12.19
明日、検査入院します。21日朝には退院してくるはずです。
しばらく先のこと、と思っていたが光陰矢の如し。
柳家志ん朝にいわせれば
「光陰矢の如し、ってのはどういうことかと申しますと、光陰というのは、ああ、矢の如しだなあ、ということで……」
となるが、早くも明日20日は検査入院の日となった。明日午前9時前に家を出て病院に入る。コロナの抗体検査があって、陰性なら病室に通される、という成り行きである。マイカーでの来院は
「退院時に運転できるかどうか不明なこと、駐車場での事故に責任が負えないこと」
を理由に禁止されたので、たった今、タクシーを予約した。あとは着替えと歯磨きセットを整えれば準備は完了である。
食事ができるのは今日の夕食まで。酒類の摂取は禁止。日付変更線を越えれば水も飲めず、明日は午前11時まで「OS-1]という経口補水液を1本許されているだけである。次の食事が許されるのは21日朝だ。つまり、明日は丸1日絶食する。少しはお腹の贅肉が取れるのかも知れない。
生検は午後3時に始まり、40分ほどかかる予定だ。下半身麻酔を施され、意識があるまま20本以上の太い針を皮膚越しに前立腺に差し込まれる。
ふむ。
という明日を前にしたとき、人はどんな思いを抱くのだろう?
不安? 恐れ? 憂鬱さ? それとも?
私はといえば、もう10数時間後に迫った現実なのに、いまだに実感がない。だから不安でもなく、恐れも抱かず、憂鬱とは縁がない。
私はこれまで入院したことがない。注射を除いては身体に突起物を差し込まれたこともない。ましてや、会陰部から20本以上の針を突っ込まれるなど、初めての経験である。
だから明日、手術台での己を想像することができず、何を不安がったらいいのか、何を恐れるべきなのかが皆目分からないから平静に時を過ごしているのかも知れない。
いや、単に感受性が鈍いため、という解釈も成りたつ。
いやいや、悟りの境地にそれだけ近づいている人格者だと見ることもできる。
いったいどれが正解なのだろう?
ま、どれが正解でも、明日は必ずやって来る。私がどのような無体なことをされるかは、記憶にあるかぎり、「らかす」でご報告する。
前立腺生検予備軍の皆様の参考になれば幸いである。