05.12
3日分の音を聞いた。感想はただ一言。「お疲れ様」。
Eric Claptonの2023年日本公演、4月15日、18日、21日の音を一通り聞いた。
音質は良くない。ラインからの録音ではなく、観客席からとった音である。販売サイトに
「高音質ステレオ・オーディエンス音源」
と明記してあったから、それは覚悟の上の購入だった。
客席からの録音では、どうしても様々な反響音が入り交じってしまう。アリーナ席(今回、私はアリーナ席で聞いた)なら直接音の比率が高いのでまだましなのだが、1階席、2階席になると時として聞きたくない音も混じってしまう。
どうしたわけか、アコースティックの演奏になると、音が引っ込んで音全体が小さくなる。客席では気にならなかったが、CDではそうなってしまう。残念だが、これしか手に入る音源はないのだから諦めるしかない。
それに、視覚効果も手伝っているのだろう。武道館で楽しんだコンサートは、目の前で78歳のClaptonが演奏している。その姿を見ながら聞いた音はもう少しまともに聞こえた。そう、映像は聴覚をごまかすのである。
ま、そんなことはどうでもよろしい。
「ああ、やっぱりなあ」
と思ったのは、Claptonのギターの音から、力強さが失われたいることである。聞き手をぐんぐんと引きずっていくドライブ感がない。これはミストーンがあるとかないとかの話ではない。確かにClaptonがギターを弾いているのに、勢いが感じられないのである。ギターの神様に申し訳ないが、喉をゼイゼイ鳴らしながら、必死でギターにしがみついているという印象すら受ける。
武道館ではそこまでは感じなかった。
「おっ、78歳。まだまだいけるじゃん!」
という印象すら受けた。
そころが自宅で、音だけを聞くと
「Claptonの最晩年の演奏」
としか聞こえない。
最近はほとんど触らなくなったが、私が60歳でギター教室に通い始めた時、
「大道さん、何をやりたいんですか?」
と聞かれた私に、
「1年後にEric Claptonになりたい!」
と言わせたErcはもういなくなったようである。寂しい限りだ。
いまClaptonに言えるのは、この一言しかない。
「お疲れ様」
まあ、Eric Claptonも78歳になれば、このような演奏しか出来ない。だとすれば、73歳の私がギターを上手く弾けなくても仕方がないではないか?
それだけが慰めである。