01.12
「CINEMA KURA」を出版しました。お買い上げをお願いします。
昨日、私の本のAmazonでの販売が始まった。前にお知らせした「桐生を紡ぐ」ではない。今度の本は「CINE MAKURA」という。この「らかす」でかつて連載した「シネマらかす」の原稿をまとめたものである。
「シネマらかす」には85本の原稿がある。今回「CINEMA KURA」として出版したのはそのうち、初回から順に21回までである。それでもA5版340ページの分厚い本になった。残りも順次本にしていく予定である。
といっても、オンデマンド出版というヤツだ。注文があり次第印刷して製本し、お届けする。2530円は私も高いと思うが、これでも手元に残るのは100円少々らしい。印税率が10%にも満たないのは何とも情けないが、より利益を得ようと3000円にしたら手を出す人はいないだろう。よって泣く泣く2530円(税込み)にした。
「といったって、『らかす』で読んだものをどうして金を出して買わなきゃならん? いや、まだ『シネマらかす』には目を通していないが、読む気になればただで読めるものに、どうして金を払う?」
とけげんな顔をされる貴方、いや全くその通りでごめんなさいというほかない。弁解するとすれば
「前文をつけました。中身も一部手を入れています。それに、本で読むとまた感じが違いますよ!」
程度しかない。ご了解いただければ、リンクを張ったAmazonの「CINEMA KURA」のページに飛んで、「カートに入れる」、あるいは「今すぐ買う」のボタンをポッチンしていただけませんか?
もともとは雑談から生まれた企画である。もう四半世紀ほど雨、「シネマらかす」を本にしたくなり、あれこれ伝手を辿ったがダメだったことはどこかに書いた。桐生でIT関係の仕事をしてる知り合いの事務所でそんな話をしていたら、
「大道さん、ネットで本を出すという手もありますよ」
という若者がいた。
「だけどなあ、私のHPに行けばただで読めるものを、わざわざ金を出して買う人がいるのかね?」
と当然の反応を示す私を
「いや、いまはそんな時代です。やってみませんか」
と若者はけしかけた。
「わかった。ま、売れなくて元々だ。だったら、君がネット関係のことはやってくれ。原稿は私が用意する」
ということで始まった。本にするのだから、当然表紙がいる。お金を出せば作ってくれるサービスもあるということだが、最近知り合った桐生在住のデザイナーを仲間に引き込んだ。3人のチームで電子出版をする。利益は私が50%、あとの2人がそれそぞれ25%ずつ分けるということで 出版までこぎ着けた。
これまでにかかった費用は見本刷りを2度したので4500円程度である。それだけの金で、私の手元にはAmazonに飛んでいただいた貴方が目にした「CINEMA KURA」が1冊ある。売上げ1冊あたりの利益が100円だとすると、私の取り分は50円。4500円の元手を取り返すには少なくとも90冊は売れてくれなければならない。そんなに売れるかなあ……。
もっとも、文章を書く人間にとって、自分の書いたものが活字になって本にまとまるのは何とも気分がよろしい。俺も物書きであるという自己満足感がムクムクと湧き上がる。これで背表紙に「大道裕宣」の文字が印刷された本は「桐生を紡ぐ」に次いで2冊目である。私は着々とライターとしての地歩を築きつつある。のかな?
私をけしかけたITの若者の狙いは、このあと展開する電子書籍、つまりkindleなどで読めるファイルの販売である。
「電子書籍だと、売値の40%が利益になります」
という。700円で売ったら280円、800円にしたら320円。なるほど、オンデマンド出版よりはるかに利益率はいい。しかも、オンデマンド用に編集したファイルがわずかの手間で電子出版用のファイルになる。
「そうか、電子書籍か。よし、1億円の利益が出たら私が5000万円、君たち2人はそれそれ2500万円。なかなかいいじゃないか!」
と瞬間的には盛り上がったが、さて、どれだけ売れるのか。正直、自信はない。
まあ、いい。70代も後半に入った今、なにかやること、出来ることがあるだけでもいいではないか。自分を慰める私である。