03.06
個人的にもいろいろな出来事があるわけです。
意を決して始めた「桝谷リバイバル・プロジェクト」、楽しんでいただいているでしょうか?
すでに、コラムが2本と、真空管式のプリアンプ、Chriskit markⅤの作り方、まで掲載が終わった。このあとは、Chriskit markⅤの改良版であるChriskit markⅤ NEWの製作記事が、明日7日から始まる。このプリアンプのコンセプトの解説から始まり、作り方、調整、ヒアリング・テストと続き、読者からの質問に答える項で終わる。全部で10回にわたる連載である。
掲載誌が明記されていないが、多分「電波科学」である。それに3ヶ月連続で掲載され、後に「回答編」が加えられた4ヶ月分を、わずか10日あまりのうちにここで公開するのだから、乞うご期待!?
実は、あまりの原稿量に、手打ちでは仕事がはかどらないため、OCRの活用も考えた。MacにはAutomatorというアプリが最初から入っており、PDFをテキストに直してくれる。これを使おうと思い、桝谷さんの玉稿をスキャナでPDF化して試したのだが、出て来たテキストは、まあ、これ以上バラバラになれるか、と呆れるほどバラバラで、手の付けようがなかった。
それでは、とOCRのフリーソフトを探してみたが、どれがこの仕事に適しているのか、トンとわからない。多少金を使っても、と思い、App Storeで検索してみたが、これもうまく行かなかった。仕方なく、いまでも原稿を横に置いて読みながら、必死にキーボードから入力している次第である。
桝谷さんの原稿は、実に書き取りにくい。前にもふれたが、漢字での表記と、ひらがなでの表記が入り交じる。「よい」「良い」、「まわす」「回す」、「おく」「置く」、「いう」「言う」、「こと」「事」などその例は枚挙に暇ない。しかも、送り仮名が原則に従わなかったり、通常はひらがなで表記する言葉がカタカナになっていたり。挙げ句は、同じものの表記が違う事もある。「ヒアリングテスト」「ヒャリングテスト」には、正直戸惑った。
さて、私はなにゆえにこのような困難な作業を続けるのか? 作業しながら、時として自問する事がある。
ま、一つには暇つぶしであろう。私は何もする事がない時間が生まれると、何か満たされない気がして、することを探す貧乏性である。ボーッとしている時間を持てない。本を沢山読み、読書家と言われることがあるのも、そのためではないかと思う。
しかし、それにも増して私を突き動かしているのは、桝谷哲学を1人でも多くの方に知っていただきたいという願いだと思う。私が書いた「桝谷英哉さんと私」でも、桝谷哲学は全開だったが、さて、桝谷哲学を私は十二分に書き表すことができたのかとなると、そうだ、と断言する自信は無い。
だから、桝谷さんの原稿をひたすら引き写す。桝谷さんの製作記事は、単に作り方を淡々と説明するのではなく、何かにつけて桝谷ワールドが顔を出す。それを、もう一度私が辿るのと同時に、読者の皆様にもふれていただきたいのである。
だから、写真や図、表、グラフなど、記事に添付されているものは、すべてスキャナで読み取って掲載している。600dpiという、私のスキャナの最高解像度で取り込んでいるが、Web上では、回路図などは小さくて読み取りにくい、というか、ほとんど読めない。使っているWordPressが、添付する写真の最高容量を1Mと決めているため、そこまで容量を削っているためかも知れない。これ以上鮮明にすることは出来ないのでお許し願いたい。桝谷さんが設計した回路図も、本当はじっくり味わっていただきたいのだが……。
まあ、真空管は大変高価だし、使われているパーツも、いまは手に入らないものが多いだろうから、まさか「らかす」を見て真空管式プリアンプの製作に取り組まれる方はいないはずで、だとすれば、回路図が見にくくても問題はないのかも知れない、と自分を慰めているところである。
プリアンプが終われば、次は真空管式パワーアンプである。その次はソリッドステートのプリメインアンプ(あまりよい出来ではなかったと桝谷さんは言っていた)、そして、チャンネルデバイダー、とシリーズは続く予定である。あとはまだ整理していないが、レコード・プレーヤ、測定器なんかもあって、まあ、桝谷さんの探求精神が溢れる原稿が、我が家に積み上がっているのでお待ち願いたい。
という事ばかりやっているかというと、そうでもない。先日は
「風呂場にムカデが出た!」
という妻女殿の訴えに応えて原因を探った。
場所は風呂場である。ドアを除けば唯一外界につながっている窓には網戸がはってあり、ここからムカデが入るはずがない。排水溝にはつねに水がたまっているはずだから、ここも除外してよろしい。では、どこから?
