2019
06.08

今週も土日は働いてしまう私であった

らかす日誌

今日は何もすることがない、珍しい土曜日だと思っていた。そのためではないが、目が醒めたのは、何と午前8時半。昨夜は午前1時頃には眠っていたはずだから、少なくとも7時間半の睡眠である。妻女殿に揺り起こされる(ひょっとしたら足蹴にされた?)まで夢の中にいた私が、どうして古希なのだろう?

ということで、午前中はゆったりと過ごした。ゆったりといっても、ゆったりすると何となく居場所がない私である。何もすることがないと、本当に何もすることがないのだ。

読書はパイプをくゆらす時間、入浴時間、布団に入ってから、と時間が決まっている。それ以上読むと、本の消費が激しくなって財布が軽くなる。
ちなみに、今読んでいる本は

分断されるアメリカ」(サミュエル・ハンチントン著、集英社文庫)

である。移民ではなく植民の国として生まれたアメリカは、様々な国から植民者、後には移民を受け入れながら一体感を保ってきた。その一体感が最近、エリートたちによって突き崩されつつある、という本である。
アメリカの公用語は英語だ。長い間アメリカは、移民たちに英語を使うことを強いてきた。英語が分からないまま移民してきた人たちには公費を使った教育プログラムで英語に習熟することを強いてきた。一種の強制である。だが、それが一体感の中心の1つだった。
確かに、言葉が通じることは一体感醸成の基礎であろう。次々と他民族が押し寄せる多民族国家として、国としてのまとまりを保ち続けるにはそうするしかなかったのだと思う。
ところがこの20年ほど、その強制が弱まってきた。政界の実力者(クリントン元大統領を含む)、学界、司法界のリーダーなど、いわゆるエリートたちが、表面的には移民の人権を掲げて英語を押しつけることをなくす方に動いているのだという。そんな中で、一方では中南米から押し寄せる移民たちは尋常ではない数に上っている。しかも、かつては1民族がまとまって住むことがないように政府が取り仕切っていたが、最近は政府は口を出さず、入国後はまとまって住むことが多くなった。そのため、アメリカの中にスペイン語圏が出来つつある。投票用紙を2カ国語で表記するなど、それを後押しするような行政の動きもある。このままでは、アメリカはやがて分裂するのではないか?

まあ、これまで読んだのはそのあたりまでだが、面白い。読みながら思った。1つの国で違った言葉、違った文化、価値観が同居する国にアメリカがなりつつあるのだとすると、アメリカは世界の縮図になりつつあるということではないか。ひょっとしてアメリカは、地球国を創る実験を始めているのではないか?

まあ、それは今日の本題ではないので、このあたりにする。

読書をしないとなると、では映画を見るか? いや、これは夜のプログラムだ。
では音楽を聴く? 最近はもっぱら、仕事をしながらのBGMだもんなあ……。

そんなことを考えていたら、もう昼食の時間である。
終えて、西瓜が食べたくなって農協まで買い物に。
戻ってパソコンを前にし、

「そういえば」

と思い出してしまったのだ、群馬大学関連の仕事で資料を受け取っていたことを。あれに目を通さなくてはいけないんじゃないの?

見てみた。実に面白い。これを群馬大学ベンチャーのホームページに使わねば。何しろ私は、現在制作中のホームページ担当なのだ。

ところが、手元にある資料はPDFである。このままでは編集できず、ホームページには使えない。何とかテキストファイルにしなければ。しかし、そんなソフトは持っていないし……。
Macに備わった機能で、何とか出来ないか? と思いついてググった。あった。Automatorという、最初から入っているアプリを使うのだという。やってみた。最初はうまく行かない。このアプリ、どうやって使うんだ?

ググり直して別のページを見つけた。おう、なるほどそうやるのか。今度はうまく行った。

テキストにはなった。次はこれをもとにWordで文書を作らねば。
バラバラに出てくる改行を戻し、時折顔を出す不思議なスペースを消し、ついでに原稿に手を入れる。

「あっ、この写真、使いたいよなあ」

とは思うが、PDFから写真だけ取り出せるか? えーい、こんな時はスクリーンショットで。

こうして3部の原稿が出来た。それを関係者にメールで送って点検を依頼して……。

ふと時計を見ると、もう5時半。今日の仕事はここまで。

で、明日もあるのだ、仕事が。

桐生市内のとある会社のための仕事だ。
しばらく前に、この会社に不思議な女性が訪ねて来た。どういう訳か私もその場に同席することになり、やがて彼女からおかしなメールが私に届いた。

「仲間5人と、全員手弁当でこの会社の商品の販促をしたい」

5人には様々な専門家が混じっているといい、会社に迷惑をかけるのは販促の資料をつくるためインタビューの時間を取ってもらうこと、写真や動画の撮影に協力してもらうこと、の2点だけだという。

おかしい。そんなうまい話が世の中に転がっているはずがない。ひょっとしたら新手の詐欺? この会社の経営者が高齢であるところに目をつけたか?
何度かメールをやりとりする中で、私は彼女たちの面接をしようと思い立った。私だけで面接をするのではない。私が信用する仲間と一緒に面接をする。1人は不動産会社経営、もう1人は公認会計士である。この3人で面接をし、3人が納得したらこの話を受ける。会社の社長の承諾を得ての面接である。

明日午後1時半、彼らは来る。
しかし、今日彼女あてに最終確認のメールを出したが返事が来ない。土曜日だからパソコンを開いてないということもあり得るが……。

来なければ、私は新手の詐欺を防いだことになる。
来れば、さてどうなるだろう?

この仕事、我々3人はただ働きである。報酬は一切ない。この会社が桐生にとってはとても大切だと思う3人だから買って出た仕事であることを明記しておく。

で、月曜からがまた大変な日程だ。月曜日には桐生に人を迎え、火曜日から水曜日に駆けては長野・岡谷まで出張。幸い水曜日は空白だが、木曜日は取材に夜の会合、そして金曜日はとある会社を桐生に迎える。

私は現役の時、有給休暇をほとんど使っていない。多くの人は定年が迫ると、たまった有給休暇をまとめて消化する。だから1ヶ月、2ヶ月は会社に来ない。私は最終日まで出た。

「だって、いずれは仕事がない毎日が来る。そうなれば、働きたくても仕事がない。休みたくなくても休まざるを得ない。仕事があるうちは仕事をしていた方がいいんじゃない?」

と周りにはいっていた。
が、だ。その、「休みたくなくても休まざるをない」日々が、なかなか訪れない。むしろ、何度も書くが現役時代より忙しいほどである。

まあ、いいか。それでもいつかは身体と頭が動かなくなり、休みたくなくても休んでいないと身体が持たない日々が来るはずだからなあ。

生涯現役。