03.22
2018年3月22日 首
情けないことになった。首が回らない。
いや、財布が軽いために首が回らないのは慢性である。わざわざここに書くほどのことではない。あえて首が回らないと書くのは、我が首が、物理的に、生理的に、生物学的に回らないからである。
回らなくなったのは10日ほど前のことだ。朝目が醒めたら回らなくなっていた。
「寝違えちゃったらしいな」
と軽く考えた。寝違えなどは3、4日もすれば自然に治る。皆様もそのような体験の1つや2つはお持ちのはずである。
久しぶりに寝違えた首を抱えながら、だから私には焦りなどなかった。放っておけばいいのである。
放っておいた。放っておいても、何となく気になるからもんでみたりする。もむと気持ちがよいが、だからといって痛みが小さくなるわけではない。入浴時に充分温め、湿布を貼ったりもしたがたいした効果はない。逆に肌がかぶれたのが落ちである。
「まあ3、4日の我慢だ」
3、4日たった。痛みが一向に引かない。逆に痛む箇所が増えてきたような気すらする。
「おかしいな。何で長引く? 齢を重ねると快復力が減退するためか?」
耐え難くなったのは昨日、21日だった。頭を正しい位置にとどめおこうとしても、どうにかすると痛む。いかん。これ、痛いわ。
ふと思い出した。こうした時は患部を温めればいいのだ。濡れたタオルをレンジでチンして首に巻こうか、と独り言をいっていたら、妻女殿が
「レンジで温めるカイロがある」
とおっしゃった。渡りに船である。それを出していただいてレンジでチン、タオルにくるんで首の後ろに巻き付けた。なるほど、温めていると少し楽になったような気がする。が、1時間ほどするとカイロは熱を失う。再びレンジに入れてチン。冷えたらチン。
夕食時までそれを繰り返した私であった。
今朝目覚めた。首の痛みはどうなった?
楽になったような気もするが、ちっとも変わらない気もする。昨日1日かけた治療の効果はあったのかどうか。それに、なんだか肌がチクチクする。これ、低温火傷?
今日はたまたま整形外科医に行く日だった。腰の薬の処方箋を書いてもらうためである。
呼ばれて診察室に入る。
「どうですか」
毎回の問に、今日は違った答えを返した。
「腰は変化ないんですが、寝違えてしまいまして。その痛みがもう10日ほど引かないんですが」
先生の目の光が少し変わったような気がした。
「首の周りや手、指先にしびれはありますか?」
いや、あるのは痛みだけである。どこもしびれてはいない。困っているのはしつこい痛みで、これ、何とかなりますか?
「まずレントゲンを撮りましょう」
どうやら頸椎に何らかの障害が起きたことを疑ったらしい。たしかに頸椎に障害が出れば神経が圧迫され、痛みとしびれが出るはずだ。でも、しびれはないんだけど……。
前から、左右から、後ろから、計4枚のレントゲン写真を撮った。
「まあ、老化現象による変形はありますが、とりあえず頸椎は大丈夫のようですね」
うん、私は最初からそう思っていましたが。ところで、この痛みにロキソニンは効きますか?
「ロキソニン? ああ、効果はあるはずです。処方しましょうか? え、前のが残っている? だったら、それを服用して下さい。
かくして私は、自宅に戻り、昼食を済ませて久々にロキソニンを呑んだ。なるほど、少しは楽になったような感じがする。
しかし、だ。レントゲン写真を撮って骨格には問題がなかったとすると、やはりこれは寝違えたのである。寝違えて、もう10日もたったのに痛みが引かないとは……。
老化とはこのような納得しがたい現象が次々と我が身に降りかかることなのか。
ここで自己診断。
私は寝違えた。これは間違いない。では何故痛みがこれほど長く続くのか?
「そうか、眼鏡のせいだ」
私は外に出る時には遠近両用の眼鏡を使い、自宅では中近両用の眼鏡を使う。いけないのはこの中近両用である。遠視が進んでいるのだろう、最近は「中距離」を見る部分の度が足りなくなった。遠くはかすみ、50cmから2mほどの間ははっきり見えるはずなのに、遠くがかすまなくなっているのである。そのため、本来はっきり見えるはずの50cmから2mがよく見えなくなり、もっと強い度が仕込まれている眼鏡の下の部分でものを見ようとする。
最もいけないのがパソコンである。眼鏡の下の部分でディスプレーを見ようとするから、あごが上がる。あごが上がると首筋から肩にかけての筋肉に緊張を強いることになる。
寝違えて凝り固まった筋肉は、本来ならば血流をよくするために伸ばさねばならない。なのに、パソコンで作業をする私は逆に、これらの筋肉を縮こまらせ、血流を悪くしていたのではないか? それなら痛みが長引くのも当然である。断じて、老化ではない!
眼鏡のレンズを取り替えなければ、と決意を固める私であった。
本日はこれから仕事を兼ねた飲み会。明日は朝から横浜に向かい、月曜日の朝に戻ってくる。
皆様、しばしのお別れであります!