07.13
2013年7月13日 誕生日
今日は瑛汰の誕生日である。
「瑛汰、誕生日のプレゼント、何がいい?」
と電話で聞いたら、
「何もいらないから、ボス、遊びに来て」
といわれたことは、以前書いたように思うが、さて、本当に書いたのかどうかはっきりしないので、改めて書いておく。
が、だ。こんな言葉、妙齢の女性からいわれてみたいものである。
「誕生日? 私、何も買ってもらわなくったっていい。あなたが来てくれれば」
そんなこといわれた日には、もう、仕事も何も、どうでもよくなっちゃう。一刻も早く逢いに行かなきゃ、とあらゆるものを投げ捨てて車に飛び乗り、一路彼女の部屋を目指す……。
てなことを一度でいいからやってみたい、いや一度じゃ嫌だな、毎年やってみたい、とは思い続けているのだが、何故かその機会に恵まれない。
俺の人生って、何なんだ?
ま、そこまでの情熱で応じるわけではないが、瑛汰にそういわれてしまえば、行かないわけにはいかない。もちろん、プレゼントだって買わないわけにはいかない。
というわけで、これから車で横浜に出かける。
出がけに、洋菓子店「マリー・ポール」に頼んでおいたバースデーケーキを受け取り、あとは一直線である。
横浜で待つのは瑛汰だけではない。すでに6月30日に3回目の誕生日を迎えた璃子も、誕生日プレゼントの到着、いや、誕生日プレゼントを一緒に買いに行ってくれるボスの到着を心待ちにしている。
そういえば俺、あの年頃に誕生日プレゼントなんて貰ったことあったっけ? あのころ、俺の生家は貧しかったからなあ。
「今日はあたしの誕生日なんだから、あんた、うちに遊びに来るのよ」
とクラスメートの女子に突然脅しまがいに宣言されて、
「何で俺が、あいつの誕生日に、あいつの家に行かなきゃならないんだ?」
とブツブツ言いながら庭のツツジを母に斬ってもらい、それを手土産に傘を差して彼女の家を訪ねたのは、あれは小学3年? 4年? あの女の子、俺のことが好きだったのかね?
それを理解してやれない当時の私は朴念仁であったことは疑いない。
でもなあ、貧乏人の小せがれで、夏場にはランニングシャツ1枚で学校に通っていたヒョロヒョロの同級生に惚れる女というのも、趣味がいいとはいえないぞ。
誕生日って、そんな思い出しかないなあ。
ま、いずれにせよ、そのような事情で間もなく桐生を発つ。戻るのは、多分15日。従って、それまで日誌は書けない。
悪しからず、ご了承いただきたい。
では。