06.22
事件はどんな展開を見せるのだろう?
この事件、結構市民の関心を集めているらしい。
「やーね、これで桐生のイメージがまたいちだんと下がる。困ったもんだわ」
といったのはある女性である。
「いや、僕も驚きました。彼の選挙の応援は同級生のよしみでやっていましたが、こんなことになるとはね」
とは働き盛りの商店主の話だ。そして彼によると、SNSで情報が飛び交っているらしい。事件が引き起こすだろう桐生への悪影響を懸念する声が多いと聞いた。
それはそうである。それでなくても桐生は人口減少が止まらない。行政が止める手だてを打ったという話も聞かない。そこにこの事件である。ふるさとに愛着を持つ人たちが
「なんてバカなことをしてくれたんだ!」
と怒るのも当然である。
それは市民感情として理解できる。だが、私はその前に、どうしても気になることがある。この事件、どう発展するんだ?
これまでの報道では、ことは桐生市の新庁舎建設にからむ不正事件である。そして公競売入札妨害の疑いがあるということで相沢県議が逮捕された。相沢県議は関東建設工業に有利なように「技術評価」の基準を変更させて公正な競争入札を妨げたというのだが、最終的に技術評価基準を決めるのは、発注者の桐生市である。桐生市選出とはいえ、県会議員が出来ることではない。相沢県議の働きかけ、あるいは圧力を受けて評価基準を変えてしまった桐生市役所の人間がいなければ、事件は成立しないのである。桐生市役所から逮捕者が出るのはどう考えても避けられないのだ。
そう考えた私は、少し取材をしてみた。すると、
「◯◯さんが警察に呼ばれているらしい」
「△△さんは仕事に出てこなくなったらしい」
という、真偽のほどは分からない話を聞くことが出来た。技術基準を変更できるような立場にいるのだから、◯◯さんも△△さんも、桐生市役所の偉いさんである。
そして極め付けはこの話だ。
「事件は週明けに動くと聞いているんですが」
ということは、今週、桐生市役所の誰かが逮捕されるということなのか?
以来、NHKのデータ放送、インターネットをでこの事件を追いかけているが、進展はない。記者さんたちは仕事をしていないらしい。事件記者にとってサンズイ(汚職の汚は三水偏なので、記者は汚職事件をサンズイと呼ぶ)は、取材の花である。現役時代の私は事件を追いかけるのに土曜日も日曜日もなかった。いまの記者たちは週休2日を遵守しているのかな?
そして、桐生市では早くも、市長選挙の話が出始めている。
「だって、こんな事件が起きたら、いまの市長は責任を取らざるを得ないでしょう」
というのである。そして、候補者のリストまでがSNSで交換されているらしい。私の耳に入ったのは、桐生出身でテレビやラジオのパーソナリティをやっている男性と、現職の県会議員である。まだ市長選になるかどうかは全く分からないいまの話だから、この情報に信憑性があるかどうかは不明である。ただ、そんな話まで持ち上がるところに、桐生市民の動揺を見るだけである。
さて週明け、事件はどんな展開を見せてくれるのか。
いまごろ、首を洗っている桐生市関係者は誰なのだろう?
あ、そういえば、もう一つ情けない話を聞いた。
この事件、埼玉県警と群馬県警の合同捜査である。いまのところ逮捕されたのは群馬県関係者ばかりだ。事件も群馬県桐生市を舞台にしている。なぜ埼玉県警が顔を出す?
「それがねえ」
と教えてくれたのはある事情通である。
「関東建設工業が埼玉県で目に余ることをやっていたというんだわ。目に余るという情報提供者がいたらしい。それで埼玉県警が捜査を始めた。すると、『何だ? おかしなことをしている群馬県議がいるぞ』と分かって、こちらの方が事件として取り上げやすいのでまず相沢県議の逮捕、ということになったらしいんですよ」
そうか、群馬県警が自力で掘り起こした事件ではなかったのか。
二重にも三重にも情けない群馬県であることよ!