10.26
2013年10月26日 復旧の日
我が妻女殿は、残念なことに幸いなことに、本日午前10時前、無事退院された。前橋日赤病院までお迎えにあがったことはいうまでもない。
行かねばどのような報復が待ち受けるか知れず、その上、タクシー代などという余分な出費もかかる。選択肢がなかった私は午前8時半過ぎに自宅を出て、雨の国道50号線をひた走るしかなかった。
健気(けなげ)なことよ
と感歎されるも、
哀れなことよ
と同情されるも、あなたのお好きになさればよろしい。
というわけで、我が短い独身暮らしは、今朝を以て終わった。復旧とは、それ以前の状況より良くなったことを表す言葉ではない。単に、しばらく前と同じになった、あるいは、同じに近くなった、というだけのことである。
というわけで、我が自炊生活も、今日の朝食で終わった。
というわけで、まだお知らせしていなかった昨日からのメニューを書き記す。
昨日。
朝食:モヤシのみそ汁=前夜の使い残りを処分したに過ぎない
塩鮭:シャケは辛塩の方が美味い。
冷凍ホウレンソウ:特にコメントなし
海苔は探したが見つからず
相変わらず、白菜の漬け物
昼食:市内の喫茶店でカニクリームコロッケ定食
さて、問題は夕食である。前夜はステーキだったし、どうしよう? 手間はかけたくないし……。
ふと思いついた。
「水戸正で秋刀魚を焼いてくれたな」
水戸正とは、桐生市本町2丁目の鮮魚店だ。人口の少ない町だから、魚種は限られている。しかし、店頭に並べられた魚は、質のいいものばかりである。ここで買う刺身は、市内のおおむねの飲み屋、寿司屋で出て来る刺身より美味い。
桐生の飲食店は、味音痴が経営するところがい多いのか。儲けにひた走る店主が主流を占めるのか。いずれにしても情けない。
話がそれた。戻す。
秋の味覚といえば秋刀魚である。まだ皮の一部が焼けているような熱々の秋刀魚にかぶりつきたいとしばらく前から願っていたが、妻女殿は焼いてくれない。
「煙が出る」
というのである。去年まではうちのキッチンで焼いていたのに、今年は宗旨替えしたのか? といってみても、焼いてくれないものを食べることは出来ない。で、半ば諦めていた。
「そうだよ、水戸正で焼いてくれといってたな。それを持って帰ればいいジャン」
まず、メインディッシュはかくして決まった。が、秋刀魚だけでは不安である。スーパー、ヤオコーで春雨サラダ、マカロニサラダを購入。あわせて、根菜の煮付けの冷凍ものも手に入れて、これで夕食の準備は万端だ。
そして、締めのご飯は、
「野菜の手巻き寿司」
にした。
梅干しの果肉と鰹節を一緒にして叩き、そこにマヨネーズと醤油を加えた摩訶不思議なペースト状のものをつくり、キュウリや大根、ニンジンのスティック、それにご飯と一緒に海苔で巻く。海苔は朝のうちに探し出していたから、準備に怠りはない。
まず、例のペースト状のものをつくり、冷め始めた秋刀魚を電子レンジで温める。傍らで、辛み大根をたっぷりすり下ろし、冷蔵庫から柚を出して輪切りにする。これで準備万端整った。
ビールを飲みながら、ゆずをたっぷり搾った秋刀魚を完食、買ってきたサラダは半分ほど残し、さて、いよいよ野菜の手巻き寿司。8個食べて十分と判断、夕食を終えた。
ん? 根菜の煮付け、忘れてた。ま、冷凍だから大丈夫だろう……。
今朝は、
再び、ネギと揚げのみそ汁
アジの干物
キャベツとニンジンの炒め(ニンジンは、手巻き寿司用のものが大量に残ったため)
海苔(在処を見つけたから)
手抜きを重ねた割には、満足できる食生活であった。
私の2台のMartinと、彼所有の1台のMartinを交換してくれたCD、楽器店主であり、元プロのベーシストであり、いまはギター教室の先生である桐生市のNさんが
「大道さん、俺も、肩が痛くなるってどういうことか分かったよ」
といった。木曜日のことだ。
「どうしたの?」
と聞くと、もと私のものであったMartin D41で、初めて取り組むちょいと難しい曲を練習していたのだという。
「そうしたら、えっ、えっ、えっ、という感じで右肩が痛くなって。Martin D41の胴の厚さって、こんなところに効いてくるんですね。分かりましたよ、大道さんがこのギターで練習していて右肩が痛くなったのが」
いや、分かってもらっても私の右肩の痛みがなくなるわけではない。
「やっぱり、000とかOMとか(このあたりは、ギターに詳しい人でないと分からないかも知れないが……)の方が楽ですよね」
確かにそうである。私も最初から、胴の薄いタイプのギターを使っていたら、肩痛に悩まされることはなかったかも知れない。そもそも、Martin D41を買ったとき、ギターには様々なタイプがあるってことすら知らなかったもんなあ……。
だが、肩痛が起きる原因はもうひとつあるのだ。
「あのさ、あなたは若いころからギターをやり続けてきてるんだよね。それなのに右肩が痛くなるって、それ、あなたが急速に私の年齢に近づいているってことじゃない?」
何しろ齢を重ねれば、体験済みのことが多いから、おおむねのことには驚かなくなる。
会った相手にどんな肩書きがあろうと、ビクともしなくなる。私なんぞは、時の経産大臣をからかったことがあるぐらいだ。
魅力を感じる女性の年齢幅が広がる。
ねえ、こんなにいいことがあるのである。多少酒が飲めなくなろうと、食が細くなろうと、髪が薄くなろうと、あるいは白くなろうと、肩や腰が痛もうと、十分に見返りのある取引ではないか?
私は、そう思う。いや、無理矢理にでもそう思おうとしている。
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