02.18
敗北の記
私はFileMakerとの戦いに敗北した。というか、FileMakerを見放した。これは、常人が使えるデーてベースソフトではない。
ファイル間の串刺し検索のスクリプトはとうと完成しなかった。チャットGTPというAIの実力が不足だったからである。格闘すること確か4日間。日曜日の夜、私はとうとう
「チャットGTPに頼っていては、絶対肉資材検索のスクリプト(まあ、コンピューターに対する命令文のようなものか)は完成しない!」
と確信した。だが、まだFileMakerを見放しはしなかった。おりよく、昨日月曜日夜に、群馬大学理工学部の教授様たちを交えた飲み会があったからだ。
「理工学部なのである。データ処理にFileMakerを使っている人がいるのではないか? 生半可なAIより、はるかに優れた指導をしてくれる人がいるのではないか。何しろ彼らは人に物事をし得るプロではないか」
昨夜はそのFileMakerの名人を教えてもらい、今日はその名人に会い、いまごろは快適にFileMakerを使い始めている‥‥、はずだった。
であれば、ファイルメーカーの別の機能に習熟しておこう。昨日はそう思い立った。別の機能—ファイル間のデータ移動である。
私が契約しているWOWOWは毎月20日前後に翌月の番組表を送ってくる。それをめくって、この先1ヶ月に録画する番組を決め、ブルーレイレコーダーで録画予約をする。
そしてBentoでは、その録画する予定の番組のデータを整理していた。2025年2月に録画予定のものは「新規」というフォルダ内に「2025.2」というサブフォルダを作って入れておくのである。録画の準備はこれで万端整う。
そして、レコーダーに録画した映画、あるいはドキュメンタリー、音楽番組などを見る。ディスクにして保管する価値があるものはディスクに焼き、保存しなくていいものは消去する。それに伴ってデータベースにも手を入れなければならない。ディスクで保存するものは、該当するファイル、つまり、アル・パチーノが出た映画は、「2025.2」フォルダから「アル・パチーノ」というフォルダに移動する。また、ディスクにする価値がないと思ったものは、「新規」フォルダ内の「廃棄」フォルダに移す。こうしておかないと、つまらないと判断して消した映画を再び録画する恐れがあるからである。なにしろ1万本前後の映画あるのだ。どんな映像資産が我が家にあるのか、とても覚え切れるものではない。
そういう事情で、FileMakerでも、ファイル間のデータ移動は必須なのである。
今度はチャットGTPに見切りをつけてGoogleに頼ってみた。ところがこれが、とてつもなく難しいらしいのだ。あるページには、スクリプトを書くことで解決した、とあった。えっ、データ移動にスクリプト? 串刺し検索のスクリプトだっていまくいかなかったのに、そんなスクリプトをかけるか? 書くとなるとチャットGTPに頼らねばならないが、またまた混迷に陥るのではないか?
そもそも、である。Bentoではカット・ペーストで簡単にデータ移行ができた。BentoはFileMakerの開発・販売元であるクラリスが出していた簡易版のデータベースソフトだった。簡にして要をえたソフトで、実に使いやすかった。その同じ開発元が題しているFileMaker で、簡易版と同じことでできないとは‥‥。
ここに至って、とうとう私はFileMaker に絶縁状を叩きつけた。お前は我が友ではない! 2万数千円の投資が全くの無駄になるが、致し方ない。
代わりのソフトを、私はまたまチャットGTPに頼った。あまり当てになる相棒ではないが、まあ馬鹿と鋏は使いようである。そうして、最後に行き着いたのがGoogle スプレッドシートだった。Google はあまり好きな会社ではないが、まあ、これは無料である。私の主張は金銭が絡むとすぐに転ぶ。
Googleにアカウントを持っていれば、Google ドライブにアクセスすればすぐに使える。どうやら、ブラウザでデータベールが管理できるようだ。
目の前に現れたGoogle スプレッドシートに、エクセルで書き出していたデータを読み込む。私のデータベースは、「映画」があ、い、う、え、お順など53に別れているが、それを画面の下に現れるシートで管理する。何度か失敗しながら、「映画」のデータは全て読み込むことができた。数が多すぎてシートの名前は途中から見えなくなるが、これは仕方がない。必要があればスクロールすれば済む。
「映画」「国別」「人物別」「新規」とスプレッドシートを作り、それぞれをブックマークしてブックマークバーに置く。こうしておけば、必要なデータをすぐに呼び出すことができる。
そこまで作業を進めて、ふと気になることを思い出した。WOWOWの番組表で、録画したいと思った番組がすでにディスクになっているかどうかを調べるのに、私はすべてのシートを開いて検索しなければならないのか? 「映画」なら53あるシートを串刺し検索することはできないのか?
チャットくんによれば、できないことはないらしい。IMPORTRANGE 関数とか、oogle Apps Script(GAS)とかを使えばできるというのである。だが、私には荷が重すぎる。
ではどうする? いまのところ、「映画」「国別」「人名別」「日本映画」「新規」のデータを1枚のシートにまとめ、検索用のスプレッドシートを作ろうと思っている。中身が変わった時、例えば2025年3月に「明日に向かって撃て」という映画を録画してディスクにした場合、「新規」内にある「2025.3」で「明日に向かって撃て」をコピーし、それを「映画」内の「あ」のシートにペーストし、さらに「検索用」の「映画」のシートにもペーストする、という二度手間が発生するが、それは致し方ない。全てはFileMakerが私の求める機能を備えていなかったが故のことである。
それにしても、Bemtoは使いやすかった。価格も安かった。なぜクラリスは、アップデート版を出してくれなかったのか? これも悪貨が良貨を駆逐する一例なのだろうか? 困った世の中である。