01.06
2017年1月6日 小池劇場
やや書き送れた感があるが、やっぱり書いておかねばなるまい、小池劇場。そう、東京都知事になって何かと話題を集めている小池百合子おばさまのことである。
就任早々、築地市場の移転に待ったをかけ、東京オリンピックの会場問題でも池に石を投げ込んだ。いずれも、それまでのトンチンカンな知事さんたちの置き土産である。築地市場は石原アルツハイマーではないかおじさん、オリンピックは彼に加えて、猪瀬(行革やったと)勘違いしてるオッちゃんと舛添せこいハゲチャビンが残してくれた。
前任者たちの失態が小池劇場の準備を整えてくれた。
築地は安全性の問題で攻め込んだ。石原が余りにも杜撰な移転計画にゴーサインを出していたからできた攻撃である。
私が当初から反対している東京五輪を推し進めたのは石原に猪瀬、舛添の歴代知事だった。これに対する攻め口は費用。なかなかいいところに目をつけたといえる。だが、3兆円から400億円削っても2兆9600億円。これじゃ
「大山鳴動して鼠一匹ではないか」
とどっかの記者に突っ込まれて(この記者、良くやった!)も仕方がない。これに
「失礼じゃないですか」
と切り返したあたりから、このおばさんの本性が見えてきたような気がする。失礼なことはあるものか。元々の3兆円が納得を遥かに超した額である。それを1%あまり削ったところで額の膨大さ、不可解さには変わりはない。
300円の商品が4円引きの296円になっていたら
「今日は大バーゲンだ!」
と大喜びせよとでもいうのか。そもそも300円という値段が高すぎる、せいぜい80円か100円がいいところと思っている消費者は、296円で納得しなければならないのか。
このおばさん、やることなすことを褒めてもらいたいというお嬢様気質がいまでも抜けないらしい。
ま、それはそれでよい。確かに、築地市場を安全にするのは大切なことである。前の知事までのぼんくらどもが手をつけなかったところに手を突っ込んで安全を確保するのは大切なことである。オリンピックだって、削った額の400億円は巨大な金だ。これもお手柄というべきである。
だが、これだけは納得できない。まだできてはいないが、小池新党である。夏の都議選に、数十人の候補者を立てるというのである。自民党を敵に回して改革を進める以上、議会に、できれば過半数の小池与党がほしいのだ。
その意図も理解できないわけではない。だが、政治は継続するものである。目先だけ見て打つ手は悪手に決まっている。我々はその実例をたんと見てきたではないか。
始まりは小泉チルドレンであった。バカの1つ覚えの郵政改革を唯一の争点に仕立て上げ、小泉に従わない自民党員を追い落とすため、反対派議員の選挙区に刺客を送り込んて大成功を収めた。
だが、その結果はどうなったか。小泉チルドレンと呼ばれた新参議員たちのうちに、まともな人材はいったい何人いたのか。最も著名な杉村太蔵は
「早く料亭に行ってみたい」
「真っ先に調べたのは国会議員の給料。2500万円ですよ」
「念願のBMWが買える」
などの名言を連発。ついには1期だけで姿を消した。まあ、消えてくれて良かったと思うのは、私も自民党も一緒のはずである。
そして、片山さつき、佐藤ゆかり、猪口邦子などほかのチルドレンも、私見によれば似たり寄ったり。まあ、どんなやつなら国会議員になっていいかというのは様々な見解があるだろうが、なってほしくない人というグループは厳然とあるわけで、チルドレンのほとんどはその口であったと思う。
次は、民主党が政権を取った時の小沢チルドレン。これも柔道だけやっていれば国民的ヒロインで居続けられたはずの柔道家など、唖然とするのが多かった。いまの民主党、いや民進党の体たらくを予言していたようなメンツである。
大阪では橋下チルドレンが沢山現れ、様々な事件を起こしてくれた。セクハラ、パワハラ、モラハラ。国会をサボってふてくされの上西。ひき逃げした堺市議、Lineで中学生を恫喝した府議、女性に暴力を振るって罰金刑を受けた江戸川区議(これは東京)。週刊誌が特集を組んだほどである。
もういいだろう。私たちには、○○チルドレンにはちっともいい思い出がないのだ。むしろ、何でこんなやっかいごとを抱え込まねばならないのか、という怒りしかない。
そして、である。ここからが本題だ。
小池のおばさんの後押しで都議になっちゃう連中は、やっぱり小池チルドレンと呼ばざるを得ないだろう。そして、大量のチルドレンが都議会に入る。小泉、小沢、橋下のときと同じ事が繰り返されないか?
