2006
07.24

2006年7月24日 iMac戻る

らかす日誌

ここしばらく、ホームページを更新しなかった。いや、しなかったというより、できなかった。
自宅のiMac G5の挙動不審については「らかす日誌 7月10日 冷や汗」で書いた。あれで何とか治まった、非常への備えもできた、と楽観視していた。

ところが、敵は巨大だった。その非常の備えすら打ち破られてしまったのである。7月16日日曜日のことだ。

冷や汗は2度とかきたくない。やはり、内蔵ハードディスクを取り替えよう。前日の土曜日、私は仕事のついでに秋葉原まで足を伸ばし、250Gの内蔵ハードディスクと専用工具を買った。1万円少々だった。ハードディスクも安くなったものである。そして日曜日、満を持して我が手で交換作業に取り組んだ。

これで我が愛機は生き返る。電源をつないで、CDから起動した。あとはシステムをインストールすれば愛機は健康体になる。ウインドウズマシンと違って、Macはユーザーフレンドリーなのだ。とニンマリするはずだった。

ない。内蔵のハードディスクがインストール先に現れない。ん? ちゃんと取り付けたよなあ……。コネクタは2つしかなかったし……。これは正常ではない。買った店に電話をした。買ったハードディスクの初期不良かもしれない、交換するから持参せよといわれた。苛立つが、仕方がない。

非常への備えはこのような時のためにある。私は自信を持って、ファイアワイヤで接続した外付けハーでディスクからの起動を試みた。ん? 立ち上がらない。いや、立ち上がらないというより、電源が入らない。電源ボタンを押すとほんの一瞬、電源ランプがつく。が、すぐに消えてあとはウンともスンとも言わない。何度試してもダメである。

おかしい。なぜだ? 修復用ソフトから立ち上げて外付けハードディスクを覗いた。ディレクトリが壊れれているという。え、電源の不具合で変なパルスが出て壊しちゃったのか? ということは、システムだけでなく、待避させたファイルも壊れたのか? そんな……。
そのソフトで修復を試みた。が、壊れ方ひどいのか、修復作業が途中で止まってしまう。すでに、時計は日付変更線を回った。

仕方なく、そのまま寝た。もう私の手には負えない。週明け、18日に修理専門店に持ち込もう。諦めて寝た。

17日。今日もiMacは動かないのか。
現代生活とは不便なものである。突然自宅のパソコンが動かなくなり、ネットに接続できなくなると、情報から遮断されてしまう。緊急の課題である修理専門店を探すこともできない。すべては明日を待つしかない。

朝食を終えた。30分ほどは我慢した。が、30分が経過すると、このままでは今日1日が台無しになるという気が強まった。このままでは、1日中動かぬパソコンのことを考えて過ごすことになる。イライラしてほかのことが手につくはずがない。
このような時の対処療法は1つしかない。行動である。闇雲でもいい。動くことである。

車にiMacを積み込み、会社に向かった。会社のパソコンで修理専門店を探すのである。そして、修理してもらう。多少金がかかっても仕方がない。
車を使い、ガソリン代と首都高の高速料金を負担して会社に着いた。ネットで修理専門店を探した。いくつか見つかった。かつてお世話になったこともあるクイックガレージも出てきた。ホットして受話器を持ち上げた。ところが、なのだ。すべての修理専門店が、堂々と宣言していた。

土日・祝日休業!

おいおい、サラリーマンって、土日、祝日しか、自分の時間を自由に使うことはできないんだけどね。あ、そうか、あんたたちもサラリーマンの集まりか。だから、休みも私と一緒になる……。
でも、それっておかしくないか?
と毒づきながら、空しく自宅に引き上げるしかなかった。パソコンは会社に起きっぱなしにした。持って帰っても、ただのプラスチックと金属のゴミだ。

18日、いくつかの修理専門店に電話を入れた。すべての店で、対面修理はできないといわれた。

えっ、昔はできたじゃないの?
最近システムが変わりまして、修理部品の在庫が持てなくなったものですから。

やむなく、唯一対面修理をやってくれそうな銀座のアップルストアに持ち込んだ。
今回の不具合を説明した。それを聞いていろいろ触っていたお兄ちゃんがいった。

「マザーボードだと思います。ここでも交換はできますが、9万円ほどかかります。でもピックアップ&デリバリーサービスをご利用いただくと5万円ほどで済みます。どうされますか?」

「えっ、わざわざここまで運んでくると9万円取られるのに、自宅から電話をして取りに来い、修理ができたら運んでこいというと半額で済むの?」

 「はい、そのようなシステムになってます」

 「それって、変だよね? 逆じゃない。持ち込んだら半額というのが常識じゃない? アップルって、何考えてんの?」

 「その通りだとは思いますが、どうされますか?」

 「決まってるジャン。安い方ですよ、安い方。じゃあ、持って帰るわ」

 「はい、では……。お客様、裏蓋がちゃんと閉まってないようですが」

 「あ、そう? 自宅でHDD交換作業をした時に、ちゃんと合わせなかったんだな。悪いけど、+ドライバーを貸してくれる? 裏蓋をはめ直すから」

「あ、それでしたら、私どもでやって参りますのでしばらくお待ちください」

なかなか親切なお兄ちゃんだ。サービス業はかくあるべきものである。土日、祝日に休む修理専門店には、このお兄ちゃんの爪の垢を煎じて飲ませたい。5分ほど待った。

「お待たせしました。それでですねえ」

ん? 何かトラブルか?

 「実はこの機種のマザーボードは無料交換の対象でして。初期不良があったものですから。はい、マザーボードは無料で修理いたします。それで、こちらでお預かりします」

地獄に仏、とはよくいったものである。9万円が5万円に減り、それが無料になった。これで、6,7回は飲みに行ける……。
自らに責任がない、メーカーの落ち度でここしばらくイライラした日々を過ごした過去は、すべて頭から跳び去った。感謝したくさえなった。無料、の力はそれほど大きい。
冷静になれば、 飛び上がって喜びそうになる私は、情けない。が、それが私であることを認めざるを得ない。

怪我の功名、もあった。だって、裏蓋をきちんとはめ込んでいたら、このお兄ちゃんが裏ぶたを開けて中を覗くことはなかった。私は空しくこのパソコンを自宅に持ち帰り、アップルに電話をしてピックアップを頼んでいた。アップルでマザーボードの交換作業をする人が心正しき人ならいいが、世には心悪しき人もいる。もし心悪しき人にあたっていたら、5万円なにがしを取られて、事情を知らない私は、これも仕方がないと諦めて軽くなった財布を握りしめていた……。

本日、そのiMac G5が手元に戻ってきた。正常に立ち上がる。内蔵ハードディスクも壊れてはいない。私が作ったファイルもすべて無事である。慶賀の至りだ。

手元には、40Gの外付けハードディスクと、250Gの内蔵型ハードディスクが残った。ムダな金を使った。しかし、買ってしまったものは仕方がない。40Gは会社においてバックアップ用に使おう。250Gはケースを買って外付けハードディスクに変身させ、自宅でバックアップ用に使おう。

今週末からは、自宅でも原稿が書ける。できるだけ頻繁にホームページの更新をしようと決意する私であった。
ま、私はこの程度に単純なのである。