05.06
怒濤の10連休、私はほとんど仕事をしていた
10連休が間もなく終わる。明日からは日常が戻る。皆様は、10連休をどう楽しまれただろうか。
私は、というと、ほとんど仕事をしていた。正確に言うと、古希の祝いを済ませて桐生に戻った30日からは、ひたすら自宅にこもって原稿を書いていた。
といっても、書けたのはせいぜい8000文字程度。それも、下書き程度の仕上がりで、今更ながら原稿を書くことの難しさを思い知らされた。
いや、嘆いているのではない。もともとの計画通りに連休を消化しただけである。
このところ、群馬大学関連の仕事が忙しくなって外に出ることが多い。連休明けも沼田に写真を取りに行く仕事が待っているし、多分、東京に足を運んで酒を飲む仕事も入ってくる。10日を過ぎれば、会議や宴会が待ち受けている。
原稿を書くとは一人パソコンに向かって悶え苦しむことである。車を運転したり、カメラのシャッターを押したり、宴席で酒を飲んだりしながら原稿を書くことはできない。外に出ず、自宅でパソコンとにらめっこをしなければ書けないのである。であれば、身体が忙しくなる前の連休中に、書けるだけ書いておくにこしたことはない。
それに、我が妻女殿は体調もあって、外に出ることを厭われる。加えて、私にしたところで行きたいところがあるわけでもない。つまり、連休とは、老夫婦が自宅で過ごす時間の別命に過ぎない。老夫婦が2人で自宅にいても、別にやることはない。
本は外でパイプを吸いながら、入浴しながら、布団で眠気が差すのを待ちながら読めばよい。暇だからといって読書三昧に陥ると、本代がバカにならなくなってしまう。
映画? 昼間から映画を見るのは気が引ける。それでなくても毎晩2本ずつ鑑賞しているのだ。それ以上は見なくていいだろ?
一人で街に遊びに行く? 残念ながら桐生には、昼間一人で楽しめる場所は皆無である。いや、夜だって一人で行って楽しいところは、私が知る限りない。スナックに足を運んでも、
「あなた、いつ頃までお姉ちゃんだった?」
と口に出してしまいそうな女性のお出迎えを受けるだけである。くわばらくわばら。
ギターも、このところご無沙汰である。例のギター肩がいまだに痛む。それだけでなく、会社員のときは執務時間とされている時間中にギターを弾くと、
「なんだか儲かったな」
という気分になれたが、独立自営業者となったいま、そんな気分にはなれない。タイム・イズ・マネーと心得るのが独立自営業者である。働け! 遊ぶな!
というわけで、原稿を書く以上の時間つぶしはなかなか見いだせない。
というわけで、連休中に原稿を書くのは一石二鳥なのである。
にしても10連休。知性が劣化したNHKは毎日の如く、10連休の話題を報じていた。
「10連休、どう過ごされました?」
「はい、バリ島へ。ストレスがすっかりとれました」
休日をバリで過ごす程度で取れるストレスなんて、そんなものストレスじゃない!
という言葉の問題は横に置いて、まあ、休みに何をしようと本人の好き勝手なのだが、気になったのは、この人がストレスを解消しにバリ島まで行けたのは、10連休などどこ吹く風とばかりに、この間も働いている人がいたからであるという自明のことに、天下のNHKが一顧だにした様子がないことである。
ねえ、10連休、10連休、ってはしゃぐけど、本当に10連休をとれたのは大手企業のサラリーマンや公務員程度じゃねえ?
桐生で付き合っている経営者で10連休がとれるといった人はいなかったし、東京だってデパートやホテル、飲食店、商店などでは10連休には縁もゆかりもない人たちが働いていた。
そんな、10連休とは無縁の人たちをシカトしていいのかなあ、NHK?
毎度の如く繰り返される高速道路の渋滞もご苦労さんなことである。おそらく観光地も人の波で埋まっていただろうし、そんなことが分かりきっているのに、どうして連休中にマイカーで遊びに出かけるのかねえ、あの人たちは。
あ、渋滞にひっかって、車の中に閉じ込められて、身体の中から尿意が吹き出しそうになった人、あの渋滞の中にはいなかったのかねえ? そうなったらどうするんだろう? 高速道路上で立ち小便? でも、女性は……。
最近トイレが近くなり、ほとんど渋滞していない高速道路を横浜まで行くのに途中でパーキングエリアに寄ることが多くなった私はテレビを見ながら心配してしまった。
10連休と浮かれ騒ぐより、もっと個々バラバラに休みが取れる社会にして、渋滞を起こさずに皆がレジャーを楽しめるようにした方がきっといいのにな、と常識的なことを考えてしまった、連休最終日の私であった。