10.04
2012年10月4日 中国
やっぱり、目下の日中関係が気になる。気にしているのは私だけではないらしい。出版ビジネスに携わる方々もそうお考えになったらしく、中国を特集した雑誌が店頭に並んでいる。
気になる私は、そのうちの2冊を買った。
週刊エコノミストの
「歴史から学ぶ中国」
はつまらない。加藤徹・明大教授の論文は「3」という数字にこだわって中国の歴史をまとめるが、どうも「3」にこだわりすぎて、すっきりと頭に入らない。ほかの記事も大同小異で、私はあまり学ぶところがなかった。
面白かったのは、
「中国『反日』の打算と誤算 反日の行方 変質する反日、自滅する中国」
をうたったニューズウイークである。
最初の記事、「燃え広がった反日デモと『愛国』の正体」(ふるまいよしこ=フリーライター)からして、教えられることは多い。
それによると、尖閣列島を日本政府が買収することに抗議する反日デモの原因は、我が国のドジョウ首相が、胡錦濤国家主席のメンツをつぶしたことにあるという。
9月9日、ロシア・ウラジオストックでのAPECで2人は立ち話をした。その時、胡錦濤は
「国有化は受け入れられない。誤った決定を下すことなく、日中関係の大局を維持して欲しい」
と語りかけた。
それはいい。この語りかけに対し、我らがドジョウは
「大局に立って処理したい」
と答えたという。
なのに、その2日後、ドジョウは尖閣諸島を政府が買収すると発表した。この無神経さに、胡錦濤が怒ったというのである。
ま、我々日本国民なら、ドジョウの言葉は
巧言令色少なし仁
であることは理解済みである。この人の言葉にはその場を乗り切る浅知恵しかなく、一皮めくって言葉の裏側を見ようとしても、広大な虚無が広がるだけでなにもない。
ドジョウ体験の少ない胡錦濤さんが、それを知らなかったのはやむを得ない。
でも、知らないから頭に来る。そんなわけで、この間の反日デモは、すべて胡錦濤の指示のもとに行われた、ということを著者はデータを示しながら説明する。
事がそのようにすすんだのなら、そりゃあ、胡錦濤さん、怒っても仕方がない。何とか穏便にやりましょうよ、と語りかけ、わかりました、という返答をもらって安心していたら、
「なに、あいつ、俺の話を聞いていたのか!」
と誰だって怒る。
日本企業が暴徒に襲われ、多大な損害を出した。その原因がドジョウにあったとなれば、被害にあった企業は、ドジョウに損害賠償を求めるべきである。あ、その場合には、ドジョウの個人資産から支払いを受けるようにしていただきたい。どれほどもっているのかは知らないが。
上智大学のジェームズ・ファーラー氏は、主に上海でのデモを冷静に分析している。
今回のデモの参加者はバスで集会場所に運ばれ、警察に誘導されて日本総領事館に向かった。つまり、当局が完全にコントロールしたデモであった。
あるヨーロッパの記者が1週間、デモに付き合った。沢山の参加者に取材したが、そのうち上海市民は一人だけで、ほかは上海に出稼ぎに来た人がほとんどだった。出稼ぎに来るのは、いまの中国での貧困層である。それがデモの主体だということは、「反日」を」掲げた生活向上運動であったともいえる。ましてや、デモの参加者に柳条湖事件についての知識がほぼ皆無に近かったとなれば、デモの本当の狙いが」反日」にあったというのは疑わしくなる。
ブライアン・クライン・元米国務省中国経済担当官の分析も役に立つ。
「かつては中国の経済成長を牽引していた外国からの直接投資も落ち込んでいる(今年最初の8か月は前年比3.4%減)。ちなみに日本は中国への有力投資国の1つだが、今回の騒動で投資を控える動きが出るのは避けがたいだろう。日本製品への非公式な『制裁』や、日本のハイテク産業に欠かせないレアアースの輸出制限も。日本の投資熱を一段と冷ますだけだ。/中国産業の近代化に欠かせない高度技術の移転も止まりかねない。そして、日本以外の諸国も。中国でのビジネスはリスクが高いと考え始めるだろう」
いたずらに国民のナショナリズムを煽り、日中間の対立をエスカレートさせてそれぞれが制裁に打って出れば、日中それぞれが深い傷を負う。喧嘩とはそのようなものである。
さて、ドジョウにいまの日中関係をソフトランディングさせる知恵、行動力が期待できるか……?
民主党には、早く「野党」という定位置に戻っていただきたいと願わざるを得ない。
もっとも、そのあとを襲うのが、安倍率いる自民党となると……。
日本海波高し、の昨今である。
と小さな胸を痛めている私の、右の肩の痛みは依然として引かない。なかなかにしつこい痛みである。
今日夕方、ギター練習を始めたら、30分ほどで痛み始めた。やっぱり、よくなるまでギターは押し入れにしまった方がいいのだろうか? そうなれば、再び取り出したときに弾けるかという心配が沸き起こるのであるが。
誰か、しつこい腱鞘炎を治してくれないか?