2020
08.29

長距離ドライブに弾みがついている最近の私であった。

らかす日誌

瑛汰の中学受験も昨年2月に終わり、算数を一緒に勉強する機会がなくなって以降は長距離ドライブの機会がめっきり減っていた私である。ところが、先週末に横浜から川崎を巡る2泊3日のドライブをしたことがきっかけとなり、どうやら再び長距離ドライブに弾みがつきかかっている。

先週末は歯の治療が主目的で、ついでにあかりの顔を拝みに行く旅であった。月曜日に桐生も戻っって往復350㎞をこなしたら、木曜日には草加まで車で出かけ、酒を飲んできた。仕事仲間の寄り合いがあり、新型コロナ騒ぎの最中とあって電車で行くわけにもいかず、片道100㎞のドライブとなった。酒を飲むのだから、当然その日は草加泊まりである。あいだにビニール膜が張られたカウンター越しに、マスクをしながらホテルウーマンと会話を交わしてチェックインして部屋に入る。エレベーターなどで出会う同宿の客たちもすべてマスク姿。なんだか、

「コロナ、怖いけど、怖くないもんね」

という肝試し大会に出場しているような気分であった。
人のことはいえないが、このコロナ騒ぎの中、粛々と出張して仕事をこなす方々がいらっしゃる。ただただ酒を飲むために出かけた私の目には、出会った方々が日本の経済を支えてくださっているように見えた。お疲れ様。

明日は再び横浜に行く。歯の治療の、多分仕上げである。夜は瑛汰、璃子と過ごし、月曜日の朝、桐生に戻る。相模原経由だからこれも往復350㎞というところか。わずか1週間ばかりのあいだに3度の長距離ドライブで900㎞。中古とはいえBMWのおかげか、この程度のスケジュールがまだ苦にならないのがありがたい。

今回の横浜への土産は、計算用紙と本である。
計算用紙は璃子のリクエストだ。先週、私は璃子に算数の解き比べを挑まれた。同じ問題用紙を前に

「よーい、ドン!」

で解き始める。どちらが早く、正確に解くかの競争だ。私は頑張った。璃子はまだ小学4年生である。負ければボスの沽券に関わるではないか。頑張って解き進み、最後の図形問題で手間取っていたら、

「ボス、まだ終わらないの? ああこの問題、答は12だよ」

と、スピード競争で負けたばかりではなく、手こずっていた問題の解き方まで教えていただいた。あちゃー。これでは双方の立場が入れ替わったようなものだ。璃子の前で偉そうな顔をするのが難しくなった。
ま、負けてちょっぴり嬉しかったのも確かだが。。

その璃子が注目したのが私の計算用紙である。仕事柄、A4の紙にプリントアウトする原稿が結構ある。プリントアウトして用済みになったものはそのまま捨てるのではなく、半分に切って裏側を計算用紙として再利用する。もったいないは私の信条である。この紙が、いたく気に入ったらしいのである。
競争に負けた解き比べの時が使っていた計算用紙のほぼ半分はその場で召し上げられ、

「今度来るときは沢山持って来てよ」

と追加注文が出た。明日は「沢山」の計算用紙を車に積んで行く。

瑛汰には本である。
瑛汰は子どもの頃から本が好きで、横浜の家には幼児書から児童書まで瑛汰が読んだ本が山積み状態だ。だがもう瑛汰も中学2年生。そろそろ大人が読む本も読みこなせる年代である。であれば、前に進んだ方が良い。
そこで先週末。フレデリック・フォーサイス、立花隆たちの本を書棚から抜き出し、

「これ、面白いぞ」

と瑛汰の前に積んだ。

「フォーサイズが書いた『ジャッカルの日』という本は、フランスの大統領だったド・ゴールの暗殺計画がテーマで、ジャッカルという世界最高の殺し屋が着々と計画を練って実行に移す。みごとに組み立てられた計画で、どう見ても失敗するはずがない。ところが、ド・ゴールは実在した大統領で、暗殺されてはいない。なぜジャッカルは失敗したのか。歴史とフィクションを組み合わせた面白い本だ」

と紹介し、横浜の書棚には見当たらなかったので

「今度持って来てやる」

と言い置いて桐生に戻った。とろこが、こちらの書棚を探してみても、ジャッカルが見つからない。やむなく、Amazonから瑛汰宛に送ったら、昨夜、

「ねえ、この本、俺の?」

と電話をしてきた。すでに、先週積み上げた本からフォーサイスの短編集を取り出して読み始めたといい、

「結構面白いじゃん」

そこで今度は、フォーサイスに加え、隆慶一郎、ロバート・J・ソーヤーの本を持参する予定である。歴史や科学、社会学の本も読んで欲しいが、まあ、とりあえずこのあたりから始めることにする。
読後の無駄話を瑛汰とできる日が楽しみである。

にしても、だ。またまた政権を投げ出しちゃったね、安倍首相。
まあ、説明通り病気が再発して重責に堪えられる健康状態ではなくなったのなら

「ご苦労様」

というほかない。
しかし、世の中には素直な人ばかりではなく、

「ああ、また病気を理由にトンズラするのかよ!」

と穿った見方をする人も少なからずいる。
確かに、最近の安倍っちは精彩がなかった。スピーチライターが無能なのか、大向こうを唸らせるような明鋭意説望むべくもないとは分かっているが、質問に正面から答えようとせず、枝葉末節に話の重点を移しまでたっても消えなかった。加計・森友問題の弁明に納得した国民が果たしてどれだけいたのだろう? 安倍長期政権は、野党の無能さに支えられたともいえる。
加えて、新型コロナウイルスが蔓延し始めてからは失政のオンパレードだった。まあ、コロナに関連して打ち出された政策のほとんどは周りが発案したものだろうが、それを内閣の政策として実行に移したのは安倍首相だから、責任を免れるわけにもいかないだろう。
何をやっても外れっぱなし。

「僕ちゃん、もうやる気なくなった!」

ということで突然辞任されても周りは慌てるばかりだろうが、まあ、やっと安倍政権が終わるかとホッとしている人も多いはずだから、とりあえず

「お疲れさん!」

とでもエールを送っておくことにする。