06.10
2009年6月10日 音らかす
「音らかす」について、見知らぬ方からメールをいただいた。
まあ、いつものように褒められると舞い上がってしまう私である。ご本人のご了解をいただいたので、私を褒め殺しにでもしようという殺人の意図が読み取れないでもないメールをご紹介する。
音racas さま
昨日、30数年前にクリスアンプをヘルプした後輩から、桝谷英哉さん2000年逝去を知り、ただ「残念」の思いのみ。
1993年定年退職してから桝谷さんとはプッツリ疎遠になりました、自然にそうなる要因があって決して気まずくなったのではありません。
麻耶山の麓の自宅や神戸市役所前のクリスコーポレイション事務所には数え切れないほど通いました。
社長は私を気に入りの社員であるかのように,あすこの「うどん」がうまいぞ、一寸「そば」を食って行こう,寿司をつまもうなど全部社長のポケットマネーで私も当たり前のようにご馳走になっていました。
便りのないのは良い知らせと思いこの人は100歳近く、少なくとも私よりはるか先まで生きれるエネルギーを備え価値を持った人であると無意識の中に私の身体にしみこんでいました。
オーディオ雑誌ライター宅で終電を待って真夜中に生録音をしましたね、近郊のマニアに招待され贅沢なオーディオルームに高価な機器一式私は目を回していましたが、社長はいつもの桝谷節で明確、適切な言葉が流れ聞いている私も胸がスーッとしました、
200人を前に「ピアノとオーディオの会」をホールでやりました、その他クリスアンプを使った視聴会を何度も何度もやりましたね。
社長、先生、桝谷英哉さん
夢にも思っていなかった別れです。天国からクリスアンプで貴方の声がきこえます。
よろしく
前出の後輩から「音らかす」完読の良き感想をきかされ、「君子」中までを読ませていただいたところ、感動が襲いつたないメールをとる。
貴方の持ってる一つの分野は「クリスキッドアンプ」そのものですね、桝谷さんをこよなく理解し、やさしさがにじみ出ていますね、私の知らなかったことも解り懐かしく嬉しかった。
貴方の透明性は抜群です、論理と事実のバランスが優美にマッチして読む者にさらっと説得をあたえてくれます。
桝谷社長がこれを読み得たら、ほんとに お喜びになったことでしょう。
私は本当に感動しました。ありがとうございます、つづきを見るのを楽しみにしております。
以上である。たぶん神戸にお住まいの、岩根晟とおっしゃる方からのメールである。
突然、このような方との交流が始まるのも、桝谷さんの導きであろう。
おっさん、しばらく会わんけど、元気にしてまっか? 雲の上からの手紙、ちっとも来いへんで。生きてたころは、クリスキットのロゴ入り便せんでよく手紙くれたやないか。さぼったらあかんで!
ひょっとして便せん切らしたか? 作って送ったろか?
そうそう、おっさんからは手紙より電話の方が多かったな。そういえば電話もぜんぜかかって来えへんな。天国には、電話なんていう文明の利器はあらへんのかいな?
でもな、おっさん、まだこの国にはまだ、手紙も電話もくれんあんたのことをよー覚えとって懐かしんでいる人が沢山おるで。そんな人たちの1人からメール、もろてしもた。あんたのひきあわせや。ありがとな。
この文章を書くに当たり、クリスキットと、ソニーのCDP-911と、自作の120リットルボックスに入れたテクニクスの16cmスピーカーで、マイルス・デイビス「Kind of Blue」を聞きつつ、焼酎を飲んでおります。
時ならぬ、桝谷さんを偲ぶ夜になりました。
岩根さん、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。