11.04
2017年11月4日 お留守番
いま、横浜にいる。横浜にいてお留守番をしておる。
私を横浜に招いたのは
「ボス、勉強を教えてください。来てください」
という瑛太であった。何でも、次の週の日曜日に塾のテストがあるという。その日に備えて、算数と国語を勉強したいのだそうだ。
この連休、実は予定らしきものがあった。長男夫婦と2人の一粒種、あかりが5,6日に桐生に来るという話を聞いていた。長男に
「予定が固まったら連絡しろ」
と言っておいたのだが、なかなか連絡が来ない。あいつら、本当に来るのか? と疑い始めた頃に、瑛太からの電話があった。即座に、横浜に行くことにした。
私の予定を先に押さえたのは瑛太である。長男は
「多分行く」
といっただけで、その後の連絡がなかった。
「行くから」
というメールが来たのは、瑛太の電話の後である。
それだけでも瑛太の招きに応じる十分な理由である。
さらに、瑛太の勉強と息子一家が桐生に遊びに来るのを天秤にかければ、優先するのは瑛太の勉強であることは明瞭である。次の日曜日がテストなら、切羽詰まっているといってもいい。長男一家は、予定を先延ばしすれば済む。
ということで、今日は横浜に来た。着いたのは朝10時20分頃だ。
まず、瑛太ができなかった塾の問題(算数)をやり直させた。何故間違ったのか、をまず聞く。自力で解き直した答があれば、それを点検する。それが間違っていれば、どのようにして解こうとしたのかを本人の口で説明させる。説明が曖昧であれば突っ込む。間違っていれば指摘する。その上で、正しいアプローチ方を教える。
まあ、私の教え方はそのようなものだ。桐生にいてできるのは、瑛太がお手上げになった問題をショートメールに添付する写真で送らせ、そのの正解をできるだけ詳しく書き、間違いやすいところを注意書きしたものをファックスで送る程度である。やっぱり、顔と顔をつきあわせて教える方が理解度は高まると思う。
これまで瑛太の算数を見てきて、
「やっぱりそうか」
と思うのは、塾で教えられた解き方の、盲目的な適用である。
「ニュートン算はこうやって解きます」
と教えられると、ニュートン算の問題ならどれもこれも、同じパターンにあてはめて解こうとする。解きかけて、
「でも、本当はこの数字が必要なんだけど、問題には書いてない‥‥」
とお手上げになる。その解き方が、どんな考え方で導き出されているのか、なぜ正解にたどり着けるのかを理解していないためである。塾の促成栽培ではそこまでの指導はできないということか。
だが、そこをきちんと理解していないと、出題のパターンが少し変わっただけでお手上げになる。そこでとどまっていては学力にはならない。汎用性のない「技術」を覚えただけである。
話が少しそれた。
少し算数をやって昼食を済ませ、私とキャッチボールを楽しんだ後で瑛太は塾に行った。その間、瑛太のママである次女は、娘の璃子を連れて公文式の塾。一度戻って、今度は璃子を連れて横浜の中心部にある矯正歯科に行った。予約は午後5時だそうで、瑛太のお迎えを私に命じていった。
というわけで、久しぶりに、本来なら私が住んでいるはずの家で、久しぶりに一人になった。いま午後4時半。瑛太の迎えは6時過ぎなので、あと1時間半は一人である。
とはいえ、この間も、夕食後の瑛太の勉強の準備をしなければならぬ。今日と明日、私は瑛太の専属専属家庭教師なのである。
そうそう、私の新しい中古車が届いたと、一昨日連絡があった。エンジンオイルが汚れ、ブレーキパッドも消失寸前、それに、不思議なことにタイヤ2本がツルツルになっていると報告があった。オイルとブレーキパッドは理解できる。でも、タイヤが2本だけツルツル? 普通、4本はほぼ同じ速さで摩耗しないか?
「2本だけ、っていうけど、4本とも取り替えてよ。普通、同じ速さですり減るでしょう。2本がツルツルなら、ほかの2本だってツルぐらいにはなっているはず」
といってみたが、
「いや、不思議なことに、後の2本はまだ充分に使えるんです」
タイヤを2本だけ取り替えてもらうことにした。
というわけで、私の新しい中古車は、週明けの火曜日か水曜日には私のもとに来る。ディーゼルエンジンは快調、傷はほとんどないというから、まずまずの掘り出し物か。
そういえば、いまの私の車の件で混乱があった。
いまの車は、同業界にいる後輩に譲る。その手続きを頼んである、中古車をオークションで落としてくれた会社から数日前、
「大道さん、これ、所有権がデイーラーになっているんです。この所有権を外さないと譲渡できません」
といってきた。
ん? 所有権が私にない? ローンはすでに10年前に終わっている。完全に自分のものだと思って乗り続けてきたが、俺、他人の車に乗っていたわけ?
「ローンを使うと、所有権はディーラーにして最初の登録をするんです。ローンが完済したところでローン会社から完済の通知と、所有権を移す手続きを促す手紙が来ているはずなんですが」
といわれても、10年も前のことは忘却の彼方である。
では、どうすれば?
「ローン会社に連絡して、完済証明書を出し直してもらい、ディーラーに所有権を外してもらうんです」
そんなこといわれたって、どこのローン会社だったか記憶しているはずもない。多分、買うときにデイーラーで書類に署名、捺印し、店を出て23分もしない間に忘れてしまった会社名である。
「ディーラーに聞くしかないですね」
うん、それしかない。ディーラーに聞いた。電話をした。しばらくしたら、
「当社には該当する記録がありません」
という返事が来た。再びデーラーに聞いた。
「ごめんなさい、間違った会社を教えました」
といわれ、再び正しいはずの会社に電話を入れた。
「当社にも記録はございません」
おい、だったら俺、どこから金を借りて車を買ったんだ?
再再度ディーラーに電話した。しばらくしたら解答が来た。
「完済して7年たつと記録を破棄するんだそうです。だから記録がなかったのです。そこをねじ込んで、書類で証明させることにしましたから、これでうちの所有権を外せます。ご迷惑をかけました」
で、一件落着である。
でも、ローンで車を買うと、所有権はディーラーにあり、買った客は「使用者」として車検証に書き込まれるってこと、あなた知ってました?
ローンを払い終えると通知が来て、それからディーラーの所有権を外す手続きをしなければならないなんて、あなた、知ってました?
知らなかった私は世間知らず?