05.24
2016年5月24日 Raspberry Pi
を使ったネットワーク・プレーヤーを自作してやる。
そんな野望を前回表明した。表明した以上は、そこに向かってまっしぐらに進むのが男の生き様だ。あれ以来、私は目標に向かって一直線に駆けはじめた。駆けはじめてたいした時間もたたないのに、早くも転けそうになっているのはどういう訳だ?
まずはネットで調べてみる。書籍を取り寄せてみる。一見無謀と思える取り組みでも、正当な手順を踏めば視野のうちに入ってくる。私はこれまで、そう信じて生きてきた。だが、これ以上信じていいのかどうか。自信を失いそうな私がここにいる。
まず、「Raspberry Pi」についてはネットで調べ、
「これ1冊でできる! ラズベリー・パイ 超入門」
という本をAmazonから取り寄せた。
それによってわかったのは、どうやら、この「Raspberry Pi」、組み立てる必要はなさそうであるということだ。
元々は教育向けの、入門用コンピューターとして開発されたらしい。たった1枚の、小さな基板の上にパーツが取り付け済みで、この基板1枚で立派にコンピューターとして動く。ディスプレーを繋ぐこともできるし、マウスやキーボードもつながる。
「さあ、これでプログラミングやコンピューターの基本を学びましょう」
ということで、むきだしの基板で売られているのが「Raspberry Pi」なのである。
そんなにちっぽけで安い(4000円~6000円程度)なのに、USB端子やLAN端子、オーディオ出力端子が備わっている。
「であれば、これをネットワーク・プレーヤーのコントロール装置として使えばいいではないか」
と考えてアプリを開発した優れ者がいたらしい。それゆえに我が暮らしの中に飛びこんできたのだ。
「よし、だったらこれは買えばいい」
何だか、大きな山を1つ乗り越えたような気分に、私は、なった。
次は「Raspberry Pi」から出てきたデジタル信号をアナログ信号に変え、アンプに送り込むDAC(デジタル・アナログ・コンバーター)である。こいつを手に入れれば、組み合わせてネットワークプレーヤーとして使える。
さて、関心をお持ちの方は
「Raspberry Pi オーディオ」
のキーワードでググってみていただきたい。まあ、出るわ出るわ。何と23万9000件!
「そうか、それほどのブームになっているのか」
と驚くほどの検索結果なのだ。しかも、「Raspberry Pi」の基板に取り付けることができることを唄ったDACも数多く、それも2000円前後からある。これで立派に音楽再生ができるというから、ネットワーク・プレーヤーが6000円程度でできてしまうことになる。
「これじゃあ、家電メーカーはつらかろう」
と同情せざるを得ない。
が、まあ、出て来る音質は、かけた金にある程度比例するのも世の習いである。
「せっかく自作するのなら、最高のものにしたいではないか」
とググり続け、より高級な自作DACの世界に分け入ったた私は、その心意気とは逆に、迷宮に迷い込んだような不安を感じることになったのだ。わからないのだ、書いてあることが。
DACのキットを販売するサイトはいくつかある。私にDACをつくってくれたI君が教えてくれたのはここだった。であれば、買うのはここが良かろう、と思ったのだが……。
このページの一番上に、こう書かれている。
「なお、すべての基板は中・上級者向けです。初心者の方はご遠慮ください」
そりゃあそうだろう。自作の世界は素人がみだりに入ることは許されぬ。俺なんか、クリスキットを沢山つくった男である。初心者であるわけないだろう!
で、いま売ってるキットを見てみた。
「DAC9018K2M」
というのが良さそうである。ES9018K2Mというのは、いま世界で最も性能がいいといわれているDACチップ、ES9018Sの簡易版とある。簡易版というところが気に触るが、でもほかより良さそうではないか?
と思って製作記や製作マニュアルを読んでみて絶望感にとらわれた。わからないのである。多分、懇切丁寧に書かれているのだとは思う。だが、私にはちんぷんかんぷんなのである。
そもそも、これを1万1100円で買ってつくると、それで動くの? ひょっとしたら電源基板も取り付けねばならない? よくよく読んでると、アドオンクロックのマニュアルもあるから、そんなものも必要そうだし(そもそも、アドオンクロック、って何だ?)、ほかのページを見てると、
「ここにオペアンプを噛ませた方が」
なんて記述も見える。オペアンプ? そんなもの、クリスキットには入っていなかったが……。
わからない、のオンパレード。さて、いかなることになるのやら。
前途多難な旅立ちである。
といっていたら、新しく買ったMacBook Airが到着した。まだ開封もしていない。開封すれば、初期設定をしなければならぬ。そして、目の前のiMacから必要なファイルや設定を移さねばならない。Macには「移行アシスタント」というアプリがあって楽にできるはずなのだが、前回使ったのが7年前とあって、使い方を忘れた。その習得からはじめねばならないのだ。
つい先ほど、あわせて注文していた外付けHDDも到着した。MacBook Airには内蔵メモリーが256ギガしか入っておらず、外付けのストレージはなくてはならないのである。
当面は、iMacからこのHDDにバックアップを取る。その上でHDDからMacBook Airに必要なファイルを移行アシスタントで移す、という手順を考えている。
それにしても、だ。
10年前なら新しいパソコンが来たら、何があってもまず開封し、使えるようにした。なのにいまは、気力の充実を待って開封しようと考える。
この差は、いったい何なんだ?
明日は開封するだろうか?