2017
07.13

2017年7月13日 設定

らかす日誌

我が家の光回線が、NTTからNURO光、とか言うヤツに切り替わった。1ヶ月ほど前、突然若いお兄ちゃんがセールスに来て、

 「月々1500円ほど安くなります。おまけに、ソフトバンクとの提携していますので、スマホは月額1500円、ガラケーは500円、使用料が割り引きなります」

という。
昨年9月に開通したばかりのNTTである。確か2年契約だったと思い、断ろうと思ったが

「解約料は、私どものキャッシュバックでまかなえておつりが来ます。それに、NTTは法人契約に力を入れているので、解約しても問題はありません」

とまでいう。併せて月々3500円。桐生なら1回分の飲み代ぐらいにはなる。私に否はない。話に乗った。

ま、その新しい契約に従って、これまで屋外工事、屋内工事が終わっていた。昨日は、最終の「機器の設定」に、これまた若いお兄ちゃんが高崎からやってきた。

光回線を引き込んだ場合、光で送られてくるデータをデジタルデータにする(確かそうだったと思う)モデムが屋内に設置される。これまではNTTからのレンタルモデムだったが、これからはSo-netからのレンタル機器に置き換わる。その設定である。

我が家では光回線を引いたとき、回線の出口が居間にあったため機器の置き場所に困り、棚を作った。上の写真がその棚である。
この棚に載せるのはモデム、Wi-fiを使ったファックスの送信機器、それに無線LANの親機である。この話を決めたとき、

「新しいモデムもこの棚に載るよね」

と念を押しておいた。それまで、3つの機器で棚は満杯だったからだ。
お兄ちゃんは

 「少しモデムが大きくなりますが、大丈夫だと思います。無理だったら、今度のモデムは無線LANの機能を持っていますので、この無線LANの親機を外しましょう

といった。

「無線LANはパソコンなどでも使っているが、ほかと違うのはネットワークオーディオにも使っていて、この親機とは別に中継器がNASのそばにある。大丈夫か?」

と突っ込んでも

「大丈夫です。専門家が来ますので、彼が全部やってくれます」

と請け合った。
こうした前提で、昨日の出来事を記す。つまり、昨日は専門家のお兄ちゃんがやってきたのである。

彼は部屋に入るなり、我がオーディオシステムに目を丸くした。確かに、今時こんなに大きなスピーカーを使っている家はそれほど多くないだろう。だから、せっかくならと、音楽を再生してあげた。John Mayerであった。専門家の兄ちゃんは音楽に乗ってモデムを取り替え、パソコン、プリンター、iPad、iPhoneと次々に設定をこなしていった。もっとも、プリンター以外は、自動的に新しい無線LANに繋がったが。

最後が、無線LANの中継器である。
中継器はテレビやアンプ、ブルーレイ・レコーダーなどを収容した自作の台の裏に置いてある。キャスター付きの台を前に引き出し、お兄ちゃんは裏に入って作業を始めた。何でも、中継器に自分のパソコンを繋ぎ、設定するのだという。

作業を始めてどれくらいたっただろうか。再生が続いていた音楽が突然途切れた。おかしい。おかしいが、いま中継器は無線LANを中継していない。親機がシステムから取り外されたので、この中継器にデータを送ってくる相手がいなくなったのだから当然のことだ。だから、音楽の再生をやめたネットワークプレーヤーに指令を出す手段はない。つまり、音楽再生が途切れても、できることは何もない。
だが、こんな時に音楽がないのは寂しい。

「これでどうですか?」

お兄ちゃんがいうので、パソコンをネットワークプレーヤー(私の日誌を継続してお読みいただいている方は、Raspberry-Piと友人作のDACを組み合わせたものということはお分かりである)に繋ぐ。だが、繋がらない。

