2010
04.15

2010年4月15日 高血圧

らかす日誌

私は高血圧症らしい。
先日、会社の保健師さんから

「人間ドック結果のお知らせ」

を頂いた。
最近、人間ドックを受診した記憶はない。受診したのは、もう6年以上前になるあの受診を含めて、確か2回のはずである。最近受けたのは、単なる健康診断でしかない。だから、文書の頭書きは

「健康診断結果のお知らせ」

であるべきなのだが、まあ、会社の健康管理室には、これしか文書のひな形がなかったということか。
パソコン全盛の時代なのだ。ひな形はパソコンに保存しておけば、人間ドックと健康診断を書き換えてプリントするなど簡単なことなのだが、さて、我が社は全員にパソコンを配布していないのか?
そういえば、2年連続の赤字決算、っていってるもんな。現役諸君は、これから給料もボーナスも下がると脅されている。可愛そうなことである。

さて、送られてきた

「人間ドック結果のお知らせ」

には、

「血圧が高いので、一度近医にご相談ください」

とあった。
近医? 初めてお目にかかった言葉だ。近くの医者という意味だろう。5文字で書けるものを2文字に省略してもたいした労働軽減にはならないともうが、これは書いた人の勝手ではある。

確かに、桐生に来て受診した2回の健康診断では、血圧が高かった。上が確か150台、下が90台だったと記憶する。自分でもやけに高いな、と思った。

私は、若い頃から血圧がやや高めである。20代のころも、上が130を超えていて、

「あんた、ちょっと血圧高いよ」

と医者だったか、看護婦だったかにいわれた記憶がある。いわれても、日常生活に支障がないから、特に気にすることもなかった。
が、150台となるとやはり気にはなる。

そこで、お便りをいただく1ヶ月ほど前から、毎朝、起き抜けの血圧を測るようになった。目覚めて、排尿をすませた直後に血圧を測る。始めたのは3月6日午前7時10分のことで、これは「家庭血圧記録ノート」に記録しているから正確だ。
それによると、上は124~154、下は73~93である。平均してみると、上が130前半、下が80後半というところか。下がやや高めである。
血圧測定に加えて、何度かご報告したが、ウォーキングを始めた。最近は、腹筋、腕立て伏せ、スクワットを加えた。やや激しい運動をして全身に血液を送って血管を掃除し、血液が流れやすくすること、筋肉をつけて基礎代謝を上げ、贅肉を取り除くことが目的である。まだ成果は数字では表れないが、それにもめげず続けている。
私が継続しているのは、仕事(時々、いやかなりしばしばさぼるが)、日誌(毎日書くという年初の誓いはとうに破っているが)、ギター(なかなか上達しないので苛立つ)、そして、血圧測定と血圧・体重調整のための運動である。
自分でいうのもあれだが、なかなか健気(けなげ)ではないか。

「なんだけど、やっぱり医者に行った方がいいかな?」

今日、私に文書を送ってきた保健師に電話をした。

「そうですねえ……。大道さん、お酒は飲まれます?」

「晩酌にビール2本。飲みに出るとかなり飲むけど、最近は回数は減っていてい、通常には月に2、3回、多くても5、6回だよ」

 「晩酌のビール、1本にできませんか?」

 「はい、できません

「……」

できないことはできないとはっきり告げる。誤解を生まないためにはこれしかない。

「いや、タバコを減らそうとは思っているんだけどね」

 「えっ、大道さん、タバコを吸っていらっしゃるんですか? それはおやめになった方が。こちらにいらっしゃれば、禁煙用のパッドもお出しできますが」

 「いらない。今のところやめる気はないので」

 「……」

誤解を生じさせない会話は、時として相手の絶句を生む。その分、気を使わねばならず、気苦労が絶えない。

「いや、ほら、いま地方で仕事してるじゃない。パソコンに向かって作業していると、どうしてもタバコがほしくなることがあるんだよね。だから、やや増えちゃって。東京にいるときは1日12~15本だったのが、いま15~18本になってる。もう少し減らした方がいいかな、とは思うんだけど」

 「そうですよね。仕事をしているとついついストレスがたまりますからタバコに手が出るんですよね」

 「いや、ストレスはありません。うちの家族は、私をストレスレス人間と呼びます」

 「……」

この看護師さん、わずか数分の会話で、何度絶句するのだろう。きっと、私のように素直に真実を告げる素晴らしい人格の人間とは、接した経験があまりないのに違いない。

「まあ、血圧の上が160、下が100を超えるようにでもなったら、禁煙も考えますが、当面はその必要はないかと、勝手に判断しているんですが。何しろ、体は必要があって血圧を上げているわけで、薬なんかで無理矢理下げたらQOL(Quality of Life) が下がるっていうじゃないですか」

 「分かりました。お話を伺っていると、当面はいまの暮らしでいいと思います。運動も継続してください。ただ、数値が急変するようなことがあったらご一報ください」

 「ありがとう。そうします。これでいいってお墨付きをもらっちゃったな。でも、お墨付きをもらった翌日に心筋梗塞でおさらばする、なんてこともありますけどね。そうなったらお知らせする時間もないわけですが」

 「……」

この看護師さん、たった1本の電話で何度絶句すれば気が済むのか。ひょっとしたら、私との数分の会話で1年分以上の絶句を体験したのではないか?

看護師さん、貴女は得難い体験をしましたね。これを糧に、健康指導力をさらに磨いてください。

よーし、お墨付きももらった。明日も歩くぞ!