2013
11.20

2013年11月20日 やってみて

らかす日誌

これからネットオーデイオをやる。とすると、まずやらねばならないのはNASと称されるハードディスクに、楽曲データを読み込ませることである。
ちなみに、私は、師匠であるSさんに

「NAS」

といわれて、

「ああ、ネットワーク・オーディオ・システム、ですか?」

とトンチンカンな会話をした記憶がある。この一語をもって、Sさんは、私のレベルを察したようだ。それからの教えは微に入り細を穿ち、いただくメールは読めばすぐ分かるものとなった。
トンチンカンな受け答えにも、それなりのメリットはある。

ちなみに、NASとは、Network Attached Storage、つまりネットワークに接続された貯蔵庫を指すものらしい。Sさんの教えを受ければ、この程度のことは直ちに理解できることである。
ま、それはよい。

そのNASを、当初は有線でルーターに接続、X Lossless Decoder、というソフトを使い、パソコン経由でCDから楽曲データを読み込んだ。BUFFALOのカスタマーサポートとあれほどやり合ったのだ。無線接続しても問題はないとは思いつつ、でも何となく不安で、とりあえず有線でつながっているのなら、このままで音楽データをすべて読み込めばいいではないか、と、当初は極めて保守的な態度に終始する私であった。

それでも昨夜になって、読み込んだCDが100枚を超えて、

「それでもなあ。先行きの使い勝手を考えれば、やっぱり無線でつながるかどうか試してみた方がいいのではないか?」

と、私が個人的な革新を思い立ったとしても、責める人はいまい。
という次第で、無線接続に切り替えた。動く、何の問題もなく動く!

こうして、私は関門を一つ一つ突破していった。

昨夜も午後10時を過ぎたころである。NASに読み込ませるべくセットしたCDが、なかなか読み込みが進まないのに気がついた。

The "Let It Be" Rehearsals, Vol.2

である。それまでは、読み込み速度が10倍を超えるのはごく普通で、これなら60分のCDも5分前後で読み込める。ところが、こいつに限っては、途中から

「えっ、読み込み速度ゼロ!?」

ということは、全く読み込んでいないということではないか。
なのに、ディスプレイを見ると、床屋さんにあるようなねじり飴のディスプレーみたいなヤツがクルクル回り、

「私、何とか頑張ってます」

と知らせてくれる。
粋に感じてしばらく待っていたが、なかなかゼロから進まず、

「俺は寝る。がんばってちょうだい」

と、私は寝てしまった。

そして今朝。
7時頃起きてパソコンの前に行くと、まだ頑張っているではないか! 昨夜ひっかかっていた曲からは先に進んでいるが、まだ読み込みはわっていない。おいおい、もう10時間もかかって読み取ろうとしているのかよ。
なんだか、感動してしまった。
その1枚の読み込みが終わったのは、今朝午前9時前である。

そんなトラブルに見舞われたからこそ、

「なるほど」

と思ったことがある。
ネットオーディオの優位性である。

パソコンは、ディスクに書き込まれたデータを正確に読み取る。そうでなければソフトウエアは動かないし、ディスプレーに表示させようというファイルも、元の形を留めない。そんなパソコンは使えるはずがない。
だからパソコンは、挿入されたものが男の一物ソフトウエアが入ったディスクであれ、データが入ったディスクであれ、CDであれ、重箱の隅から隅までつついて正確にデータを読み取る。読み取れない場合はエラーとして排除する。

だからなのである。盤面に傷がついたCDでも、書き込まれていたはずのデータを完全に復元するため、何度も読みに行き、何度も計算し、それが全体との整合性を歪めないか検証する。それが11時間もの作業につながるのだ。
が、CDプレーヤーではそうはいかない。そんなことをしていたら、音楽がブツブツ切れて鑑賞できなくなる。だから補正回路が働いて、

「まあ、このあたりでいいんじゃない?」

という音を出す。
元々の音が歪められるのは避けられないことである。

ネットワークプレーヤーから一度も音を出さずにここまでの理解をしてしまう私は、ひょっとしたら天才ではないか、と自負してしまうのは、さて、傍目にはどう写っているのだろう?

そして、一度ハードディスクに読み込んでしまえば、CDのように盤面が傷ついて正確にデータを読み取れないということは絶対に起きない。

音が良く、音の劣化を心配しなくてもいい。
確かに、ネットオーディオは、CDの次に、来るべくして現れたオーデイオであると、私にもやっと分かった。

が、NASをうまくネットにつなげるかどうか。私が先々週から先週にかけて体験した苦労を万人がする必要はなかろう。それを我慢する人も少ないと思う。
だとすれば、オーディオメーカーは、もっと簡便に、この世界を自分のものに出来るシステムを作らねばならぬ。
例えば、ハードディスクを内蔵したCDプレーヤー。一度CDを再生すれば、その正確なデータを内蔵のハードディスクに蓄積する。ハードディスクが足りなくなったら、外部接続で増やせるようにする。そうすれば、ネットワークの知識がない私のような人間でも、たいしたハードルなしにピュアな音に接することが出来る。

そのような、簡便でいい音が出るオーディオ機器の誕生を願いつつ、今日はこれまでとする。

目前では、

頭脳警察3

の読み込み作業が進行中である。