04.05
2015年4月5日 古賀
月末から月初めにかけて、仕事でややバタバタし、一息ついた昨土曜日、妻女殿の歯の治療で横浜に行ってきた。今回は、私の歯も一緒に治してもらった。ブリッジに被さっていたプラスチックが割れ、その修理を次女の旦那に御願いしたのである。
ブリッジは左上に入っている。これをやってくれたのも彼である。私が桐生に来る直前だったから、もう6年になる。ブリッジした金属を覆って白い歯に見せるプラスチックが1週間ほど前、食事をしていたら突然割れた。ブリッジは堅牢だから心配はないが、割れたプラスチックの隙間から黒っぽい金属が顔を出して、何とも見た目が悪い。
それだけなら、まあ、この歳になるから気にしなければいいのだが、割れて尖った角が唇にひっかかる。何だか言葉が不明瞭になる。健康な歯はものを噛むだけではない。発声にも大いに関係するのである。
で、いつもの通り、歯の修理を終えて瑛汰と璃子の元へ。今朝はこれもいつも通りラゾーナに赴き、瑛汰に大量の本を買わされた。
本日午後の戻りは快適で、首都高を抜けて東北道に入ったころから、私の前をマツダ・デミオが140㎞前後の速度で走行していた。後ろを見ると、ポルシェのカイエンが追随してくる。
この組み合わせは精神的に楽である。デミオもカイエンも、お巡りさんはぜったに使わない車だ。であれば、前からも後ろからも、お巡りさんに見つかる気遣いはない。デミオの速度に合わせて走っていれば、自ずから快適な高速で走れるのである。
さて、このデミオ、何処まで行くのかとついていったら、佐野インターで高速を降りる構えを見せた。ずっと走っていた追い越し車線を抜け、走行車線、それも一番左の車線にいっちゃったのである。
「ここで降りるとは、あれま、このデミオ、ひょっとして群馬の車?」
と思いながらそのままの速度で走っていたら、あれっ? デミオが佐野インターを出ず、再び本線に戻って私のあとをついてくるではないか。しかも、一時速度を落としたから、今は私の車のあとを走る。
「えっ、俺と一緒に走りたいってか?」
だが、私はその少し先で北関道に入るのである。そこでおさらば、と思っていたら、なんとデミオ、北関道に入った我が車のあとをついて来る。しかも、車間距離をギリギリまで狭めて煽って来る。
「ふむ、私に挑もうってか。頑張れよ!」
と思いながらアクセルをふかし、一時は引き離すのだが、前の車に追いついて速度を落とすと、再びピッタリつけて煽る。
おかげで、北関道に入ったあとの平均速度は150㎞にもなったろうか。パトカーにだけはであいたくないと念じつつ、私が無事太田桐生インターで降りると、デミオはそのまま先に進んだ。やっぱり群馬の車だったらしい。
別れ際、そのちっちゃな車でよく頑張ったね、という賞賛の意もこめて、思わず
「バイバイ!」
と手を振ってしまった私であった。
さて、という事情で日誌をサボっていたが、しかし、あれは何だったのかねえ、あの、元経産相のキャリア官僚だった古賀なる人物が、テレ朝のニュースステーションで起こした騒動である。
皆様も、とりあえず起きたことは御存知であろうし、私も、皆様が御存知であること以上は知りようがない。
が、である。何となく不快なのだ、古賀という男のしでかしたことが。
で、何故に不快なのか、考えてみた。
官邸からテレビ局に対し、圧力がかかっているのかどうかは知らない。また、テレビ局がその圧力にひれ伏しているかどうかも分からない。古賀というこの人に、直接圧力がかかっているのかどうかは、もちろん知りようがない。
ではあるが、それがすべて正しいとしよう。官邸はテレビ局に圧力をかけ、古賀に圧力をかけ、テレビ局は圧力でふぬけになった。それを前提として考えてみる。
それでも、だ。こいつのやったことは素っ頓狂すぎる。
圧力があったのなら、圧力をかけられたのは皆仲間である。ところが、その仲間の有力部分が圧力に屈した。そして、彼だけが取り残された。今や、彼だけが戦う戦士である。と信じて、彼は戦った、のだろう。
だが、である。今回の彼の戦い方でダメージを受けたのはどこか? テレ朝であり、報道ステーションである。本当は彼の敵であるはずの官邸は
「あれあれ、あいつら仲間割れしてるよ」
と高みの見物をするだけだ。
これ、革命を叫んだ連中の内ゲバに似てないか? 敵を倒すことが本来の目的であるはずなのに、刃は(彼らはゲバ棒や鉄パイプを使ったが)敵権力と「自分たちより近い」と勝手に認定したセクトに向かったのが内ゲバである。つまり、自分だけが敵と戦っているというポーズをとりたいがためのポーズに過ぎない。
古賀という男の行動は、彼が自分の目的であると思っている官邸との戦いにおいては、官邸を利するだけなのである。そもそも、共に戦うべき仲間を、
「お前は日和っている!」
と宣言して敵に回し、あとはいったい誰とスクラムを組んで戦おうというのか。1人だけで勝利を手にできるとほどひ弱な相手ではないだろう?
こんな簡単なことに思いが至らなかったか?
このような行動に益があると思い込むためには、自分の影響力に相当の自信がなければならない。言い換えれば、自分は普通の市民では亡なく、大衆を率いるエリートであり、大衆は自分の指し示す道に付き従うのだと、愚かにも信じ込まなければできない行動である。
あんた、そんなタマか? 革新派官僚として一時もてはやされ、やがて追い出された。自分では
「あまりに革命的な言動が権力者の逆鱗に触れた」
と粋がっているのかも知れないが、普通にいえば
「あんた、狂ってるんじゃない?」
と追い出されただけではないのか。
だって、今では単なる電波芸者(テレビのコメンテイターなんて、せいぜいその程度のものである。いい加減な思いつきをしゃべり散らして金をもらい、顔を売れる気楽な職業である)だろ?
よくいえば、左翼跳ね上がり、普通にいえば独りよがり。
古賀って、それだけのものである、というのが私の診断である。
古賀君、世の中は、大衆は、あんたみたいな言動では1㎜も動かない。それを知らないらしいあなたには、世の中を変えることなんて、絶対にできない。
あ、無論、だからといって、テレビ朝日、古館伊知郎がまともである、というのではないことはもちろんであります。