2019
06.13

クオバディスのトリノートはよく考えられた日記帳である

らかす日誌

クオバディス(QUOVADES)にトリノート(TRINOTE)という日記帳がある。1冊購入してみた。なかなか使い勝手がよろしい。

日記帳がいる。そう考えだしたのは、群馬大学関連の仕事が結構忙しくなったためである。今週だけ見ても月、火、水、金曜日に予定が入り、来週は月、火、水と入っている。
その日程を間違えずにこなすために、記憶力が減退しつつある私はもっぱらiPhoneに頼っている。「カレンダー」に入れておけば自動的に机上のiMacにもデータが移り、忘れることがない。

ところが、それでも困ったことが出てきた。過去についての記憶が曖昧になってきたのである。たとえば、「宇都宮」という記入がカレンダーにあれば、宇都宮関連の仕事をしたことは分かる。だが、一体どんな仕事だったのか? どこに行ったのか? そのあたりが曖昧になってきたのだ。

まず困るのは経費の精算である。どこに行って何をしたが分かれば使った経費は割り出せるのだが、宇都宮と書いてあっても宇都宮に出かけたのか、桐生に迎えたのか、前橋であったのかがぼんやりとして、

「さて、何をしたんだっけ?」

と頭を抱えることになる。

いや、それだけなら、カレンダーに入力する際、場所や目的、参加者などを書き込んでおけば用は済む。もう一つ考えなければならないのは、この事業がうまく行った場合、本にまとめようという話が出かねないことだ。そうなれば、詳細なデータがいる。それをどう記録に残すか。

そんなことを考えていて、

「専用のノートをつくろうか?」

と最初は考えた。だが、ノートを使うとなると、日々の記録を詰めて書くことになる。つまり、6月6日にある仕事をしてメモを書いたとする。次の仕事は、今月の私の予定に従えば10日だった。だから、6日の日記が終わったところから10日の日記が始まる。
となると、一覧性がなくなる。どの程度の頻度で、どの程度の密度で仕事をしたのか、できれば一見して分かった方が何かと便利だ。
というわけで、日記帳を探し始めた。しかし、1日1ページのペースで進む日記帳では、何も書き込みがないページが沢山できそうである。それに一覧性がない。さて、どうするか。

そんなことを考えていたとき、たまたま「文房具を楽しく使う」(和田哲哉著、早川書房)という本を読んだ。数ヶ月前に買ったまま積ん読状態になっていた本である。まあ、著者には申し訳ないが、文具オタクでない人にはあまり意味がない本である。

瑛汰の勉強を見ていたとき、

「快適に算数問題に取り組む環境を整える助けになるのではないか?」

などという妄想に駆られて買った本である。買ってはみたものの読もうという意欲がなかなかわかず、しばらく放って置いた。
それを、なぜか知らないが手に取った。

日記帳はこの本の最後の方に出てくる。そこで水洗されていたのがクオバディスだった。フランス製の日記帳である。

特徴はいくつかある。
まず、見開きで1週間分の予定が書き込め、時間割は縦書きである。
一番下には、それぞれの日用のメモ欄がある。
右側にもメモ欄があり、コンタクトしなければならない相手、そのメールアドレス、やらねばならないこと、雑記欄が設けられている。

読みながら、

「なるほど」

と思った。
何より気が惹かれたのは、時間割が縦書きであることだ。日本製の手帳や日記帳では、時間割は横に伸びている。予定を入れるだけならこれでいいが、さて、その仕事で何をしたかを付け加えようとすれると、書き込むところがない。すぐ下は翌日の予定を書かなければならない翌日の欄だからだ。
しかし、縦書きならまず仕事のタイトルを書く。たとえば2時間かかったとすれば、それだけのスペースがあるから、あとでメモを書き入れることが出来る。しかも、5分刻みの日程なんて入りっこないから、このスペースはかなり広い。そこに書ききれなかったら、一番下にメモ欄がある。
これなら、仕事の記録の要約番ができる。

Amazonで探した。しかし、出てくるトリノートは

「リフィル」

と書いてある。リフィル? もう一度満杯にする? それって、交換用のもので、表紙も何にもついていないのか? それじゃあカバーというか表紙がいるよな、と考える。カバーだけで売られているものをみると1万3932円!
おいおい、日記帳にそんなに金を出す気はないぜ!

一度は断念し、別の日記帳を買ってみた。やはり使いにくい。毎日の時間割が横書きだからである。右ページがメモようになってはいるが、毎日の予定とこのメモをどう結びつけるのか?

改めてAmazonでトリノートのリフィルを見てみた。見落としていたものに気がついた。リフィル(カバーなし)とは書いてあるものの、色が選べるのである。ということは、とりあえず表紙として使える厚紙がついているのかな? 価格は2020円

「まあ、ダメ元で買ってみるか。カバーがなくても使い方を考えれば何とかなるだろう」

紺色を選び、注文した。それが今週届いた。リフィルなのに、ちゃんと紺色のビニール製カバーがついている。そしてやっぱり使いやすい

いま、この日記帳を記録用として使い始めた。先の予定は書き込まない。それはiPhoneに任せる。そして、終わった仕事を書き込む。そのついでに、費やした時間で何をしたのかの要点だけをメモで入れる。

「○○
  ××原稿の件」

といった具合である。そのメモさえ見れば、どんなことに時間を使ったのかを思いだせればよいから、メモは出来るだけ簡単にする。

しかし、たかが日記帳、されど日記帳である。毎日の時間割を横書きから縦書きに変えるだけで、使い勝手がこれだけ変わる。国産の日記帳がきわめて使いにくいことを横に置いて、フランスの知性に拍手を送りたい気分である。

もっとも、三日坊主の気もある私のことだ。このフランス英の日記帳、いつまで使い続けるのかは自信がない。とりあえず5月21日から今日までの分は書き込んだのだが……。