2020
10.13

お暑うございます。

らかす日誌

暑い。団地内の郵便ポストまで歩いてきたら、全身が薄らと汗をかいている。壁に掛けて時計を見ると(現在、午後4時5分)、室温はいま26.6℃、湿度は49%。夏の名残が尾を引いているらしい。
予報に撚れば、桐生は今晩から雨になり、気温もグッと下がる。今日が今年最後の

「暑い!」

日なのか。

アメリカ大統領選挙まで20日あまりとなった。投票日は11月3日、日本では文化の日である。投票に臨むアメリカ有権者の文化度はどの程度のか? 選挙結果が楽しみである。

アメリカの各種世論調査だと、バイデン候補がトランプを引き離しにかかっている。支持率の差が広がっているのである。新型コロナに感染し、わずか数日で退院、驚異的な回復を見せて

「どうだ、ころなんてたいしたことないだろう。俺は最強の大統領だ」

と大見得を切るトランプだが、そろそろアメリカの有権者に見放され始めているのか。

思い返せば、4年前の大統領選挙は

史上最悪の候補

史上で2番目に悪い候補

の対決だといいわれた。当選したのは2番目に悪いトランプである。ヒラリー・クリントンがなぜ史上最悪のレッテルを貼られたのかは知らないが、だとすれば、バイデン候補が史上3番目に悪い大統領候補であったとしても選挙に勝つことになる。実現すれば、世界はもう少し静かな、理が通りやすい場所になるはずだ。

今日は久々に暇な1日であった。進めている桐生の職人さんの取材は9月下旬から本格化し、ほぼ毎日誰かに会いに出かける。加えて、顧問になってしまった会社の会議も多めにある。そのため、先週は毎日出かけ、今週も昨日は取材、明日は会社の会議で川口、15日、16日は取材と、なかなか忙しいのである。そんなさなかのポッカリ空いた1日。今日やらねばならなかったのは、数件の電話だけである。来週も火、水、木と埋まっており、ことによるともう1日埋まる。新聞記者現役時代よりも忙しいかも知れない。

しかし、職人さんの話を聞くのは面白い。職人さんには一徹で口が重いというイメージがあるが、何の何の、皆さん、繊維の仕事にはまるで素人の私に、何とか自分の仕事を伝えようと懸命に話して下さる。ついには

「これ、いつWebに掲載されるんですか?」

目を輝かせてくれた方も。
皆さんに申し訳ないのは、私が繊維の仕事の基礎すらよく分かっていないことだ。ために、恐らくトンチンカンな質問を繰り返しているはずなのだが、嫌な顔1つ見せずにお付き合い下さる。感謝、感謝である。

昨日は(おさ)を作る会社にお邪魔した。筬とは織機の一部で、綜絖(そうこう)で上下に分けられた経糸たていと)の間に通される緯糸(よこいと)を、すでに布になった部分に「トントン」というリズムで押し詰めるためにある。沢山の薄い金属(羽=は=と呼ばれる)がコンマ数㎜の隙間で櫛の歯状に並んでいる。
生命線はずらりと並んだ羽表面が平らであること、羽を固定する枠に対して、隙間が垂直であること、そして隙間の幅が揃っていること、の3点だ。
羽の表面が平らでないと、押し詰められた緯糸がその表面の凸凹に従って曲がってしまい、いい布ができない。羽の隙間は上下に分けれれる経糸が行ったり来たりするので、枠に垂直でなければこすれてしまい、糸切れの原因になる。また、隙間が揃っていなければ、経糸が密なところと粗なところができ、いい布ができない。
そんな課題を抱えながら羽を1枚ずつ、枠に固定していく仕事である。

「まあまあこの程度、では製品にならない。ギリギリまでいいものを作っているつもりだが、納品の後、いつも気持ち悪さが残る。そんな仕事です」

曾祖父からの仕事を受け継いだ40歳の当主の話が印象的だった。

取材時間2時間半。それでもこの仕事の全体像がうまくつかめず、昼食の時間が迫ったため

「また来ます」

といい残して引き上げてきた私であった。