02.14
我らがガースーはほとほと運がない人でありますな。
運、というものがあるのかどうか。よくよく考えると分からない。科学的には何の根拠も見当たらないのに、
「また試験に落ちちゃったよ。俺って、本当に運に見放されてるな」
と考えたりする。
あ、これは努力不足、実力不足の責任を「運」に押して受けているだけか。
それはそれとして、宝くじで当たった人なんぞは
「運のいい人だなあ」
と羨望のまなざしを向けられる。買っても買っても当たらなければ
「俺は運が悪い」
である。でも、「運」っていったい何なんだ?
ということはひとまず置くとして、我らがガースーは、トコトン運に見放さされているのではないかと思えてきた。
コロナの渦中に首相になったのは、前の安倍っちが、コロナ対策があれもこれもうまく行かなくなって投げ出した政権を拾ったのだから、運がいいも悪いもなく、あのタイミングしかなかったから仕方がない。
しかし、コロナの蔓延もそろそろ一服したかな、と思って打ち出したGo To キャンペーンが大外れ。コロナで苦吟する旅行業界を救い、日本経済を立て直そうとの意気込みは良かったが、逆に感染拡大の第3派を招き、政権のお尻に火がついた。
首相であれば誰だって、コロナを押さえ込むのも大事だが、経済にカンフル剤を打たないと日本が沈没するぞ、という危機感は抱くはずである。われらがガースーも、業界と仲が良いなどの噂はあるものの、やっぱり日本を救わねばという使命感もあったはずである。恐らく、マジメに考え抜いて放った策が大転け。見通しが甘いという見方もできようが、運が悪かったとみても、それほど外れてはいまい。Go to キャンペーンに反対した人(私も含む)だって、科学的根拠に基づいて反対したのではないからである。
日本オリンピック組織委員会の森じいさんの発言も、我らがガースーにとっては間が悪かった。森のじいさんといえば、もともと
「サメの脳みそ、ノミの心臓、下半身はオットセイ」
と揶揄される、放言癖がある方である。後継首相となった小泉純一郎の支持率が異常に高かったことを
「森の後じゃ、誰がやってもあれくらいの支持率にはなるさ」
と言い放った私の知人もいる。
それなのに、元総理という肩書きがものをいったのか、組織委員会の会長に収まっていた。その方の、世界の女性を敵に回すような失言。ガースーからすれば
「コロナ対策で俺が矢面に立たされているのに、こんな時期に口を滑らせることはないじゃないか」
と恨み言の1つも投げつけたい心境だったに違いない。
それだけで終わるかと思っていたら昨夜、再び福島沖が揺れた。マグニチュード7.3、最大震度6強。ちょうど映画鑑賞中だった我が家も結構揺れ(桐生は震度4)、しかも揺れている時間が結構長かった。あわててNHKにチャンネルを合わせたものである。
しかし、就任から半年にもならないのに、コロナを抱え、感染拡大に直面し、森のじいさんに足元をすくわれかけ、今度は本当に地面が揺れた。コロナも森失言も地震も、自ら引き起こしたものではなく、向こうが勝手にやって来た。我らがガースーは、運に見放された首相であるというほかない。
冒頭にも書いたが、運とは何かははっきりしない。だが、はっきりしているのは、運がない人は長の座にあったはならないということである。
「しまった!」
とほぞをかみたくなる手を打っても、結果はうまく行くことがある。
「これはうまく行くはずだ!」
のはずが、惨めな結果に終わることもある。前者を運のいい人といい、後者を運が悪い人という。付き従わねばならないのなら、出来れば運に恵まれた人の後を歩きたいと思うのが人情である。首相には運のいい人がいい。
だからだろうか。永田町では菅降ろしが始まっていると報じられるようになった。何でも、我らがガースーは人の言うことを聞くのが嫌いで、何でも自分で決めたがる。だから側近には、耳の痛いことをいう直言タイプの人間はいない。いわれるがままに動くごますりタイプばかりが身近に付き従っているのだそうだ。ガースーがGo to キャンペーンに固執し、緊急事態宣言を出すのが遅れたのも、そうしたガースー内閣の体質ゆえだそうで、ここにきて
「これでは持たん」
という声が出始めているとのことである。
いまやガースーの命運は、オリンピックにかかっているのだそうで、うまく開催できれば世論の支持が盛り上がって続投というシナリオも書けるが、中止に追い込まれればガースー内閣は崩壊するのだとか。
まあ、森のじいさんの後継も決まらない組織委員会はどうでもいいとしても、いま、この状態で、東京五輪を開くことが出来ると思っている人が何人いるのか? アメリカは、イギリスは、フランスは、代表選手を選べるか? コロナのワクチンが手に入らない開発途上国はどう対応するのか? 東京五輪開催の可能性は限りなくゼロに近い、というのが大方の理解であろう。とすると、開催するかどうかは3月、遅くても4月には決まるらしいから、ガースー内閣の運命はそれまで、ということになる。
そのためだろう。ガースーは跡継ぎを決めた模様だという報道もある。急遽新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣になった河野太郎氏である。すでに、コロナ対策関係では田村厚労相、西村経済再生相がいる。そこにもう1人、コロナ担当の大臣が出来た。3人が同じような役割担う異例の人事で、
「悪手」
という声もあれば、
「退陣に追い込まれたときに河野太郎を後釜に据え、自分は後見役として実権を握り続ける狙い」
との読みもある。
しかしなあ、同じ神奈川県選出の繋がりかね?
まあ、それもどうかと思うが、われらがガースーは、森のじいさんが責められているもう一つの理由を忘れたらしい。
組織委員会会長を退く森のじいさんは、後継を密室で決めようとした。それが、失言に輪を過かけて、世界の日本不信を招いた原因なのではなかったか?
我らがガースーも、後継者を自分の胸先三寸で決め、手を打っているのだとしたら、密室以上の密室人事である。この方は
他山の石
という言葉をご存じないのに違いない。
さて、われらがガースー政権の行方はいかに?