2025
04.27

長男一家が来てくれた

らかす日誌

昨日、長男一家が来てくれた。我が妻女殿の現状を確認するのが最大の目的であろう。何度も

「桐生に行きたい」

という問いかけがあり、そのたびに妻女殿が

「暖かくなってからね」

と拒絶し続けた。体力に自信が持てなかったのあろう。やっと4月も末になって実現した。

長男夫婦の目的がどうであれ、家族で来れば主役は一粒種のあかりである。到着すると、挨拶もそこそこにあかりはいった。

「ボス、ピストルある?」

ピストルとは、BB弾を発射するワルサーP38である。四日市の崇悟がかつて、ワルサーP38を欲しがったことがある。

「だったら、ボスが買ってやる」

といっても、遠慮をするのかなかなか

「買って!」

とはいわない。奥ゆかしい人格とも言えるが、私の方がじれた。勝手にAmazonに注文したのである。

「ボスも欲しいから1つ買った。崇悟にも1つ買った」

と言い渡した。その、ボス用のワルサーP38がわが家にある。

前回あかりが来た時に、そのワルサーP38で遊ばせてみた。楽しかったらしい。私は何度も弾詰めを命じられ、家の内外であかりは狙いを絞って引き金を引いた。あまりに楽しそうなので、

「これ、持っていっていいぞ」

といったのだが、なぜがそれは拒み、いまだにわが家にある。それなのに、ボスの家に行くとなると、あかりの頭にまず最初に浮かんだのはワルサーP38だったらしい。

しばらく遊んだあと、昼食に出かけた。お寿司がいい? ウナギは? と問いかけるボスと両親に、あかりは

「うどん」

と答えた。金のかからない孫である。
長男夫婦の好みも考えて、まず蕎麦の「さいとう」に行ってみた。親はうどんよりも蕎麦を食べたいだろう。ここには蕎麦もうどんもある。であれば、皆それぞれに楽しめるはずだ。
ところが

「申し訳ありません。うどんは売り切れで」

あかりに聞いた。

「蕎麦ではダメか?」

返答は明瞭だった。

「うどんが食べたい」

そこで、うどん屋で蕎麦も出す「しみずや」に舵を切った。これが思わぬ大成功で、

「美味しかった!」

といったのはあかりだけではない。私より味覚が敏感な長男も

「美味かったわ」

腹が満ちれば、あかりの求める本を買わねばならない。あかりは3月に8歳の誕生日を迎え、そのお祝いは本に決まっているのだがこれまで誕生祝いを買ってやる機会がなかったのだ。
伊勢崎のスマークに向かった。ここにはくまざわ書店が入っていた。ところが昨日行ってみると、丸善に入れ替わっていた。何が起きたのだろう?
ま、それでも本は買える。6、7冊の本を買うと、次の目的地は桐生のBook Offである。ここでは10冊以上の本が買い物カゴに入った。

私は、子供の知性を伸ばすには本を与えるに限ると思っている。本が嫌いな子なら難しいが、幸い、我が孫たちはそろって本好きだ。あかりもその1人である。このような孫群を持つことができた私は幸せ者である。もっとも、財布は軽くなったが。

昨日はその後、焼き肉の「たけ内」で夕食。ここも長男たちの評価は高かった。この店、いい肉を出す。

それからカラオケに行こうということになった。妻女殿は無理なので、運転代行を頼んでまず妻女殿を自宅に送り届け、そのままカラオケの店に向かった。
いやいや、あかりはマイクを持つのが好きらしい。私の知らない歌を次々に歌っていた。どうやら、機動戦士ガンダムの挿入歌らしい。ガンダムを見たことがない私が知らないのも当たり前である。長男はあかりとデュエットし、Queenの「Under Pressure」で絶叫し、驚いたことに、岡林信康の「自由への長い旅」を歌い出した。

「おい、この歌は…」

と問いかけると

「児玉さんがこの歌を歌いながら泣いていたんだよね」

といった。児玉とは、先日身罷った児玉徹である。

「だって、俺はお前が子供のころはビートルズと岡林しか聞かせていない。児玉が歌う前からこの曲は知っていただろう」

と聞くと、確かに知ってはいたという。だが、長男の心に刻まれたのは児玉が泣きながら歌うこの曲だったらしい。

「だけどな、わが家で児玉が必ず泣いたのは『ジェームス・ディーンにはなれなかったけれど』だがな」

というと、この曲が予約され、私にマイクが手渡された。

こうして、長男一家来桐の1日目は更けていった。