2024
07.17

アメリカは内戦を始めるのか?

らかす日誌

医者の指示によれば、私の無言の業は本日午後、解禁されたはずである。そう思って声を出したら、声が何だか喉に引っかかってうまく出て来ない。俗に言う、しゃがれ声である。あれまあ、声帯も筋肉のひとつ。1週間も使わないと、動き方を忘れてしまうのかねえ。かつての美声を取り戻すには、今日から筋トレが必要だということか。声帯の筋トレ。カラオケにでも行くのか?

前回、トランプが狙撃されたことにやや興奮し、取り急いで原稿を書いた。20歳の狙撃犯が現場で射殺されたことを知ったのは翌日のことである。
死人に口なし。20歳の青年がなにゆえにトランプを殺そうかと思ったかは、これで永遠の謎になった。そこが最も知りたかったことなのだが。
アメリカは何せ、ダーティ・ハリーの国である。悪者は容赦なく殺す。いや、ハリーは犯人を追い詰め、書類に残すことはないが、供述をとった上で44マグナムの引き金を引いていたと思うが、現職の警察官はとにかく危険人物を排除することしか考えないらしい。きちんと逮捕していれば、殺すほどにトランプを憎んでいた若き共和党員の胸の内を知ることが出来たはずなのに。
アメリカ、何という国なのだろう。

そういえば、今月号の文芸春秋に「米国で南北戦争が再び起きる日」という記事があった。2021年1月に起きた連邦議会襲撃事件を予言していた政治学者、バーバラ・ウォルター教授のインタビューである。
彼女によると、内戦が起きるかどうかを占う変数は2つある。
1つは、政治政体の安定性である。民主主義がきちっと根付いた国では内戦は起きない。強い独裁制の国も内戦とは無縁である。内戦が起きるのはその中間にある国。中途半端な民主制の国と、締め付けが聞かない独裁制の国なのだという。民主制が安定した国を+10、強力な独裁制の国を-10とすると、-5から+5と評価される国で内戦は起きやすい。

もうひとつの変数は。民族・宗教・人種による政治的分断の激しさである。

そして彼女はアメリカを分析した。政治体制でいうと、かつての+10から+8に下がっていた。さらに、かつては金持は共和党支持で、貧しい人々は民主党に集っていたのに、2008年以降、労働者階級の白人が民主党を離れて共和党に投票するようになった。いま、共和党支持者の9割が白人なのだという。これを彼女は人種による政治分断が進んでいると判断し、アメリカを

「今後2年以内に政治的暴力が生じるリスクが高い国」

に分類したのは202年12月だったという。その直後の2021年1月、連邦議会襲撃事件が起きたと。

無論、単なる偶然かも知れない。そうであったとしても、ややゾッとする偶然である。力で政治を動かす。トランプが開いた扉である。アメリカは今、内戦を準備しているのか?

そんな流れの中でのトランプ狙撃事件。これも政治的暴力である。動機を知りたかったのは私だけではないだろう。アメリカは本当に内戦を始めてしまうのか?

ウクライナにイスラエル、北朝鮮、中国。アメリカは今内戦などをしている暇はないと思うのだが。