06.16
銅ケーブルの盗難が相次いでいるそうで
日本全国の太陽光発電所から銅ケーブルを盗む犯罪が多発しているらしい。テレビのニュースで何度か見た。監視カメラがあるにもかかわらず、堂々とカッターで銅ケーブルを切断、車に乗せて運び出す。大胆な犯行である。
そして私は、
「そら見たことか」
とニュースを見ながらビールを飲む。
犯罪多発の背景には銅価格の急騰があるらしい。急騰の原因をチャットGTPに聞いてみたら、
・再生可能エネルギーの普及
・電気自動車(EV)の普及
・鉱山の生産制限
・界経済の回復
などをあげてきた。ん、それだけか? と思い
「ウクライナ戦争、イスラエルとハマスの戦争は関係ない?」
と再質問したが、
・直接的な影響を与えているとは言い難いですが、間接的な影響はあり得ます。
というつれない回答である。
そうか、妻女殿の質問にボールを飲みながら
「あちこちの戦争で兵器を大量に作る必要ができ、銅の需要が急増したのが原因だ」
と答えたが、間違っていたのかな。
それはそれとして、銅は一種の相場商品である。非鉄金属を商っていた妻女殿の父が、倉庫に大量の銅を貯め込み、相場が上がるのを待っていた姿を私は見ている。銅の価格は常に変動にさらされているのである。
太陽光発電は、その銅を使わなければ成立しない。太陽光パネルで生みだした電力を送電するのに、銅ケーブルはなくてはならない。そしてその構造上、銅ケーブルは外に晒しっぱなしにするしかない。つまり、盗むのは簡単である。銅の国際価格が急騰すれば、この種の犯罪が多発するのは当たり前のことと、ともいえる。
いや、いま外部にさらされている銅ケーブルを頑丈な鉄やステンレスなどで覆い、盗難を防ぐ手もあるかも知れない。だが、コストが上がる。そんな投資をして、果たして採算に合うのかどうか。
太陽光発電は3.11で福島原発が事故を起こして以降、再生可能エネルギーとして脚光を浴びた。だが私は当初から、太陽光発電には懐疑的だった。何しろ、お日様が顔を出していなければ発電できないのである。それに、太陽光の強さで発電量が変わる。昼間は発電量が変動常なき発電所で、その変動をカバーするのは石炭火力、石油火力である。夜は発電しないのだから、石炭、石油に頼りっぱなしになる。これが脱炭素社会に向けた取り組みなのか?
加えて、太陽光発電は自然破壊でもある。桐生でも、緑の山肌の一部が剥ぎ取られて、不気味な銀色に光る太陽光パネルに置き換えられている景観を見る。あなたの近くにもある風景ではないですか?
日本での太陽光発電所からの銅ケーブル盗難をそんな目で見ていたら、アメリカでは電気自動車への充電施設から銅ケーブルを盗み出す犯罪が起きているとのニュースを見た。いまアメリカでは、充電施設に乗り付けたガソリン車は犯罪者の乗り物と見なすのだそうだ。
「充電する必要がない車で、なんでここに来る?」
というわけである。
さあ、こちらは困った。充電スタンドと電機自動車を結ぶのは、銅ケーブルである。太陽光発電所ならコストを無視すれば銅ケーブルを守る手はある。しかし、給電スタンドから電気自動車に伸びる銅ケーブルをどうやって犯罪者のカッターから守ったらいいのだろう? 複数のガードマンを常駐させるか?
私は電気自動車にも懐疑的である。乗り心地その他は技術改良で向上するだろう。問題は、充電である。
日本の車が全て電気自動車になったら、原子力発電所を7つか8つ新しく作らなければ電力需要に間に合わないといわれる。いや、それほど急速に電気自動車の普及が進むとは思えないが、それでも、
いつ充電するか
は問題である。
日本ではlクーラーの使用が増える夏場の日中、暖房需要が増える冬場の夜に電力需要がピークに達する。この時間帯に数多くの電気自動車が充電を始めればたちまち電力不足となり、悪くすればご近所一帯が停電してしまう。
電気自動車が1台だけなら心配することはない。10台でも100台でも1000台でも懸念することはない。だが、日本ではいま、約8100万台の車が走り回っている。それが全て電気自動車になったら全国各地で、連日のように停電騒ぎが起きるだろうと心配するのである。
太陽光発電所と電気自動車の充電スタンドから銅ケーブルを盗み出す。それは犯罪である。しかし私の目に犯罪者集団は、世に存在してはいけないものを存在できないようにする義賊ではないか、とも見えてくるのはソンなわけである。
先日、夢の技術と言われた核融合が実現一歩手前まで来たとの報道に接した。かつてに記憶では2050年にも無理、といわれていたから、ずいぶんの前倒しだ。この技術が確立されればエネルギーは無限に作り出すことができる。何かと批判される原子力発電所、私が批判する太陽光発電所など要らなくなる。その時代になって初めて、電気自動車の世が来るのではないか。
まあ、その頃には私はこの世にいないかも知れないが。