2024
08.24

私の本が見ず知らずの人に売れた!

らかす日誌

Miさんから電話がかかってきたのは午後3時すぎである。Miさんは、私の「桐生を紡ぐ」という本をくるむ、美しい表紙カバーをデザインしてくれた人だ。

「大道さん、あの本あります?」

本とは、『桐生を紡ぐ」のことである。それは、ある。売るほどある。しかし、どうしてあの本が必要なのか? 彼には1冊差し上げたはずだが。

「実はね、SNSでこの本のことを発信したら、『欲しい』という人が現れまして。それで必要になったんです」

へえ、彼が発信したSNSで、「桐生を紡ぐ」が欲しくなった人がいた。
そういえば、誰かが言った。

「この表紙のデザイン、中身を食ってるんじゃないか?」

そうかもしれない。だって、中身のことは何も知らずに、彼がアップした本の写真だけ、つまり彼がデザインした表紙カバーだけを見て注文してくる人がいるぐらいなのだから。何だったら、表紙カバーをもう一枚景品としておつけしましょうか?

しかし、嬉しい報告だった。私がこれまで売った6冊は、買い手はいずれも知り合いだからである。知り合いは義理もあろう、人間関係を維持したいとの思いも加わるだろう。だから、見ず知らずの人がこの本に手を延ばしてくれたことが嬉しいのである。

私が売った6冊のお客様の中には、中学3年の時に朝日派米少年として一緒にアメリカに行ったYa君もいる。メールのやり取りの中で、

「今度私の本が出る」

と知らせたら、

「是非読みたい」

というメールが来た。
でき上がったので

「送るよ。お金はいいわ」

と書き送ると、突然電話が来た。

「大道さん、ただはいけません。知的創造物にはきちんと対価を支払うべきです。私にも、本を書いた経験がありますので、タダでいただくわけには行きません」

彼は大学の先生をやっていたのだ。本もずいぶん書いたのだろう。でも、そう堅いことを言わないで。だったら、読んで面白かったらほかの人に紹介してよ。その分はきちんとお金をいただくから、と説得しても頑として聞き入れない。やむなく、お金をいただくことにした。税込み1650円と送料180円で、計1830円である。

「でも、どうやってお金を送ってくるの?」

と聞いたら、

「郵便為替で送ります」

そんな面倒なことをしてまで料金を払ってくれるとは、ありがたいことである。

そのYa君からメールが来た。本が到着し、早速読み始めてくれたらしい。私は褒められるのが好きだから、無断でここに転載する。

「大道さん、『桐生を紡ぐ-よそ者記者のイチオシ桐生①』を早速読み始めました。まだ『桐生えびす講』の関東一までですが、よそ者記者とは言え、そこに生活し、町を思う人々の心意気が捉えられ、読む私にも伝わって更に読み進めさせられる筆致は流石です」

過分な褒め言葉をありがたく読ませていただいた。

ところで、やって来たMiさんには3冊持ち帰っていただいた。今日1冊注文があったのなら、明日も明後日も注文があるかも知れない。毎回我が家に本を撮りに来ていただく手間を省くためである。これが、10冊、20冊単位で持ち帰っていただくようになれば嬉しく、印税生活も視野に入ってくるかも知れないのだが……。