2019
03.26

2019年3月26日 桜前線

らかす日誌

東京オリンピックのリレートーチは、桜をイメージしてデザインされたのだそうだ。デザイナーは、このトーチが日本全国を回るのをとらえ、

「桜前線が北上してくると、何だか心が浮き立つじゃないですか」

というようなことをテレビで話していた。
桜は日本の国の花である。桜好きがたくさんいる。たくさんいて、お花見になだれ込み、

「酒なくて、何でおのれが桜かな」

などとほざきながら酔い痴れるのは、日本の春の風物詩である。
なるほど、デザイナーというのは、そんなことにヒントを得て絵筆をとるのかと感じ入った。
でもねえ、アルミで作られたトーチは何だかヌルリとした感じで、ずっとシンプルだった1964年のトーチに懐かしさを覚えるのは、私の天の邪鬼のせいか?

昨年、自宅前の桜の写真を掲載したのは、4月1日だった。
桐生は昨日までの肌寒さが一転し、すっかり春めいてきた陽気に誘われて玄関を出、リレートーチのことを思いながら同じ桜の木を見てみた。冒頭の写真の状態である。先週末には気がつかなかったつぼみがしっかりでき、かなり膨らみを見せてきた。今日から春の陽気がしばらく続くというのが天気予報である。やっぱり今年も、4月1日になったら同じように咲くのかな?

年々歳々、桜はほぼ同じ時期に、同じように咲く。変わるのは我々である。68歳で見た去年の桜。69歳で見る今年の桜。今年のあなたは何歳で桜を見るのですか?

28日に次女たちが来ることになった。次女の連れ合いの歯医者さんは木曜日が定休日で、休みを利用して一緒に来るのである。久々に瑛汰と璃子の顔を見る。志望中学に無事入ることができた瑛汰はどんな顔をしてくるか?

日帰りだというので、昼食を一緒にすることにした。瑛汰と璃子のリクエストは

「鰻かお寿司」

である。
ところが、鰻の「こんどう」は木曜日が定休日。ふむ、鰻はなし。
そこで、寿司を食べに行こうと思った。2月のはじめ、璃子と2人、横浜で留守番をしたときの夕食は「はま寿司」だった。

「回るお寿司はあまりおいしくないよ。回らない寿司に行こう」

と何度も説得を試みたが、璃子は

「はま寿司がいいの」

の一点張り。折れて2人、はま寿司で夕食をとったのである。
だから、

「桐生に来たらもっと美味しい寿司を食べさせてやる」

と宣言しておいた。
璃子は食べることが大好きだ。だが、はま寿司の寿司を美味しいといっているのでは、璃子の「美味しい」「お腹に何かがが入って嬉しい」の別表現に過ぎない。食べることが好きなら、本当に美味いものを食べて本当の食べる楽しみを知るに越したことはない。それができれば、食べる事が好きであることは何かを生み出す元になる。

と考えていたのである。

ところが、桐生には寿司屋の組合があり、木曜日は組合で決めた定休日であるとのこと。もちろん、組合に入っていない寿司屋は店を開いているのだが、店名を見る限りたいした寿司屋ではない。これなら、回る寿司屋の「がってん寿司」の方がましである。でも、やっぱり回る寿司に行くのはなあ……。

と考えて、開店したばかりの「近江屋喜兵衛」に行くことにした。近江から桐生に来て財をなした矢野園が開いた食事処でゑある。いずれは行ってみようと思っていたから、ちょうどいい機会である。

この店、夜はしゃぶしゃぶが売りである。近江牛のしゃぶしゃぶが7000円赤城牛のしゃぶしゃぶが5000円。ふむ、群馬が自慢する赤城牛の市場での評価はその程度のものか……。

昼は会席膳。さて、どんな味か。璃子は何と評価するか。

もう明後日には瑛汰、璃子をはじめとする4人が来る。少しの間だけ、我が家が賑やかになる。