2024
07.23

「低異型度異形成」って病名、知ってます?

らかす日誌

またまた聞き慣れない、というか、初めて聞く病名である。

低異型度異形成(ていいけいどいけいせい)

今日は先日声帯から採った細胞の分析結果を聞く日で、朝から足利日赤病院に出かけた。火曜日は混む日らしく、午前11時の予約が、診察室に招かれたのはもう12時に近かった。

「どうですか? 喉の方は。まず見せて頂きましょうか」

とファイバースコープを私の鼻の穴に突っ込もうとする若い医師を押しとどめ、

「いや、先生、その前に細胞検査の結果を聞かせてください。私の病は、やっぱり白板症でしたか?」

と聞いた。最も関心があるのは、私がどんな病に冒されているかである。

「ああ、そうですよね」

といった医師は、目前のディスプレーにカルテらしきものを写し出した。

「実は白板症ではなくて、これでした」

示されたのは英語で

low grade dysplasia

とある。

「これを無理矢理日本語にすると、低異型度異形成ということになります」

は、何ですか、それ?

医師の話を総合すると、こういうことらしい。
人体の細胞は常に分裂を繰り返している。その中で古い細胞は死に、若い細胞が命を支える。そのための細胞分裂なのだが、時として分裂する際にプリントミスが起きる。全く同じ細胞を作るはずだったのが、あれ、間違っちゃった、と少し違う細胞ができてしまうことがある。そのきっかけを作るのがイニシエーターと呼ばれるものだが、さて、私の場合のイニシエーターは何だったのか? 喫煙か? 大気汚染か? 焼き魚の焦げか?
いずれにしてもそれががん細胞の始まりである。

「異型度」とは、本当は作りたかった細胞から、実際にできた細胞がどれほど違っていたかを表すものだ。私の場合、

「低異型度」

だから、その度合いは小さい。そのようなほんのちょっぴり変身してしまった細胞が声帯の表面にあった。つまり、「低異型度異形成」とは、ホンのちょっとばかり元の細胞と違う細胞ができちゃっている、ということである。

「ということは、私の声帯の表面にがん細胞ができつつあるということですか?」

当然の質問である。患者である私の心はその1点にかかっている。

「いや、大道さんの場合はlow gradeですから、その心配はまずありません。これが進むとHigh gradeになって、そうなるとがんを心配しなければなりませんが、そうですね、あなたの声帯にがん細胞ができる確率は1%以下です」

少し肩の力が抜けた。
自宅に戻ってネットで調べてみた。低異型度異形成は

「細胞異型が弱く 増殖性が乏しい」

とあった。あまり心配することはないのだろう。
診察室では、私はその事実をまだ知らない。ために、

「それで」

と私は医師に迫った。

「どんな治療をするのですか?」

医師はスッキリと答えた。

治療はしません。ただ経過観察をします。定期的に来院して頂くことになります」

あ、治療をする必要もないのね。ただ、グレードがlowからhighに変わっては困るので、定期的に鼻の穴からファイバースコープを差し込んで私の声帯を観察するのね。

本日の診察結果は以上である。
ただ、まだ私の喉は内側が腫れている感じがあるのだが。

「ええ、前回組織を採ったためにできた傷が快復していません。まだ声帯の表面に薄らと血が滲んでいます。そのために違和感があるので、やがて直りますから心配は無用です」

そう言って医師は、現在服用中の吸引薬と服用薬を継続使用するように処方箋を書いた。

以上、皆様にそれほどご心配頂くことはないであろうという診断結果であった。次回の「経過観察」は8月28日である。

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