09.07
どうなるのかねえ、自民党
石破首相が退陣を表明した。トランプ政権と渡り合い、自動車の輸入関税を15%まで引き下げさせたのが花道というところか。
そんな花道論は別として、参院選大敗以降の自民党内の世論、それに悪乗りして退陣を迫るメディアの圧力に屈したということか。
私は石破首相、自民党を支持するものではないが、
「おい、大丈夫か、自民党?」
と思ってしまった。なぜなら、前に書いたように、自民党が参院選で大敗したのは石破首相の責任ではないと考えるからだ。これまでの歴代首相、中でも小泉元首相が推し進めてきた政策で、日本は格差社会になってしまった。多くが派遣労働者やアルバイト、あるいは業務委託というシステムの中で低賃金労働者になってしまった。40歳を過ぎてもアルバイター。結婚なんかとてもとても、という人々を数多く生み出したのは歴代自民党政権である。
自民党政権を支えてきたのは農村であるとか、土建業界であるとか言われてきた。それもあるだろう。しかし、分厚く自民党を支えたのは中間層である、というのが私の見方だ。豊かではないが、額に汗して働けば、きっと明るい明日がある、という中間層は保守層である。それが自民党の分厚い支持基盤だったはずだ。
それを歴代の自民党政権が潰してきた、本来は「中間層」になるはずだった人たちが、自民党の政策ゆえに下層民に落とし込まれた。いま起きているのは、そういう人々の反乱ではないのか。自民党はもう頼りにならない。だから、参政党に票を投じる。弱者に手を伸ばしてくれそうは国民民主党に票を投じる。
いってみれば自民党は、自らの支持基盤を切り崩す政策を取り続け、今日を迎えた。参院選での大敗は、決して石破首相の責任ではない、と私は考えるのである。
私もかつてはメディアの端くれだったが、それにしてもいまのメディアの知的退廃ぶりはひどい。知的営みが全く感じられない。田舎に逼塞してる、しかもほとんど経済しか取材したことがない私が思いつく全体構図を、私が知る限りどこも描きえていない。自民党議員にアンケートしたり、自民党の地方組織にアンケートしたりして、
「石破首相退陣を求める声がこれだけ盛り上がっております」
と報じる記事は本当に必要なのか? そんなことより、自民党を襲っている地殻変動、あるは自業自得を書いたほうが遥かに意味があると思うのだが。
しかし、石破のあとを襲うのは誰なのだろう? 誰が自民党総裁になろうと、根本的な問題に目を向けていない以上、ろくなことができるはずがない。
では、政権交代か? それが憲政の常道かもしれないが、ドジョウこと野田が率いる最大野党の立憲民主党に指示が集まる様子はない。そりゃあそうだろ、有権者は民主党政権のでたらめぶりをしっかり記憶しているのだ。
参政党、国民民主党のようなポピュリズム政党が票を伸ばした。その分析を徹底しなければ自民党の再生はありえない。それなのに、党首選挙を前倒しでやるってか。
日本という国が、ボロボロと崩れていくような気がして仕方がない昨今である。