見回して、もう一つ開口部がある事に気がついた。換気扇である。風呂場の湿気を取るためになくてはならない装置だが、確かにここは外につながっている。しかし、換気扇につながる屋外の開口部は、地上から2.5mほどのところにある。そんなところまで、ムカデが家の外壁をえっちらおっちら上るか?
「風で吹き飛ばされてくるのかも知れないじゃない」
とは妻女殿の回答であった。であれば、ここを塞ぐしかない。
風呂場の換気口に網を張ろうと考えた。網戸用の編みを買って来て、40㎝角に切り取った。これをステープル(ホチキスの大きいヤツ)で風呂場の天井に固定する。それが当初計画だった。
やってみた。天井の材質はプラスチック。ステープルで十分止まると踏んで挑んだが、このプラスチック、かなり硬いらしく、なかなか入ってくれない。無理に打ち込んだら、おっ、いかん! プラスチックが欠けちゃった!!
方針転換である。中が駄目なら、外の出口を塞いでやれ。ところが、2.5mほどの高所にあるため、下からでは届かない。やむなく、その近くにあったガス釜に上った。よし、これなら手が届くぞ、と思った瞬間、どうしたわけか、私はバランスを崩してしまった。体が大きく家の反対側に傾く。えっ、やばい!
ドタン、と言う音が出たかどうか記憶にないが、私はすぐ近くのフェンスを突き破る勢いで投げ出され、気が付いたら地上に横たわっていた。左腕に2箇所擦り傷が出来たが、左腕を下にして落ちたと言うことか、71歳になったら、高所作業をしてはいけないのか、という教訓が身に染みた。
再び、方針転換である。外がだめなら、やっぱり内しかない。が、どうすれば網を止める事が出来る? 考えた末に浮かんだのが布のガムテープである。接着力は強いし、水分の影響ではがれてきたら、もう一度張り直せばいいではないか?
いまのところ、網は換気扇の空気取り入れ口を立派に塞いでくれている。これでムカデの侵入はなくなるはずである。
あー、こんなことなら、最初からガムテープを使えば良かった……。
ダンベルをAmazonから取り寄せたのは1週間ほど前の事である。
もう数年前から、
「肩と胸の肉が落ちた。ジャケットの肩の辺りがぶかぶかで見た目が悪い」
と妻女殿に責めさいなまれていた。
何を言う。齢を加えれば、体に付く肉が下に落ち、腹回りに滞在するのは自然のなせる技である。それに逆らってどうする!
と反論しつつ、気にはなっていた。確かに、見た目がいいものではない。
ふと思いついた。
「俺、映画を見ている時は暇だよな。見ながらダンベルを上下したらいいのではないか?」
スポーツ用品店を覗いたのはもう1年以上前のことである。が、単なる鉄のかたまりであるはずのダンベルは、意外と高い。5kgのものを買おうとすると、4000円は飛んでいく。
「こんなもんが、4000円もするのかよ!」
買わずに帰り、
「いいのだ、俺は。肩と胸の肉が減ったからといって、何も問題はないだろう?」
と己に言い聞かせ続けてきた。
それなのに、なぜ取り寄せてしまったのか? はっきりした事はわからない。ふと、
「これが4000円ならいいんじゃないか?」
というものがAmazonのショウウインドウで見つかり、衝動的にポッチンしてしまった、というのが正確なところである。
家に届いたら、使わねばならない。2月末に届き、いまのところ毎日上げ下げしている。おかげで、肩から胸に掛けての筋肉が痛い。
「やっと筋肉痛が出始めたか。これを乗り越えればその部分筋肉が増えるはずだ」
と喜んでいるが、一方で
「いつまで続けられる?」
と冷静にながめている自分もいる。
私が筋骨隆々の71歳に変身することがあるのだろうか? 楽しみである。