01.10
控訴審の判決が出た……。
昨日書いた叔父の死、私の家系にもがんがあるという話は、今日への予告だったようである。本日、第2審敗訴の判決を得た。私の前立腺にはガン細胞が巣くっているのだそうだ。
診断結果には『ステージング」というものがあり、1〜10で現される。1〜6は比較的おとなしいがん、7〜10は活発ながん、ということらしい。私はそのどちらにも属さない、ステージ7。どうも私は、中途半端な性格らしい。
これで重粒子線による治療に移るのかと思っていたが、まだまだいくつかの行程があるようだ。
次は今月18日、CTスキャンを受ける。何でも、前立腺がんは骨に転移することがあるらしい。重粒子線治療は、がんが前立腺に止まっていれば効果があるが、転移していればあまり意味がないとして治療を受けることができない。そのため、骨への転移の有無を判断するためCTで我が全身をスライスするのである。
それで転移がなければ、いよいよ重粒子線による治療か、というと、もう1つある。ホルモン療法である。
前立腺のがんは、男性ホルモンを栄養素にして成長するのだそうだ。ということは、私は男性ホルモンに溢れた男の中の男であったが故に男性ホルモンが豊富で、前立腺にがんを育ててしまった、という解釈もできるが、いまはそんなことを考えているときではない。
ホルモン療法とは、であればがんから食料を奪えばいいではないか、という理屈である。私の男性ホルモンを減らすのである。
そう聞いたとき、私は思わず右手を左頬のところに回し、手の甲を頬に向けた。
「先生、私はこうなっちゃうの?」
私には、深刻な話をマジメに受け取る能力が欠けているか?
が、お医者さんはマジメに説明を続けた。
「重粒子線を浴びるにしても、その前にできるだけがんを小さくしておく必要があるのです」
従って、18日の検査後は、私はホルモン剤を服用することになる。
文藝春秋の昨年12月号にによると、ホルモン剤の服用には副作用があるらしい。意図的にホルモンのバランスを崩すわけだから、なるほど、体は何らかの反応を返すだろう。更年期障害と同じ症状が出ることがあると書いてある。さて、男の更年期障害とはどんなものか、とググってみると、あるわ、あるわ。
・関節症、筋肉痛(痛みを感じやすくなる)
・疲れやすい
・発汗やほてり
・肥満、メタボリックシンドローム
・頻尿
・イライラ
・不安、パニック
・うつ
・不眠
・興味や意欲の喪失
・集中力、記憶力の低下
・ED
・性欲低下
と並べ立ててあった。おいおい、いまでも腰が痛いし、これ以上太ったらまたズボンを買い直さなければならないではないか。えっ、私がうつに、不眠症になる? 記憶力はそれでなくても下がっているけどなあ。そして、ED……。
ありがたくない話ばかりである。ホントに私、そうなっちゃうのかねえ。
そして目出度く重粒子線を浴びることになると、毎週4回、前橋まで通勤しなければならない。照射回数は20回を越えるというから、1ヶ月以上、ほかには何もできなくなるわけだ。まあ、サラリーマンに戻って、桐生に住みながら前橋まで通勤する、と考えるしかあるまい。しかし、いま、の調子が悪いんだよなあ……。ちゃんと走ってくれるかな?
というのが本日の報告です。
あれまあ、つまらないことになっちまったな、とは思うが、なっちまったものは受け入れるしかない。そう考えるからだろうか、私は今日の敗訴判決を淡々と受け止めている。気分が落ち込んでいる訳でもない。
あ、そういえば、がんが転移している場合は、どんな治療があるのかを聞き忘れた。頭の中には、もし敗訴でも重粒子線があると思い込んでいたからだろう。まあ、いい。次に受診したときに聞けば間に合う。
己の落ち着きぶりが、自分でも信じられない思いの私である。