11.16
明日の判決はいかに?
明日、私に1審の判決が下る。ちょうど1週間前、泌尿器科で採血した。恐らく血液中のPSA値を測るためで、この数値が十分に下がっていれば無罪判決、相変わらず高止まりしてれば有罪判決で、判断は上告審に移される。
私の予想通りに進めば、上告審は精密検査で、まずはMRIで私の前立腺を観察する。それでガンらしきものが見付からなければ無罪放免、見付かれば最高裁まで判断はもつれ込む。
最高裁ではお尻の穴から器具を差し込まれ、それでガン細胞らしきものの位置を特定しながら、会陰部から針を差し込んで組織を取る。腰から下に麻酔をかけるので、痛みは麻酔注射だけらしいが、しかし、腰から下に麻酔をかけられるとはどういう気分のものか。会陰部から針を刺すとすれば、その時の私の姿勢はいかなるものか? パンツを脱いで、膝を引き寄せて、お尻を突き出して……。考えるだけでもおぞましい。
いずれにしても、明日は運命の第1の分かれ道である。
それなのに、だ。本日私は朝から整形外科(慢性腰痛で通っている)に行き、午後は友人の求めで彼の営業に付き合った。桐生のゴルフ場と、隣のみどり市にある肥料会社が訪問先である。
芝生を踏みながら、
「いや、私はグリーンに出るのは初めてなんですよね」
とゴルフ場の担当者に話していて、突然古い記憶が蘇った。いや、初めてではない。これは2度目のグリーンである。
初めてゴルフ場なるものに足を踏み込んだのは、大学生の時であった。貧乏学生だから、ゴルフをプレーしに行ったのではない。というか、私はこれまでゴルフなどやったことがない。学生時代にゴルフ場に行ったのはアルバイトだった。キャディーとしてどこかのおっさんのゴルフバッグを担いで歩いたのである。
実に不愉快な体験だった。いy、私にゴルフバッグを預けたおっさんが不愉快だったのではない。彼は確か、歩きながら何か飲み物を買ってくれた。
むかついたのは賃金である。朝早くから夕方まで拘束されて、思いゴルフバッグを担いで芝生の上をテクテクと夕方まで歩き回ったのに、記憶によると、私が手にしたバイト代は700円と少しでしかなかった。
「1日つぶしてこれだけかよ。こんなアホら悪しいバイト、2度とするか!」
と怒りながら下宿に戻り、以来グリーンを歩いたことがなかったのである。
てなことがあって、帰宅したのは夕方5時近かった。しばらくすると入浴の時間(今の私の場合は午後5時半)になり、夕食を済ませ、7時頃から映画鑑賞。いまはデンゼル・ワシントンの巻で、今日見た映画は彼が監督と主演を兼ねた「グレート・ディベーター 栄光の教室」、それに「サブウェイ123 激突」である。デンゼル・ワシントンは存在感が半端ではない名優だが、監督の才はないな、と思ったのが1本目。2本目は客受け狙いが過ぎるシナリオだが、それでも面白いの一言に尽きる。気が向けばTSUTAYAなどで借りて見られたらいかが?
映画が面白かったからなのか、その間、明日のことはすっかり頭から消えていた。見終わって間もなく、
「あ、そうか。明日は1審判決か」
と思い出したが、余り気に病むこともない。人生、なるようにしかならない、という諦めか。だとすれば、私は悟りに近い境地に入ることになる。
それとも、これから布団に入って眠りを待つ間、あれこれ頭に浮かべて煩悶するのだろうか? そうなれば、やっぱり私は単なる小人に過ぎないということだ。
私はどちらだろう?
こんなことでもないと、自分で自分を理解することは難しいのである。
さて、明日はどんな判決が出るのか? 今の心境は、不安8割、期待2割というところかな?