「繋がらないよ」

そういうと、お兄ちゃんは

「分かりました」

といってまた作業に没頭した。

「今度はどうですか?」

繋がらない。

「まだダメですか」

繋がらない。
お兄ちゃんは焦りだした。私も焦りだした。

思いついてLanScanというソフトを動かしてみた。これ、家庭内LANにぶら下がっている機器を見つけ出すソフトである。これで見ると、NASもRaspberry-Piも中継器も繋がっていない。

「ダメだね」

本当に焦ったのだろう。お兄ちゃんは再びテレビ台の後ろに入り、作業を再開した。

やがて。

「これ、だめです。NECの親機(この日取り外した親機)としか交信できないようです」

ということは、である。そもそも、セールスのお兄ちゃんが言ったことが間違っていたわけだ。
それでも、対策がないわけではない。NECの親機を新しいモデムに繋ぎ、無線LANはこちらを使えばいいわけだ。
だが、問題はある。あの棚に載るか?

2人であれこれ工夫をし、一つの機器の裏側に別の機器を押し込むなどして、何とかクリアした。

「これで、ネットワークオーディオも大丈夫なはずです」

そこで、パソコンをRaspberry-Piに繋ごうとした。が、繋がらない

「ダメだぜ」

今度こそ、専門家のお兄ちゃんは青くなった。

「そんな……。これ、電源を入れれば繋がるようにできているはずですが」

 「だけど、ほら、繋がらないものは繋がらないんだからどうしようもないでしょう」

途方に暮れる彼を見ながら、さて、どこの具合が悪いのか、再びLanScanを動かしてみた。すると、今度はNECの親機、中継器は繋がっている。NASもいる。だが、Rapberry-Piだけは、相変わらず出てきてくれない。このお兄ちゃん、いったい何をしてくれたんだ?

「困ったなあ。契約破棄できる? 音楽がないと困るもんでねえ」

そんなことになったら、このお兄ちゃんの業務査定はドンと落ち込むだろう。だって、客のところに赴いて、客の無線LANシステムを作動しないようにしちゃって、その挙げ句、修復もできない。会社としては私に謝罪し、場合によっては慰謝料を払わねばならない。それがこのお兄ちゃんの査定に響かないはずがない。

と考えながら、私は原因を考えた。私は冷たい人間ではない。このお兄ちゃんの査定が下がることは私の望みではない。それより何より、音楽が我が家からなくなると困る!

とにかく、中継器は生きている。それなのに、中継器に繋がっているはずのRapberry-Piが出てこない。
ということは……、Rapberry-Piがトラブってる?

お兄ちゃんには無断でRapberry-Piの電源を落とし、再び電源を入れた。再起動はコンピューターがハングアップしたときの常套手段である。そして、Rapberry-Piが立ち上がるのを待つ。

「おっ、出てきたよ!」

パソコンとRapberry-Piが繋がった。John Mayerの音楽を再生するように操作したら、みごとに音楽が流れ始めた。

「大丈夫だな」

そうか、あの、音楽再生が途切れたときに疑っておくべきだった。あれ、お兄ちゃんがテレビの裏側で作業を始めた直後だった。ということは、お兄ちゃんのパソコンから中継器を通じてRapberry-Piに何らかの信号が入り、それでハングアップしたのに違いない。それを再起動したので普通に動き出したわけだ。

見るからにほっとした表情のお兄ちゃんはそれから、プリンターの設定を元のNECにやり直し、これからの手続きの話をして戻っていった。
やってきたのが午後2時。我が家をでたのは午後5時近かった。多分、1時間程度で終わる作業と踏んできていたはずだから、予定の3倍の時間がかかったわけだ。

というわけで、私は専門家の窮地を救ってあげたのであった。ご苦労様。
ん、これ、お兄ちゃんに言うことか? それとも、私が私に言うことか?

本日は、面白くもおかしくも、腹立たしくも悲しくもない、淡々としたお話しでした。それではまた。

ところで。
こちらに移設中の、私の昔の原稿、楽しんでいただいていますか?