2014
11.06

2014年11月6日 知性? 痴性?

らかす日誌

「ねえ、千物箱って落語、ある?」

夕食の前に晩酌のビールを楽しんでいると、突然我が妻女殿からご下問が下った。

「せんものばこ?」

問い返すと、

「と読むと思うんだけど、数字の千に物、それに箱、よ。それとも、ちものばこ? せんぶつばこ?」

多少落語のことは知っているつもりだが、いずれにしても聞いたことがない。何より、「千物箱」の意味が、日本語として分からない。百貨店の向こうをはって、何でも入りまっせー、という箱をそう名付けたか? にしても意味不明である。

「そんな落語、何処で知った?」

お尋ねすると、

「これよ」

と本日の朝日新聞夕刊(朝日新聞の購読をやめる人が沢山出ているそうだが、けっ、そんな連中、朝日新聞に無い物ねだりしてるだけじゃないか? いずれにしても、読者は読者の等身大の新聞しか持てないのである)を示された。
見ると、落語についてのコラムがある。

「千物箱?」

記事を目で追った。見いだしたのは、目が全体の4分の3ほどを追ったときだった。

「おい」

私は、妻女殿に申し上げた。

「これが『千物箱』か?」

新聞を妻女殿に投げ返した。
私が見た記事では、「年箱」の記述はなかった。代わりにあったのは「物箱」。これ、「ひものばこ」と読むのか、それとも「かんぶつばこ」か。

「それ、『せんものばこ』と読めるか?」

通常なら、私は

「バカタレ!」

と付け加える。しかし、今日は何もいわず、じっと妻女殿の目を見た。投げ返された新聞を読んでいた妻女殿は、やがて、ニヤリとされたように見えた。
いや、その表情を私に見られるのはいやだったのであろう。懸命に顔に出すのは押さえていらっしゃったようである。しかし、押さえても押さえきれないものも、世にはある。

ふーっ、「干物箱」が「千物箱」ね。確かに、字が似ていないことはない。上の線が多少左下がりになっているか、ほぼ水平に引かれているか。活字になれば、ほとんど見分けはつかないといってもいい。
だが、である。

「せんものばこ」

で意味が通じるか? これじゃ何のことか分からない、と字を見返すのが普通ではないか? 見返して、

「ああ、これ、『千』じゃなくて『干」だわ」

と見抜くのが知性ではないか? いや、知性などご大層な言葉を持ち出すまでもない。我が国が「世界一」と誇る識字率、というのは、こういう見分けができて初めて成立するのではないか? 見分けがつかないのは痴性の故か?

本日は、ほぼ90%呆れながら、

「バカタレ!」

の言葉を飲み込んだ私の、心の広さを自画自賛するだけである。


今日は少しばかり仕事をした。
仕事をして、前橋の上司に

「ということで、明日からまた、サボりムードに入るのでよろしく」

と伝えた私である。

そうそう、V-Powerのその後。

我が愛車は、フルにガソリンを入れると燃料計の針は振り切れ、高速道路を使わない通常の使用では、おおむね39㎞走ったころに、針が一番上の目盛りまで下がる。
ところが今回は、針が一番上の目盛りまで下がったのは50㎞近く走ってからだった。この間、一度も高速道路に乗っていない。そして、その後も、なかなか針が下がらない。

「おいおい、そんなに燃費が改善する?」

といいたくなる展開である。

もちろん、燃費はたいして改善していないこともあり得る。Shellのサービスマンの給油技術が卓越しており、ENEOSのサービスマンより、より沢山のガソリンをタンクに押し込んだのかも知れないからだ。

にしても、だ。穏やかなエンジン音から想像できるエンジンのスムーズな回転、アクセルへのレスポンスの良さ。いまのところ、V-Powerには大いに満足している私である。
ついつい、BMWミニに乗っている同業者に

「V-Power、いいぜ。だまされたと思って、次の急の時はこれにしてみな」

と、誰に頼まれたわけでもないのに宣伝してしまった私である、

さらなるレポートをお待ちいただきたい。