2016
05.22

2016年5月22日 67

らかす日誌

64は、横山秀夫の小説である。
69は、嬉し恥ずかし心地よし、の姿勢である。

では、67は?

本日、多方面から

「おめでとう」

のメッセージをもらった。
別におめでたいとは思わないが、本日、67回目の誕生日を迎えた。メッセージをくれた1人に

「死出の旅路の一里塚、は正月だけではない。誕生日はもっと明瞭な一里塚である」

と返信しておいた。
でも、67歳ね。考えてみれば、親爺が死んだのが67歳である。そうか、俺も親爺が死んだ歳になっちゃったか。どうしよう?


昨夕から、息子夫妻が友人を連れて遊びに来た。外で夕食をとり、自宅に戻っての会話から。

「でも、親爺よ。ちゃんと遺言書いておいてよな」

「ん? 早く死ねってか?」

「ま、それもあるけど、親死が死んだあと、面倒が起きるの嫌ジャン」

「俺が死んだら遺産相続で面倒が起きるのか?」

「いや、それはわからないけど、すっきりしておいた方がいいでしょ」

「そういうけどな。俺は、俺が死んだあとのことなんて何も心配していない。だって、俺がいなくなったあとで、何がどうなろうと俺の知ったことではないではないか。長男としてお前が仕切れば済むことだ」

「面倒なのは嫌なんだよ」

ったく、67歳を目前にした親爺にかような話題を振る息子は、ろくなものではない。このような息子に育ててしまったのは私と、うちの妻女殿ではある。それに、私に、争いになりそうな遺産を残せるとも思えない。宝くじにでも当たれば別だが。
でも、万が一当たったら、生きてるうちに、何らかの形で子供たちに分けちゃうんだろうな。


その不肖の息子に相談して、パソコンを買うことに決めた。とりあえず、MacBook Airの13インチ、メモリー8Gの機種に決めた。11万円弱で、本日発注した。

とにかく、いま目の前にあるiMacの調子が悪い。動作が極端に遅くなるし、Finderに不可思議なファイルが積もっている。削除しようにも削除できないし、加えてPRAMクリアすらできない。ソフトだけでなく、ハード面でも崩壊の一歩手前にあるのではないか、という症状である。

9月から起業しようというのに、これでは何ともならぬ。多分、様々な作業をパソコンで行わなければならないのだから、健康なパソコンは必須の道具なのである。

であれば、iMacを新しくしたいと思ったが、OSのバージョンの関係で、いま使っているソフトの大半が使えなくなる恐れがある。そして、iMacはおおむね20万円する。
だから、とりあえず、半額で買えるノートを使い、最新のOSの使い勝手、使っているアプリとの相性を試す。それで納得がいけばiMacを新しくする。納得できなければ、ノートを使いこなしながら移行の手段を探り、iMacの修理も試みてみる。いずれは、ノートは外出時の道具にしよう。
という計画である。

一番心配なのは、この「らかす」をつくっているアプリ、Dreamweaverである。これ、最新のOSでは、多分動かない。動くDreamweaverは、毎月数千円の金を払わねばならない。年金生活者には酷である。その際どうするのか?

いま関心を惹かれているのは「Freeway Express Pro」というソフトだ。あちこち検索してみると、今と同じような感覚でホームページが作れるらしい。それに、他のソフトでつくったページも読み込むことができるという。つまり、これまでに書いてきた膨大な文章資産を、このアプリだけで管理できる。
とはいえ、これだって1万数千円するアプリだ。ま、新しいMacが来てから、最後の検討をしよう。

で、そのような騒ぎの仲で、四日市の啓樹から電話が来た。

「あのしゃ、僕しゃ」

という前置きがあって、何でも、自宅で音楽を聴きたくなったのだそうだ。その相談とはいうが、ボス、音楽を聴けるようにして、というリクエストでもあるのだろう。

啓樹の母は我が長女だ。結婚する時、我が家と同じChrisKitのプリアンプ、パワーアンプ、それにCDプレーヤーは結婚祝いとして渡してある。結婚後しばらくは使われていたようだが、なにせ狭いマンション暮らしだ。子供が2人(啓樹+嵩悟)できたこともあり、いまではお蔵入りになっている。

だが、啓樹も嵩悟もピアノをやっている。毎年ピアノの発表会で演奏もするのだから、だとしたら世界の一流演奏家の演奏を聴くのは必須のことである。
と長女にいっても、

「置く場所ないのよ!」

の一言であった。それがいま、啓樹の一言でひっくり返ろうとしているのである。

家が狭い。であれば、その中での音楽の楽しみ方を考えねばならない。
となると、ネットワーク・オーディオは有力な選択肢である。それも、メーカー製のネットワーク・プレーヤーは図体がでかすぎるので、私が友人のI君につくってもらって重宝している、超小型コンピューター「Raspberry Pi」とDACを組み合わせたヤツの方が好ましい。

で、せっかく啓樹に相談を持ちかけられたのである。
我が家のものはI君につくってもらった。では、啓樹が使うヤツは俺がつくろうか? 2万円もかからないコストで、市販10万円以上のネットワーク・プレーヤーより遥かに良質な音が得られるとなれば、最高の解答ではないか。しかも、ここで一発つくっておけば、他からリクエストが来ても、

「わかった、お作りしましょう」

と胸をはっていえる。で、依頼主が他人であれば

原価+技術料

をいただくことだって夢ではない。何しろ私は、9月には起業をしなければいけないのである。

と思い立ち、I君に教えてもらっていたDAC Kit販売のページを覗いてみた。いま最高のDACチップといわれるES9018を使ったものが、11100円で出ている。

「これだ!」

とは思ったもの、

「おい、これだけで音が出るの?」

という不安はぬぐえない。ほかのページを見ると、やれクロックキットだの、何ちゃらドーターボードをくっつけるだの、ジッタークリーナーだの、訳のわからぬことが書いてある。

「いわれてみれば、俺、ChrisKitはつくっていたけど、あれはアナログのアンプである。デジタル系は挑んだことがないよな」

と不安に駆られる。

そこで、電気系の技術者である啓樹・嵩悟のパパに電話をし

「ということなのだが、君がわかれば教えてくれ。自分でわからなければ、わかる友人を捜してくれ。私に納得のいく解答が得られたら、私が作って君のところに納品する」

と御願いしておいた。

このシステムの素敵さは、DAC部分がいくらでも取り替えることができることにある。つまり、再生する音楽を選び、そのデジタル信号をDACに送り込むのが、「Raspberry Pi」の仕事である。ということは、デジタル信号をアナログ信号に買えてアンプに送り出すDACは何を使ってもいいということだ。
DACチップは、これからも進化するのに違いない。メーカー製のプレーヤーを買ってしまえば、進化したチップの音を楽しむには、またまたプレーヤーを買い換えねばならない。ところがこのシステムなら、DAC部分だけを自作すれば済む。しかも、いまのところ1万円少々の出費でそれが叶うのである。オーディオファンにとっては夢のような話である。

これは挑むしかない。挑むということは、勉強することでもある。そして、その先に利益がある……、あって欲しいと願う。

と計算しつつ、ふむ、とりあえず、「Raspberry Pi」を買って組み立ててみようかな? と皮算用する私であった。