2020
07.08

こんな話にも政治的謀略の臭いを嗅いでしまう私は本の読み過ぎ?

らかす日誌

ブラジルのボルソナーロ大統領が新型コロナウイルスに感染したそうだ。高熱や身体の痛みを覚え、4回目のウイルス検査を受けて感染が分かったのだという。

この人、実に変わった大統領である。どんな事情があるのか分からないが、新型コロナウイルスの爆発的感染拡大が起きても、

「あんなもの、ちょっとした風邪みたいなもんだ」

と言い放ち、国内での感染拡大防止に手をつけようとしなかった。対策の必要性を訴えた保健大臣の首を切ってまでの突進ぶりで、裁判所にマスク着用を命じられても馬耳東風。マスク着用義務化法案には大統領としての拒否権を行使する強硬派である。
そのためであろう。ブラジルでは4月から感染者が急増、ホンの少し遅れて死者数もうなぎ登りに増え、7月7日現在の感染者数は167万4655人でアメリカに次いで世界2位、死者数は6万6868人で、これも先を行っていたイタリア、イギリスなどをあれよあれよという間に追い越してしまい、これもアメリカに次いで世界2位となった。

ということが頭に薄っすらと残っていたからだろう。感染した、とのニュースに接したときの私の反応は

「ザマー見ろ!」

であった。
加えてこの人、トランプ大統領を崇拝しているそうで、何度も会っている。であれば

「トランプにも移してくれればいいのに」

ま、私もその程度のミーハー族ではある。

「いや、ちょっと待てよ」

と考え始めたのはしばらくたってからだ。

「ホントに感染したのか?」

この大統領、誠に困った人で、人種差別主義者で女性蔑視主義者である。金にも汚いらしく、資金洗浄の疑いで捜査されていた上院議員を務める息子を救済すべく、捜査を妨害したと指摘されている。トランプのブラジル版か。大金持ちのトランプと違うのは、大統領選挙資金に議会費を流用した疑惑である。
まあ、こんな男を大統領にしてしまうブラジルとは、あまりお付き合いをしたくない国ではある。

あ、いや、筆が滑った。問題は、感染が本当かどうかであった。

報道によると、この大統領の支持率が急落しているらしい。昨年1月の調査では65%の支持を誇っていたが、今年4月には28〜33%にまで落ちてしまった。新型コロナウイルスへの対策に不満を持つ人が40%以上ともいう。いや、これだけ感染して、これだけ死んでいるのにたかだか40%? という気がしないでもないが、ブラジルとはそんな国であるらしい。

次の大統領選挙は2022年。2018年の選挙で、対立候補に10ポイントほどしか差をつけられなかった現職大統領としてみれば支持率の低下は気になることころだろう。

では、どうすればいい?
新型コロナウイルスはちょっとした風邪に過ぎないことを証明すればいいのではないか? そうすれば、私の主張が正統であったことが国民に理解されるのではないか?
彼はそう考えたのではないか?

その路線に沿って一芝居打つ。まず、自分が新型コロナウイルスに感染したことにする。しばらく公務も休む。人前から姿を消す。そして、1週間ほどしたところで記者会見し

「どうです皆さん、私は65歳です。新型コロナウイルスに感染しました。でも、たった1週間で、ほらご覧の通り、前と同じ健康体に戻りました。高齢者が感染すると危険だとバカな医者どもは騒いでいますが、65歳の私だって立派に回復した。新型コロナウイルスなんてちょっとした風邪と同じであることが、これで皆さんにもお分かりでしょう。マスクは要りません。外出自粛も必要ない。どんどん出歩いて、仕事をして、美味いものを食って、愛を交わそうじゃあありませんか。いつもと同じ日常生活を送っていれば、新型コロナなんて消えてなくなるんです」

という巻き返しキャンペーンに打って出る……。

裏読みのしすぎ、かもしれない。政治ミステリー小説の読み過ぎかも知れない。妄想癖が高まっているのかも知れない。うむ。

とんでもない大雨である。我がふるさと大牟田でも一昨日、全員に避難勧告が出た。我がふるさとの家は高台にある。だから、洪水の心配はいらない。それでも全員に避難勧告。
大牟田に住む弟に電話した。

「避難勧告が出たと聞いたが、家にいるのか?」

「なーんばいよっと。うちは水の心配はなかけん、避難するとはなかとよ」

「そうだよなあ。心配するとしたら雨漏り程度か。ま、気をつけて」

こんな時にしか連絡を取り合わない兄妹であった。