2025
07.25

桐生の事件、やっと基本構図が出来ました

らかす日誌

桐生市の森山享大・元副市長が24日、逮捕された。桐生選出の相沢県議逮捕に始まった桐生市新庁舎建設をめぐる事件には「実行犯」が登場せず、なかなか全体の構図が姿を現さない、と前々回書いたが、これでやっと主要な役者がそろったことになる。

そして、贈収賄の疑いも出てきた。森山元副市長は入札に関する秘密事項を漏らし、見返りに10万円の商品券を受け取った疑いがあるというのだ。10万円ぽっち? と驚いてはいけない。この10万円は、警察が証拠を握り、裁判でも立証できると確認した10万円である。桐生市の新庁舎建設は60億円を超える工事である。その秘密をたった10万円ぽっちで漏らすはずはない。まだ警察が確証を得るには至っていない金銭の授受があると見るのが常識である。

しかし、長かったねえ、ここまで。相沢県議が逮捕されたのが6月19日。相沢県議だけでできる犯罪ではなく、桐生市側に実行犯がいなければ成り立たない事件で、しかも桐生市で新庁舎建設の責任者だった森山・元副市長が関与しなければ行いえない犯罪なのに、逮捕までに1ヶ月以上掛かっている。群馬県警の捜査能力はその程度なのか?

残る課題は桐生市政である。7月7日の「らかす日誌」に書いたが、荒木市長が森山容疑者を副市長に取り立てた経緯がいかにも不透明だったからだ。
だから、

「市議選に立候補しなかった森山君の件で、あなたとの密約、つまりあなたが当選したら副市長になるという密約があるという噂が私の耳にも届いている。本当かどうか知らないが、もし、そんな副市長人事をしたら大変なことになるよ。それだけは胸に納めておいて欲しい」

と私は荒木市長に忠告したのだ。それでも森山被告が下馬評通り副市長になり、私は、荒木市長が何らかの弱みを森山容疑者に握られているのではないかと、疑った。当時の私はすでに朝日新聞を離れており、そんな思いを持ちながらも取材で事実を究明する努力はしなかった。新聞社を離れるとはそういうことである。

このような経緯を顧みれば、収賄の疑いで逮捕されるような男を副市長にした荒木市長は任命責任を問われなくてはならない。

荒木市長は森山・元副市長の逮捕を受けて

「新本庁舎建設に関する公契約関係競売入札妨害事件に関し、皆様には多大なるご心配とご迷惑をお掛けしておりますことを深くお詫び申し上げます。
このような中、令和7年7月4日付けで退職をした森山享大前桐生市副市長が、本日、官製談合防止法違反・加重収賄の容疑で逮捕されたとの報を受けました。
現時点では、報道以外の情報がなく、警察による捜査の進展を見守るしかない状況ではありますが、本市前副市長が逮捕されるという事態となったことは、誠に遺憾であり、忸怩(じくじ)たる思いであります。
市政を預かる者として、重ねて、深くお詫び申し上げます。 市といたしましては、引き続き、事件の真相究明に向けて、警察の捜査等に全面的に協力してまいります」

という談話を出した。己の任命責任に一言も触れていないのはどういうことだろう?
事件の重大さ、森山被告を副市長にした経緯の不透明さから判断すると、市長は何らかの責任を取らざるを得ないと思う。その責任の取り方は、一辺の謝罪文や減給◯◯ヶ月、などということでは済まされないはずである。

前にも書いたが、桐生市内では間もなく市長選になるだろうという観測がある。すでに誰が出るのかに関心を寄せる市民も増えつつある。
荒木市長の出処進退が次の関心事となった。