真面目で優秀な、本当に東京都を変えていこうと思っていらっしゃる方が多いので心配はありません、なんてことをおっしゃるのだろうが、では小泉、小沢、橋下はあえて箸にも棒にもかからないような連中を押し立てたのか? 違うだろう。選択する時点で、これなら使える、と判断した連中を使ったはずだ。それが公職に就いたとたんにあんなになっちゃった。
小池チルドレンだけは違う、という論理はどうにもなり立ちそうにないのである。
都議会自民党から3人の都議が抜けた。自民党籍は持ったままの会派離脱である。離れて、小池知事を応援するのだという。何と、選挙前から小泉チルドレンが登場しちゃった。
で、3人の顔をテレビで見ながら思う。
「ろくな顔をしてないな」
何のことはない。3人はいまの小池人気から見て、夏の選挙を自民党で戦えば負けるかも知れないと考えただけである。いわば選挙対策、というより失業防止策なのだ。だって、小池おばさんの政策を助けるのが狙いなら、都議会自民党に留まって、中から都議会自民党を買えるのが本筋ではないのか?
小池チルドレンに数えられるようになる連中は、この3人と同じ穴の狢である。
小池劇場の出し物は、勧善懲悪劇である。主役である小池のおばさんが頭の黒い鼠どもを相手にバッサバッサと切りまくる。客席からはやんやの喝采だ。
が、拍手に煽られて切り続けているうちに、いつの間にか悪役を全滅させてしまった。さあ、そうなると抜いた長ドスも単なる光り物でしかない。敵役がいなくなった主役は、舞台でひとりダンスでも踊っているしかなくなる。
それだけでも観客は飽き始めているのに、主役を取り囲むチルドレンたちが、勝手に自分で目立とうとし始めた。主役のひとりダンスを助けるのならまだしも、目立てばいいとばかりに客席に降りて若い姉ちゃんにセクハラをしかけ、止めに入った中学生の観客を恫喝する。かとおもうと、いつの間にか舞台から消えたチャイルドは、裏のトイレで女性に暴行を働いていた……。
てなことにならなければいいがなあ、と本当に心配している私であった。
そうそう、車の修理代金を支払ってきた。36万7432円。
「ディーラーが出してきた最初の見積もりは80万円を超えていたんですよ」
動くのをやめた我が愛車をディーラーまで運んでくれた修理工場の話である。
「それはいくら何でも、ということで話を詰めて、やっとこの金額になりました。ディーラーって、ここが悪いのなら、こちらも悪いのかも知れないと、先回りして部品を替えちゃうじゃないですか。それをいちいちチェックして、ここはまだ替える必要はないなんてやりまして」
そうか。ということは、車のメカには詳しくない私が直接持ち込んでいたら80万円もふんだくられていたか。ま、そんなにかかるのなら、買い換えていたかも知れないが……。
ということは、修理工場を経由してディーラーに持ち込んでもらって良かったということだ。なるほど、仲介業者というのはそんな役割もあるのだなあ、とまた1つ知恵をつけた私でありました。
杉村君が無事BMWを手に入れていまでも乗っているかどうかは知らないが、私の36万7432円の修理費をかけた11年目のBMWはすこぶる快調であります。