03.17
2度目の受診は初回に輪をかけてあっけなかった群馬大学付属病院でした。
いよいよ秘密のドアが開く……、というわけでもないが、今日こそはこれからの治療計画が明かされるはずだ、と期待に胸が膨らんでいたのだろうか。群馬大学医学部付属病院での2回目の診察となる今朝は何故か5時半に目が醒めた。
昨夜はO氏に誘われて若手の経営者と酒を飲み、帰宅したのは10時前。それから映画を1本見て布団に入ったから、寝たのは12事前後である。わずか5時間半の睡眠。これはいかぬともう一度寝ようとしたが一向に眠気は訪れず、やむなく6時には床を離れた。
前言通りカップヌードルを朝食とし(期待ほど美味ではなかった)、7時少し過ぎに出発。8時10分頃付属病院に着いた。この病院、再診の受付は自動機である。診察カードを差し込むと受付表が出てくる。そのまま泌尿器科へ。予約時間がドンドンずれ込んで2時間待ち、3時間待ちとなり、
「いったい何のための予約時間だ?!」
というのが常態の大病院には珍しく、予約の9時を少し回ったところで呼び込まれた。
医師との面談は淡々と進んだ。
前回、尿と血液を採られ、あらためて超音波での検査があった。まずはその結果報告である。
「あなたのがんは」
と医師は話し出した。
「スコアは7、悪性度は中です。また前立腺の皮膜を越えて広がりつつあるので局所進行がんということになります」
なるほど。でも、ほかの病院の診断結果もそんなものだったなあ。
「それで治療ですが、この段階になると、外科治療、つまり手術か、それとも放射線治療ということになります。あなたは重粒子線での治療を望んでおられるのですね?」
はい、そうです。だから重粒子線の設備があるこの病院を選んだわけです。
「重粒子線は火水木金の週4回照射を3週間繰り返します。つまり12回照射します。また、その前に半年ないし8ヶ月ホルモン療法をやっていただきます。男性ホルモンを押さえ込んでがんを小さくした上で重粒子線を照射します。また、その後も1年ほどホルモン療法を続け、経過を見ることになります」
ははあ、ということは?
「だから、実際に重粒子線治療を受けて頂くのは9月から11月頃、ということになりますね。私から重粒子線治療チームと、あなたが最初にかかられた桐生市の泌尿器科の先生に手紙を書きます。あ、それでホルモン療法はそちらの先生のところで受けて下さい」
そうですね。毎回前橋までやって来るより、桐生市内で受けた方が私も楽です。
ところで、治療がうまく行ったかどうかは、どうやって確認するんですか?
「PSA値で見ることになります」
そうですか。PSA値が4を越すとリスクが高まると聞いていますが、そうすると重粒子線を浴びれば2.5とか3.0になるということでしょうか?
「いやいや、この治療を受ければ1.0以下になります。ま、それでもがん細胞が完璧に去るわけではないので、1年間ホルモン治療を受けて頂くわけです」
もう14つ質問していいですか?
「どうぞ」
そもそも、超音波でもMRIの画像でも、前立腺のどこにがん細胞が巣くっているかははっきりとは見えないではないですか。一方、重粒子線の要諦はフォーカシングにあり、がん細胞にピッタリと焦点を合わせる必要があると聞いています。よく見えないものにどうやったら焦点を合わせることができるのですか?
「さて、私は泌尿器科医なので、そのあたりはよく分かりません。重粒子治療の先生に聞いてみてください」
そうですか。教えていただけるとよかったのですけどね。
というわけで、診察時間はわずか10分程度。今日も午後までかかるかと覚悟していたが、10時には病院を出て11時には自宅に戻っていた。
そうそう、その重粒子外来の受診日が7月3日に決まった。午前10時からである。随分ゆっくりした話だが、結構混んでいるらしい。そうか、かつては動かない臓器にできたがんである前立腺がん専用ともいえた重粒子線による治療だが、最近は焦点を合わせる技術が進んで脳腫瘍、肺がん、膵臓がんなど対象が広がっている。世の中、がんを治療する人は結構いるわけですな。
そうそう、1つだけ報告しておくことがある。PSA値である。
そもそもこの騒動の始まりは、昨秋の健康診断で13.5というPSA値が出たことである。その後泌尿器科で前立腺肥大の薬を処方され、1か月ほど服用して測ったら11.937に下がっていた。それでも高いというので今日に至るわけである。
そして、群馬大学付属病院でのPSA値検査結果が今日出た。11.116。まだ危険水準ということになるが、このように下がってきている。がんの糧道を断ち、刺客を送り込んでで1ヶ月少々。多少は効果が出ているのだろうか?
そうであってほしいものである。