に抑えることができれば勝利である」
と言ったそうな。今日までの死者数のざっと40倍未満に抑えれば勝利。ということは、世界に換算すれば136万人が死ぬことになる。いや、医療水準が抜きん出て高いはずのアメリカですら40倍なら、そこまでの医療を持ち合わせていない国々ではもっと死者が出ることになる。200万人か? まあ、世界で5000万人が犠牲になったと伝わる1918年のスペイン風邪にははるかに及ばないとしても、この100年間の医療技術の向上を考え合わせれば、スペイン風邪に匹敵する脅威だともいえる。
しかし、それが勝利。何でも自分の手柄にしたい選挙前とはいえ、政治家の言とはかくも非人間的なものか。
コロナウイルスに関連して。
アメリカではトランプの支持率が上がっているらしい。しばらく前までは民主党のバイデンに5ポイントの差をつけられていたが、ここにきて2ポイントほどの差に縮まったとニュースで知った。
バイデン候補は
「危機に際すると、現職大統領の支持率は上がるものだ」
とコメントしたらしいが、やっぱり、大人一人1200ドル、子ども1人500ドルの大盤振る舞いが効いているのでは? あ、これも現職だからできることだったな。
しかし、現職だから、間違いの実績を作ってしまうこともあり得る。ニューヨーク州などいくつかの州を封鎖しようとし、猛烈な反発を受けて撤回したのもその1つだろう。つまり、コロナウイルスについて失政が重なればトランプの支持率は急落するはずだ。
コロナウイルスと秋の大統領選挙から目が離せない。
しかし、だ。コロナウイルスで延期が決まった東京オリンピックは、来年7月開催で調整が進んでいると今朝の朝日新聞が伝えた。来年7月、本気かね?
まず、コロナウイルスの猛威がいつまで続くか分からない今、どのような根拠で来年7月なら開くことができると判断したのだろう? インドネシアなどにも感染が広がったところから見ると、トランプが一時口にした
「温かくなればウイルスは死滅する」
といった楽観論は採用できない。であれば、ワクチンとは言わないまでも、せめて治療薬ができるまでは混乱は続くと見るのが普通である。インフルエンザ薬「アビガン」が一躍脚光を浴び、日本政府は治療薬としての承認を急ぐとしている。中国で一定の治療実績があったという触れ込みだが、ネットで探した限り
「湖北省武漢市と広東省深圳市の病院で合計200人の患者が対象。投与した患者の方がより短い日数で陽性から陰性になり、肺炎の症状が改善した割合も高かったという」(日本経済新聞)
程度の情報しか出てこない。この薬が承認されて治療に使われるようになれば騒ぎは収まるか?
そして、いつ収まるか見通しがつかないまま、大会関係者は来年7月に向けた開催準備を進めなければならない。そもそも、延期の後始末に加え、コロナウイルスへの対応、それに加えて開催準備。コロナウイルスの終焉時期が見通せれば計画の立てようもあるだろうが、いまのままでそんなスーパーマンみたいな仕事の組み立てが果たしてできるのか?
延期は1度だけである。2度の延期はあり得ない。IOCやその他の関係者の皆様は、それをどの程度ご認識されているのだろう?
とにかく今、世界は新型コロナウイルスの爆発的感染拡大の恐れに戦々恐々としている。そんなときにオリンピックの開催時期を詰めるなんて、浮世離れしてはいないか?
いっそ、2020オリンピックは中止した方がみんなの肩の荷が下りるのではないかと思うが、あなたはどう思われます?