2024
08.30

妻女殿の入院が延びた

らかす日誌

妻女殿の入院が1ヵ月延びた。新型コロナによる肺炎が悪化したのではない。新しい病が見つかったのである。大動脈弁膜症。心臓の左心室と大動脈の間にあって血液の逆流を防ぐ弁が硬くなり、血液を存分に送り出すことができなくなっている病である。

コロナによる肺炎は順調に回復していたらしい。そのため、明日土曜日に退院の予定だった。だが。足利日赤では入院患者である妻女殿の健康状態を詳細に調べたらしい。その結果、心音に乱れがあり(「雑音がする」と言われた記憶がある)、さらに調べて大動脈弁膜症が分かったのだという。

昨日電話で話した医師は、まず

『奥様の現状はいつ突然死が起きてもおかしくない状態です」

といったから、かなりの重症である。

「そこで、予定通りに土曜日に退院していただき、改めて心臓外科に入院していただく方法と、このまま入院を継続していただく方法がありますが、どちらがよろしいですか」

と聞いてきた。おいおい、いつ突然死するかも知れない患者が退院してどうする? 自宅にいる間に突然死するかも知れないんだろ?

「であれば、入院を継続して下さい」

と答えるしかない。

「わかりました。で、治療の方法ですが、開胸手術とカテーテルを入れる治療とがあります。どちらを選択されますか?」

そんなことを医療に素人の私が突然聞聞かれても答えようがないと思うのだが、聞かれたら答えざるを得ない」

「身体のる負担が少ない方がいいと思いますが、どちらでしょう?」

次は医師が答える番である。

「カテーテル治療の方が侵襲度は低いのです。それに、奥様は年齢に加え、膠原病という患っていらっしゃる。だから手術に耐えられるかどうか不安もありますので、カテーテル治療の方がいいでしょう」

だったら、最初からそう言えばいいだろ?

「それで、入院の延長期間はどれほどになりますか?」

すぐに、想定外の答えが戻ってきた。

「1ヵ月ほどかかると思います」

1ヵ月! それは、毎日の夕食の献立を自力で考えなければならない負担と、金銭的な負担の両面攻撃である。できれば避けたい。が、避けられないのなら甘受するしかない。

膠原病とは、本来は体内に侵入した外敵を攻撃する免疫システムが、自分の身体を外敵と誤認して攻撃する病である。遺伝子の変異が原因だといわれ、先日読んだ本では、マラリアから身体を守るため遺伝子の一部が変異し、それが膠原病を引き越すことになった。ということは、妻女殿の血には、マラリア多発地帯である東南アジアの血が流れていることになる。

これまで妻女殿の膠原病の治療(といっても根本的な治療法はなく、現状維持を目的とする対処療法に過ぎないのだが)のため前橋日赤の腎臓内科を受診してきた。いま考えれば、妻女殿の場合、免疫システムの主要攻撃目標が腎臓だったのだろう。今回大動脈弁膜症に病が現れたということは、免疫システムの攻撃目標が心臓に移ったか。あるいは心臓にまで広がったか。

それはそれとして。いつ突然死してもおかしくない心臓の状態とは! 本人に自覚症状はなかったのか? 毎月訪れる前橋日赤の診察で、心臓は対象になっていなかったのか?

ま、過ぎたことをあれこれ思っても役には立たない。
あと1ヵ月。さて、本来なら妻女殿が帰宅して采配を振るうはずだった明日の夕食は何にしよう?