2021
08.27

とりあえず、数Ⅱの微分までは終えましたが……。

らかす日誌

暑い。昨日と今日を言葉で表現すれば、この一言に尽きる。8月も終わりなって、本格的な夏が到来したかのようだ。これまでの、何とも過ごしやすい夏が終わった。予報によれば、明日はもっと気温が上がる。流れ落ちる汗をタオルで拭きながらのパイプタバコが3日連続になるらしい。

もっとも、予報だと9月に入れば最高気温が30℃を下回るとある。そうか、今年は夏が最後っ屁を放ちながら早足で遠ざかり、秋が100m奪取のような速さで近づいてくるのか。さわやかな秋が待ち遠しい。

灯火親しむ秋の訪れを目前に控えて、私の数学独習は、やっと数Ⅱの微分まで終わった。次は積分の番である。

「微分・積分とは何か?」

をが知りたくて始めた数学再学習は、形の上では半ばを超えたわけである。
ところが、何とも満足感がない。「Focus Gold 数Ⅱ・B」の例題、練習問題、Step Up問題、章末問題とすべての問題を解き進み、消費したA4のレポート用紙は300枚を超えた。主観的には問題の半分から6割ぐらいは自力で解けた。といっても、トンと記憶力が衰えた今の頭脳で公式を覚えるのは諦めているので、公式集をそばに常備しながらの作業である。要は、数学の考え方の道筋を理解すれば良いのだ。

「ん? 確かここで使える公式があったはず」

とか、

「a3+b3を因数分解したらどうなるんだっけ?」

など、必要に応じて公式集をめくりまくる。そうしなければ

cos3θ+cos2θ+cosθ>0を満たすθの値の範囲を求めよ。

などという問題に歯が立つはずがない。

「えーと、三角関数には3倍角の公式、2倍角の公式があったな。それを使ってすべての項をcosθに直してやらないと一歩も進めないぞ」

と考えるのだから、3倍角の公式、2倍角の公式が頭に残っていない私には、公式集は手放せないツールなのである。

いやいや、72歳になって、公式集を横に置きながらでも参考書の問題の半分程度が解ければ満足すべきでは?

とのご意見もあろうかと思う。一般論としては、私にも異議はない。
だが、何か違うのである。

微分を使って解く問題のパターンには、ある程度慣れた(来月になったら忘れるだろうが)。だが、私が求めていたのはこんなことなのか? 接線の方程式、極大値、極小値、3本の接線が引けるための条件……。いったい何のためにこんな計算をするのかがピント来ない問題が、とりあえず数学として答が出せたからといって、何が身につくのか?

点P(a、b)から曲線 y=x3−2x に異なる3盆の接線が引けるとき、点P(a、b)の存在範囲を図示せよ。

などという問題がスラスラ解けたからといって(私はスラスラとは解けませんでしたが……)、それがどうしたというのか? これ、何かの役に立つの?

微分の基本概念は解った。曲線状の2点を通る線を引き、うち1点をどんどんもう一つの点に近づけ、最後には重ねてしまうと、その線は曲線の接線になる。普通に計算したのでは分数の分母がゼロになって数学の約束事に違反する事態に陥るのを見事に避けたニュートンの知恵は素晴らしいと思う。だけど、この参考書では、基本的な概念について、それ以上のことが解らない。入試に出る問題を解くためのテクニックが身につくだけである。いまの私に、そんなものが必要か?

ネットで検索したら、「微分的」とは、その瞬間の変化に着目することなのだそうだ。微分はいってみれば、時の流れに従ってすべてのものが変化する中で、その時間の流れを止めてしまえ、止めてしまえばその一瞬の変化を数値化出来る、という計算方法だから、まあ、解らぬこともない。だが、それだけなのか? 私が知りたかったのはそんなことなのか?
自分で問いかけておきながら、何を問いかけたのかがよく分からない。私はどうやら、自分の中でクルクル回っているだけのようである。

そんな不満足感から、本を1冊発注した。「高校生が感動した微分・積分の授業」。この中古本で私も高校生並みに感動してみようと思ったのである。さて、本当に感動し、

「あ、微分とはそのようなことであったか!」

と口に出来ると嬉しいが。

明日からは積分に入る。「∫」(インテグラル、と読むそうだ。ちなみに高校時代の私は、こいつが出てくると「シェー」と読んでいた)と久々のご対面である。
ちなみに積分的とは瞬間ではなく、それまでの積み重ねに注目すること、らしい。ということは、若者は微分的に暮らし、我々高齢者は積分的にしか生きられないということか?

さて、積分の学習に足を踏み込んで私はどんな感想を漏らすのだろう?
楽しみなようでも、怖いようでもある。

ま、自宅に籠もってやれ微分だ、積分だと頭脳にストレスをかけている間は、コロナに感染することもなかろう、というのが唯一の救いかも知れない。