2011
12.23

2011年12月23日 八ッ場ダム

らかす日誌

でもねえ、民主党って、何がしたくて政権を取ったんだろう?
有権者は何をさせたくて民主党に政権を取らせたんだろう?

野田内閣が、やっぱり八ッ場ダムを造るんだって。ドジョウはどこまで行ってもドジョウ。所詮、濁り水の中でうっすらと目に見えるものしか見ることができない。井戸の中のカエルは、水が澄んでいる分だけまだましなのではないか?
そう慨嘆してしまった。八ッ場ダム、造るんだって!?

ま、八ッ場ダムの問題点は別に勉強していただくとして、だってさ、民主党って、コンクリートから人へ、って、まあ、判ったような判らないようなスローガンを唱えて政権の座についたんだけど、そのコンクリートの象徴が八ッ場ダムだったわけでしょ。
それを、政権を取ってわずか2年、やっぱり造る?

東日本大震災でのオタオタぶりは脇に置いておくとしても、無駄をなくせば10数兆円の財源ができると豪語したことも、子ども手当を新設すると触れ回ったことも、少なくとも4年間は増税しないと公約したことも、野田ドジョウ内閣は忘却の彼方においてきてしまった。挙げ句が、八ッ場ダム、やっぱり造る、だもんね。
ま、少なくとも県外、といっちゃった普天間移設問題も結局元の木阿弥になりそうだし。

野党時代、あれだけ自民党政権を攻撃しながら、じゃあ、自民党政権ではできなかったことを一つでもやったのか?
現実は、自民党政権ですらできなかったことを、自民党に代わって先に進めているだけではないのか?

政治とは不思議なものである。
かつて、その不可思議さを思い知らされたのは、共和党のニクソン大統領が、突然米中国交回復を実現したときである。

「えっ、共和党って右翼で、共産主義が大嫌いな人の集まりじゃなかったのか?」

と唖然とした。民主党の大統領がやるのなら理解できるが、どうして共和党の大統領が?

しかし、考えてみると、政治とはそのようなものであるのかも知れない。民主党から出た大統領が米中の国交を回復しようとすれば、アメリカの国論は2分する。共和党支持者はこぞって反対する。
だけど、もともと共産中国を嫌う共和党の大統領がやっちゃったら? 図式的にいえば、民主党支持者はやっと実現したかと思う。共和党支持者は、自分たちの選んだ大統領が踏み切ったのなら、やむにやまれぬ政治的事情があったのだろうと支持する。
かくして、アメリカの世論は2分することなく、米中国交回復を受け入れる。

同じことが、いま日本でも実現しつつある。
自民党が政権の座にあれば、八ッ場ダム建設は民主党が反対し、八ッ場ダムは造ってはならないと考える私のような連中は民主党を支持して

 「もっとやれ!」

とけしかけておけばよかった。それを気にして、自民党政権は予算を小出しにして引き延ばしを図るしかなかった。
だけど、反対していた民主党が政権を取り、その上で八ッ場ダム建設にゴーサインを出してしまったら、反対派はどうすればいいのだ? 民主党はダメだ、といって自民党を支持するわけにもいかない。自民党は元々推進派なのである。かといって、社民党や共産党では力にならない。
政治的な足場を失った反対派は、歴史の闇に消えるしかない。つまり、民主党が政権の座についたことで、挙国一致体制ができてしまったのである。
同じ理屈で、増税も、福祉水準の切り下げも、公共事業の復活も実現してしまう。

よくよく考えてみていただきたい。もし、自民党が相変わらず政権の座になったら、あれもこれも、こんなに易々と実現の道をたどっていたであろうか? 民主党を中心に反対の大合唱が起き、自民党政権は実行をためらったのではないか?

民主党には飽き飽きした。
かといって、自民党を支持できるはずもない。だって、いま民主党がやろうとしているのは、自民党がやろうとしながら反対が強かったからやれずに積み残したことばかりなのである。もともとやろうとしていた自民党を支持するなんて、論理的にあり得ないのである。

ではどうするのか?

という問いに答えはない。我々は民主党に政権の座を与えた瞬間に、大政翼賛会を作ってしまったのである。

でもね、ほんと、どうしたらよかっぺ?
私が禁煙したら、何か変わるかな……。

 

昨日は急遽仕事を休んだ。我が妻殿が体調を崩し、前橋日赤までの運転手を命じられたからである。

「なんか、尿にタンパクがいっぱいでてる感じがする。病院に行きたい」

と我が妻殿が宣うたのは、前日の21日であった。膠原病は免疫システムの異常である。免疫システムが自分の体を「異物」と誤認し、活発に働く。その誤認の対象が腎臓である場合、攻撃された腎臓に異常がでて尿に多量のタンパクが検出される。酷くなれば人工透析である。

「仕事、大丈夫?」

これは意味のない問いである。健康と比べられるほどの仕事があるはずもない。

「馬鹿な質問をするのではない」

最近、妻殿を馬鹿というと怒られる。しかし、このような際に使える言葉は、これしかない。

朝8時半に家を出て、前橋日赤に向かった。結果、医者は薬が効いてないと判断、新薬の投与を決めた。新しい薬なので、予期できない副作用が出る恐れもある。このため、投薬期間はとりあえず2週間。これで効果が出るか。逆に副作用が出て、次の治療方法を考えるか。

自宅に戻り、夜になった。我が妻殿は、何となく元気である。

「薬、飲んだのか?」

 「薬は明日から。でも、何となくよくなったような気分」

いま、我が妻殿の恋人は、前橋日赤の担当医である。彼の顔を見て、新しい薬を処方されただけで症状が軽減したらしい。これをプラシーボ効果という。

今朝、初めて新薬を飲んだらしい。昼頃、

「今度の薬、効く! おしっこが全然違う」

尿も便も、恥じらいなく語る。色気などない。
つまり、我々は、老夫婦である。

私、老いたくはないが。