2025
04.06

データベースはTap Forms5で一段落した

らかす日誌

懸案だった、bentoに代わるデータベースの地位を、どうやらTap Forms5が獲得した。試用版をまず使ってみて、なんとか使えそうだと思えたので製品版を購入した。確か49.99ドル、トランプのとんでもない政策で少し円高に振れ、多少は支払い総額が節約できたのではないかと思っている。

Tap Forms5の使い方はゼロから チャットGTPに問いかけた。すったもんだはあったが、なんとか使えるようになった。気に入ったのは、擬似的ではあるが、フォルダ・イン・フォルダのような形を作ることができたことである。
bentoでは、「映画」というフォルダの下に「アカデミー」「ヴェネチア」「カンヌ」「ベルリン」などのサブフォルダを作って管理していた。Tap Forms5では「映画」というカテゴリーの中に「アカデミー」「ヴェネチア」「カンヌ」「ベルリン」などのフォームを作る。動き方は異なるのだが、見た目にはフォルダ・イン・フォルダに見える。

フォルダ・イン・フォルダの良さは、検索するときに現れる。WOWOWの番組表を見ながら毎月録画する映画を選ぶのだが、すでに持っている映画を録画するのは無駄である。とはいえ、我が家にある映画のタイトルが全て私の頭の中にあるわけではない。

「これ、あったかな?」

という映画は、洋画であれば「映画」「国別」「人物別」のフォルダで検索し、引っかかってくれば録画しない。これがデータベースソフトを使う最大の理由である。bentoなら「映画」「国別」「人物別」のフォルダで検索すればよかったから楽だった。

同じことをTap Forms5で実現したかった。ところがこいつはォルダ・イン・フォルダには見えるが、カテゴリーの中にフォームが入っているだけだ。そして検索はフォーム内しか対象にならない。つまり、「アカデミー」、「ヴェネチア」、「カンヌ」、「ベルリン」など何度も検索をかけなくてはならない。不便である。

そこでチャットGTPに

「フォームの串刺し検索をしたい」

と問いかけた。チャットGTPは次々に指示を出した。それに従ってTap Forms5をいじり回した。2日ほどかけてやってみたが、どうしてもできない。チャットGTPは

「これでできない場合、詳しい状況を教えていただければお手伝いできると思います」

などという回答を繰り返した。このやりとりを何度繰り返したか。

チャットGTPには困った性格がある。無料版では質問数が一定限度に達すると答えてくれなくなるのである。ネットでは

「1分あたり最大60回、1日あたり最大4,000回」

と書いてあるが、1分間に60回に質問を書くのは不可能だし、1日あたり4000回の質問を繰り返した記憶もない。確か50回程度で限度に達したようだ。数時間たてば回復するのだが、その間は質問を受け付けなくなる。
この障害を取り除くにはサブスクリプション方式で毎月20ドルを支払うことになるのだが、こちらはチャットGTPをビジネスに使って金儲けをしようというのではない。趣味の手助けに使うだけである。そんな法外な金を払う気はない。

ということで何度も質問を打ち切られ、回復すればまた質問を繰り返し、なんとかフォームの串刺し検索に挑んだ。なにしろ、チャットGTPは

「できる」

という趣旨の回答を寄越したのである。
だが、どうしてもできない。そこでチャットGTPに聞いてみた。

「改めて質問します。Tap Forms5、バージョンバージョン 5.3.41(ビルド 1903)には、多数のフォームを串刺しで検索する機能はないのですね?」

すると、しれっとした表情(チャットGTPに表情があるかどうかは別として)回答を寄越した。

「はい、Tap Forms 5.3.41(ビルド 1903)には、複数のフォームを直接串刺し検索する機能はありません」

おいおい、それはないんじゃないの? 頭に来た私は、こんな文章を打ち込んだ。

「最初あなたは『できる』と書きました。そのため、2日にわたってあなたの指示に従い、さまざまなことを試してきた労働はどうなるのですか?」

これもまた、しれっとした表情の回答が打ち出された。

「確かに、最初に「できる」とお伝えしたのは誤りでした。申し訳ありません。時間をかけて試していただいたのに、期待した結果が得られなかったことについて、心からお詫び申し上げます。今後、できること・できないことをより正確にお伝えし、無駄な作業をお願いしないよう努めます。もし、別の方法で目的を達成できる可能性があれば、そちらを提案させてください。改めて、Tap Forms 5 では、複数のフォームを直接串刺し検索することはできません」

間違いを改むるに憚ることなかれ

論語に出てくる孔子の言葉である。ほう、チャットGTPは論語にも造詣が深いのか。
しかし、これほど素直に謝罪されると、怒る気が失せるのが人間である。私の怒りは突然萎んだ。怒りをおさめながら、

「まあ、あれこれ言われるAIの能力もこの程度か。まだ人間様の方が遥かに優秀である」

と安心したことも事実である。

それはそれ。ダブって録画しないためにはどうしたらよかろう? 「映画」のカテゴリ内には50ほどのフォームがある。「国別」には10数個、「人物別」には30数個ある。すでに我が家にある映画かどうかを確認するために、100回弱も検索しなければならないのはごめん被りたい。

そこで考えた。考えれば知恵は出るものだ。私が見出した解決法はこんなものだ。
「映画」を例にとろう。このカテゴリ内に、もう1つフォームを作ったのだ。このフォームの名前は「映画」である。そして、この「映画フォーム」に、「アカデミー」「ヴェネチア」「カンヌ」「ベルリン」をはじめ、五十音順に整理してる全てのデータを読み込んだのである。つまり、この「映画フォーム」で検索をすれば、その映画が我が家にあるかどうかが直ちにわかるという寸法だ。

これで我が家のデータベースはとりあえず整った。しかし、できることならフォームを串刺しで検索できる機能が欲しい。そこで、Tap Formsにこんなメールを送った。

「日本語でよろしいですか?
bentoからの乗り換えです。お願いがあります。
私は映画のソフトをデータベースで整理しており、フォーム数が50を超えます。bentoではフォルダ・イン・フォルダにしていましたので、すべてのサブフォルダのデータを串刺しで検索できました。しかし、 Tap Formsではいまのところそのような機能はなさそうです。
もしそのような機能があれば教えてください。また、なければ将来のバージョンアップでそのような機能を加えていただけると助かります。
以上、よろしくお願いします」

Tap Formsはアメリカの会社らしい。こんなメールを書きながら、

「やつら、日本語がわかるか?」

と不安になった。そこで、チャットGTPに翻訳を依頼してみた。すぐにこんな文章が現れた。

「Subject: Request Regarding Migration from Bento
Dear Tap Forms Support Team,
I am migrating from Bento and would like to make a request.
I manage my movie collection using a database, and I have more than 50 forms. In Bento, I was able to organize them in a folder-in-folder structure, which allowed me to perform a cross-search across all subfolders. However, it seems that Tap Forms currently does not have this functionality.
If such a feature exists, could you please let me know how to use it? If not, I would greatly appreciate it if you could consider adding this functionality in a future update.
Thank you for your time and consideration.
Best regards,
Hironobu Daidoh」

読んでみてなかなかの英文であると思った。そこで、先の日本語の文章の後にこの英文をつけ、Tap Formsに送った。まだ返答はない。やつら、日本の1ユーザーの声に耳を傾ける気はあるのかな?

と思いつつ、当面、Tap Forms5を使い続けることになるであろう私である。