03.09
もう少し作業能率が上がると思ったが、現実は厳しい!
継続中の「桝谷プロジェクト」(と私が勝手に名付けているのですが)が、新局面を迎えた。 OCRの使用と、PDFの採用である。
画像からテキストを抜き出してくれるOCRは、当初から活用を考えたツールである。ために、無料アプリを探したり、App.Storeで検索したり、様々な手を使い、ついにはPDF化したものから、Mac付属のAutomatorで文字の抜きとりを図ったりしたが、どれもこれも挫折した。うまく行かないものはうまく行かない。やむなく、すべて手打ちで途中までこれまで作業を進めてきた。
しかし、です。原稿を読みながらキーボードをたたいて一文字一文字打ち込むのは、想像を絶する作業で、丸1日掛けて、やっと1号分を入力するのがやっと。桝谷さんの原稿は、例えばプリアンプだけでも4号に別けて掲載されていることが多く、一つのテーマでまるまる4日費やすことになる。
根気はあると思っていたが、流石に私もめげそうになった。なにか使えるツールはないか? と気にしながら、画像を取り込むスキャン作業をしていた時である。キヤノンのプリンターに付属してきたアプリに、OCR機能があることに気が付いたのだ。これ、使っちゃお!
と思い立って、原稿をスキャンして読み込んだ。My Image gardenというアプリが立ち上がり、スキャン済みの画像の上にポインタを持って行って右クリックすると、一番下にOCRがある。これを使う。作業効率が3倍から5倍に跳ね上がるはずだ!
お、お、みごとにテキストが抜き出された。しかし、ん……。まるで文章になっていないではないか!
ああ、そうか。桝谷さんも原稿は横書きで2段組になっている。この段組がアプリ君は認識出来ないらしく、段を越えて読んでしまうのである。
であれば、だ。読み取った画像から左の段を切り出し、それだけにOCRをかけた。おう、みごとに文章が現れた。「。」「・」が「〇」になったり、「=」が「三」になったり、まあ、それなりの不具合はあるが、手入力より楽だろ?
左の段が終わったら、右の段だけ切り抜いてOCR。
作業効率は3倍から5倍に跳ね上がるはずだった。ところが、どう計算しても、1.2倍から1.5倍止まりである。まず、認識出来ない文字があるのは上の通りである。そのうえ、文字化けも散在する。そのうえ、もとの画像のごみを文字と認識してしまうことも多々ある。私が持っているのは、ほとんどがコピーされた原稿だから、部分的に黒ずんだり、文字の周りが黒くなったところがかなりある。それが誤認識されて不思議な文字列になったり、ひどい場合はすっ飛ばされたりしてしまう。何のことはない、そんなところは、相変わらず原稿を見ながら、手で入力するしかない!
道具がまるで役に立たないとはいうまい。しかし、もう少し役に立ってくれると思っていたのだが……。
PDFの活用を思いついたのは、「らかす」に掲載している図や表が見にくいためである。1M以内という制約がある写真で貼り付けるためだろう。回路図も、実体配線図も、細部が読めなくなってしまう。これでは、折角のプロジェクトが画竜点睛を欠くことになりはしないか?
Webで「WordPress PDF」で検索し、WordPressでPDFが使えることを知った。試してみた。どうやらこれは、リンクを張る形になっているらしい。「らかす」上では「回路図」「部品表」などと青い文字が現れ、それをクリックすると、実に鮮明な画像が立ち上がる。ここをお読みの方は、是非試していただきたい。
とはいえ、これも結構手間のかかる作業なのだ。まず、スキャナで該当箇所を読み取る。その画像をMac付属の「写真」に入れ、トリミング、画像の鮮明化を図る。こうして出来た画像を「ピクチャ」というフォルダに入れてやると、My Image garden上に顔を出す。ここでPDF化をするのである。
我が「桝谷プロジェクト」は汗と涙が結晶となったもの……。まあ、桝谷さんの遺志を伝えるには仕方がないとは思うのだが。
昨日、クリスキットのプリとメインが戻ってきた。しばらく使う予定がなかったので、自作のスピーカー(桝谷さんは、どういうわけか「スピーカ」と書く)、ネットワークプレーヤー、それにCDをflacにした音楽がつまったHDD、あわせてCDプレーヤーを貸していた友人が持ってきた。
貸した当初から、
「私はいずれ横浜に戻るはずである。その日に備えて、クリスキットのプリとメインを買っておきなさい」
と強く勧めていた友人である。その勧めに従って、彼はヤフオクで両方とも入手した。
「調子が悪かったら修理してあげるから」
といっていたが、その必要もなく、クリスキットは順調に働いているようである。
さて、アンプは自分のものにした。であれば、システム全体を自分のものにしたい、と彼は考えたらしい。前から憧れていたタンノイのスピーカーを入手し、ネットワークプレーヤ、HDDを除けば、すべて自前になった。
で、
「ネットワークプレーヤ、HDDは買い取りたい。残りはお返しする」
ということになって、昨日、車でお持ちになった次第である。
ネットワークプレーヤーは、ちっちゃなコンピューター、Raspberry-Piに、Terra-Berry DAC2+、というDACカードを載せたものである。ケースも入れて4万円程度だったと記憶する。そして4テラのHDDが1万円強。
「合わせて原価は「5万円ほど。貴方のところに行った時にはすでに中古になっているから、中古価格でいいよ」
と申し上げたが、
「いやいや」
といって、5万円を封筒に入れて持参された。きっと、お金持ちなのだろう。
これで彼は、すべてのオーディオ機器を自前のものとしたわけである。めでたし、めでたし。
書き忘れていたが、その友人宅には、まだ私の自作スピーカーが残っている。確か、12㎜の耐水ベニヤを2枚(3枚だったか?)貼り合わせて箱を作り、テクニクスの16㎝を入れたものである。これは、近々お邪魔して、ユニットだけ取りはずす予定である。
外したユニットは、川崎に住む長男宅へ行く。長男には、同時に作った全く同じ箱に、全く同じユニットを入れたものを渡していたのだが、娘であるあかりに、コーン紙をバリバリに破られてしまった。長男は鷹揚な性格らしく、別に娘を叱ることもなく、そのまま
「そこそこ、音が出るからさ」
と使っていたが、流石に見切りをつけたらしい。1年ほど前からスピーカーを買うかどうか検討し、わたしはYAMAHAのNS1000-Mをヤフオクで落とすように勧めていたのだが、いまだに踏ん切りが付かないらしい。
そこで、ふと思いついた。同じ箱、同じユニットなのだから、友人宅から戻ってきて、その後は使うあてのないスピーカーからユニットだけを取りはずし、長男宅のユニットと交換すればいいではないか。
というわけで、近々友人宅にお邪魔し、ユニットを取りはずす。今月26日には横浜に行くので、そのついでに長男宅に回り、ユニット渡す。
まあ、というわけで、すべてが収まるところに収まる。そうそう、クリスキットのアンプも、キットその内、収まるところが決まるはずである。決まったらまたお知らせすることにしよう。